安倍の「戦争教育」粉砕を 極右勢力使い「道徳」を教科に狙いは国家主義と日教組解体

週刊『前進』06頁(2650号03面02)(2014/09/29)


安倍の「戦争教育」粉砕を
 極右勢力使い「道徳」を教科に狙いは国家主義と日教組解体

急速なテンポで進む道徳教科化

 2012年の安倍政権発足後、急速なテンポで戦争教育攻撃がかけられている。道徳の教科化と教科書攻撃である。
 13年2月には首相の私的諮問機関である教育再生実行会議が第1次提言「いじめ問題への対応について」で「道徳の教科化」を第一に位置づけた。3月には文科省に「道徳教育の充実に関する懇談会」を設置。具体的検討が開始された。
 「懇談会」は13年末に①道徳の教科化②記述式評価③検定教科書使用④『心のノート』全面改訂を打ち出し、文科省は『心のノート』を全面改訂し、『私たちの道徳』を公表した。10億円の予算をかけ14年度から全児童・生徒への配布を開始した。道徳の教科化も15年度先行実施、18年度完全実施を目指している。

極右・八木らが安倍と一体化

 これを先導しているのが、安倍政権を支える八木秀次ら日本教育再生機構とそれに連なる極右連中だ。日本教育再生機構は傘下に「道徳教育を進める有識者の会」を発足させ、12年2月に同会編『13歳からの道徳教科書』(育鵬社)を刊行。「道徳の検定教科書のモデル」と自賛するもので、出版記念会には安倍も出席、あいさつした。
 また、同書編集委員の貝塚茂樹(日本教育再生機構理事・武蔵野大学教授)ら日本教育再生機構関係者や名うての極右分子で先述の文科省の「懇談会」委員を固め、政府政策を主導してきた。
 狙いは国家主義による教育統制であり、日教組解体だ。貝塚は教科書編集に貫かれるのは「清明心(きよきあかきこころ)」であると公言する。「万世一系」「忠君愛国」「義勇奉公」で子どもたちを戦場に駆り立てた『国体の本義』(1937年、文部省発行)に明記されるイデオロギーだ。同時に、宗教教育を阻んできたのは日教組だと口汚くののしる。
 何の責任もとらないまま、歴史的に大破産した古色蒼然(こしょくそうぜん)としたイデオロギーで教育を支配し、異端とも言える極右連中に教育政策を託さねばならないところに、新自由主義の大破綻、資本家階級の危機が示されている。その対極で、全世界で前進する労働者階級の国際的団結にこそ、新たな時代をつくりだす力があることは歴然としている。

知事・教委が恫喝し教科書を変更

 同時に、安倍政権は教科書攻撃も激しく進めている。13年11月、文科省は「教科書改革実行プラン」を発表した。それは①歴史や領土問題など政府の統一的な見解や確定した判例がある場合はそれを取り入れること、②「愛国心」などを盛り込んだ改悪教育基本法の目標に照らして欠陥があると判断された場合、不合格にする、③教科書編集段階から文科省が介入するために検定申請時の手続きを変更するなどを打ち出した。ただちに「教科書検定基準改定」「学習指導要領解説書改定」として実行されてきた。
 神奈川県、東京都、大阪府、埼玉県などで高校日本史教科書から、公務員への「日の丸・君が代」強制に言及する「実教出版」高校日本史教科書の排除が行われている。神奈川県では県知事の意向をふまえ、県教委が希望校の校長を恫喝して教科書の変更を迫る異常事態が起こっている。
 この「異常」の「日常化」が教育委員会制度改悪なのだ。

民営化と一体の「戦争教育」攻撃

 「戦争と民営化」は一体である。教育再生実行会議は、第5次提言で学制改革・「小中一貫校」制度化を打ち出した。「人口急減・市町村消滅」を扇動し、学校統廃合と一体で一挙に公設民営学校化と教育公務員全員解雇・非公務員化・非正規職化を進めることが狙いだ。
 大阪市が申請した国家戦略特区の公設民営学校の設置がその突破口である。そこで設置される中高一貫校は、小学校、中学校、小中一貫校と比べて民間事業者の参入希望が最も多い。中高一貫校はすでに制度化されているが、分会が解体され、行政直結で日本の侵略戦争を美化する「育鵬社」版教科書を次々と採択し、教育攻撃・組合破壊の火点となっている。
 ここに極右が公設民営学校化を画期として参入する。スパルタ教育を信条とした戸塚宏は「公設民営の小学校を私の教育理念で運営したい」と繰り返し明言。アメリカでも極右がチャータースクール(公設民営校)を通した学校経営に参入している。八木ら日本教育再生機構が、極右思想教育と軍事教練を行う公設民営学校創設に踏み出す可能性も大きい。教育労働者の解雇・非公務員化・非正規化と戦争教育が一体で進められるのだ。
 7・1集団的自衛権行使の閣議決定は、教育労働者の逆鱗(げきりん)に触れ、危機感と怒りとともに、「教え子を戦場に送るな」の連綿とした闘いの誇りを呼び覚ましている。教育労働者は戦争教育と教育の民営化に絶対反対で職場から闘う方針を求めている。労働組合が職場で団結して闘えば安倍「教育改革」は直ちに粉砕できる。
 安倍の手先となって職場闘争を圧殺する日教組中央を打倒し、7・1閣議決定撤回・安倍打倒の11・2労働者集会に総決起しよう。
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