三里塚農地裁判 市東さんが意見陳述 〝父の同意ない買収は無効〟 NAAの違法を追及

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週刊『前進』06頁(2652号01面02)(2014/10/13)


三里塚農地裁判
 市東さんが意見陳述
 〝父の同意ない買収は無効〟
 NAAの違法を追及

(写真 日比谷公園から東京高裁を包囲する霞が関デモに出発する三里塚反対同盟。左から伊藤さん、北原事務局長、市東さん、萩原さん【10月8日】)

(写真 裁判所前で拍手に送られて4237筆の署名簿を携え 東京高裁へ提出に向かう反対同盟と顧問弁護団)


 10月8日、東京高裁第19民事部で、市東孝雄さんの農地裁判控訴審第3回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、傍聴・支援の労農学市民195人は一心同体で闘い、農地強奪攻撃の根幹を打ち砕く勝利をかちとった。
 午前中の裁判所前でのビラまき・情宣活動、リレートークに続き、正午、日比谷公園霞門から「耕す者に権利あり/小林裁判長は農地を奪うな」と大書された横断幕を広げ、反対同盟と全国農民会議を先頭にデモに出発。闘志あふれる〝農民のデモ〟が昼休みの霞が関を席巻した。
 午後2時、反対同盟と弁護団は人びとの拍手で送られ、農地取り上げ反対署名4237筆を東京高裁に提出した。
 午後3時、100人もの傍聴者で埋まった102号法廷で開廷した。小林昭彦裁判長への交代にともない、市東さんと弁護団が更新手続きの意見陳述を行った。

認否・反論行え

 まず市東さんが立ち、スライド写真を投射して営農と生活の状況から述べ始めた。自宅が空港の誘導路にはさまれて夜11時近くまで騒音にさらされる厳しい環境で、農地を守り耕している。作物を豊かに育む畑、「産直の会」の出荷作業、福島の子どもたちが訪れたイモ掘り大会などが映し出された。そして市東さんは誇り高く、「私はこの農地で、死ぬまで人に役立つ農業を続けていこうと決意しています」と宣言し、怒りを込め「一審判決はこの私の決意を全面的に否定するものでした」「そもそもNAA(空港会社)がどうして〈地主〉になれるのか? 耕作している父・東市の同意もなく農地を売買できるのか?」と弾劾した。そして「裁判所はNAAの請求を棄却すべきです!」と断じ、空港周辺の地元住民、福島、沖縄、労働者階級と連帯して闘う決意を述べ、20分を超す陳述を締めくくった。最後に容器に入れた畑の土を裁判長に手渡し、確かめさせた。
 続いて弁護団が次々と立って陳述した。この訴訟は裁判を使って「公用収用」を狙う悪質極まりないものだ。しかも農地法の基本精神を踏みにじり、耕作者の同意なく土地を地主から買収し、15年も隠し続けた。対象地の特定は誤りで、偽造文書を「証拠」に明け渡し訴訟に訴えた。すべて違法・無効だ!
 法廷はさらに重大な攻防に突入した。
 前回市東さん側が出した求釈明書に対し、被控訴人のNAA・千葉県は「何も対応しない」という態度を明らかにした。弁護団の187ページに及ぶ控訴理由書に対し、反論せず、釈明せず、「一審判決の通り」と繰り返して審議を避け、あとは控訴棄却判決をひたすら期待するという、法律家としても最低最悪、卑劣で恥知らずな手口であり、民事訴訟規則に違反する。高裁は釈明を行うよう命じろ!
 この弁護団の弾劾・要求と一体で傍聴席からの怒りの声が高まった。
 NAA・県の代理人弁護士は「無言の行」でのりきろうとしたが、裁判官合議の末に小林裁判長は「事実に関するところで認否・反論を行うように」と彼らに申し渡し、12月1日の期限で書面の提出を命じた。当然だ! しかし重大な勝利だ。

必ず勝利する

 次回期日を3月4日として閉廷したあと、近くの会場で報告集会が開かれた。伊藤信晴さんの司会で、冒頭に北原鉱治事務局長が10・12三里塚への大結集を訴えた。
 続いて市東孝雄さんが立ち、「向こうの代理人は終始うつむき暗い顔だった。あれを見て〝必ず勝利する!〟という気持ちを新たにしました」と気迫を表した。
 さらに葉山岳夫弁護士を始め弁護団全員が、論点の解説と、一審判決を覆す決意を語った。
 動労千葉、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が連帯発言を行った。動労千葉の長田敏之書記長は、この日の動労総連合強制出向無効確認訴訟の報告を交え、11・2労働者集会の成功を訴えた。
 最後に萩原富夫さんが、「今日の大勝利を10・12全国集会の大結集に結びつけよう」と熱く訴え、参加者の一日の激闘をねぎらった。

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