戦争・増税・賃下げ・再稼働 凶暴だが脆弱な極右政権 第2次安倍改造内閣打倒へ
週刊『前進』06頁(2648号02面02)(2014/09/15)
戦争・増税・賃下げ・再稼働
凶暴だが脆弱な極右政権
第2次安倍改造内閣打倒へ
9月3日、日帝・安倍は党役員人事と内閣改造を実施し、第2次安倍改造内閣を発足させた。この改造劇は、一方で7・1閣議決定に対する労働者階級人民の怒りが日本中・世界中で燃え広がり、他方で「アベノミクス」の破産と崩壊が進む中で、危機に立つ安倍政権と日帝ブルジョアジーの延命をかけた必死のあがきにほかならない。凶暴だが本質的には脆弱(ぜいじゃく)な安倍改造内閣の登場は、今や安倍打倒の情勢が完全に成熟したことを示している。
財界の意を体しネオナチとも意気投合
安倍改造内閣は、19人の閣僚のうち実に15人が日本最大の右翼組織「日本会議」のメンバーというかつてない極右反動内閣であり、7・1閣議決定のもとで「戦争をする国」への全面転換を狙う戦争内閣である。これに対し、経団連をはじめとする財界はただちに「改造内閣を評価する」「政策遂行に全面的に協力する」と声明し、法人税減税、消費税の10%への引き上げ、農業・医療などの規制緩和、労働規制撤廃、原発再稼働などを要求した。さらに経団連は8日、会員企業1300社に対する政治献金の「呼びかけ」を5年ぶりに再開すると表明した。改造内閣は、これまで以上に日帝ブルジョアジー中枢と一体化した新自由主義内閣だ。
だが、そもそも今回の改造劇は、7・1閣議決定に対する労働者階級人民の怒りが爆発し、支配階級内部の動揺と分裂が安倍・石破の対立となって表面化する中で、追い詰められた安倍の必死の延命策にほかならない。
実際、安倍改造内閣は発足と同時に危機が噴出している。この間、札つきの極右で知られる総務相・高市早苗と自民党政調会長・稲田朋美が、「国家社会主義日本労働者党」を名乗るネオナチ団体代表の男とツーショットで撮った写真が同団体のHP上に掲載されていたことが発覚し、高市らの事務所があわてて写真の削除を要請する騒ぎとなった。英ガーディアン紙や仏AFP通信など海外の主要メディアもこれをとりあげ、極右反動内閣の醜悪な正体が全世界に暴き出された。
また、新設された「沖縄基地負担軽減担当相」に就任した菅義偉(官房長官と兼務)は、11月沖縄県知事選で辺野古新基地建設が争点化することに恐怖感を表し、「この問題はもう過去の問題だ。粛々と工事を進めていく」などと公言した。防衛相・安保法制担当相の江渡聡徳は、佐賀空港へのオスプレイ恒久配備、自衛隊による戦闘地域での機雷掃海や国連集団安全保障への参加を進めることを明言した。7日に福島第一原発を視察した経済産業相・小渕優子は、「汚染水はコントロールされている」「放射性物質は完全にブロックされている」と安倍の大ウソを踏襲した。
こうした閣僚の言動は労働者階級人民の逆鱗(げきりん)に触れ、さらなる闘いの爆発を不可避としている。
アベノミクス崩壊で労働者に増税・賃下げ
さらに重要な問題は、世界大恐慌とそのもとでの帝国主義間・大国間争闘戦の激化の中で、脱落日帝の危機がかつてなく深まり、今や「アベノミクス」の全面崩壊が迫っていることである。8日に発表された国内総生産(GDP)改定値は年率換算7・1%減という大幅なマイナス成長となった。リーマン・ショック直後の2009年1〜3月期(年率15・0%減)以来の下落幅であり、3・11震災直後の11年4〜6月期を超える下落だ。中でも個人消費は5・1%減と壊滅的な落ち込みを見せた。これを受けて、日銀は14年度経済成長率の見通しを引き下げると発表した。
だが、それにもかかわらず日銀総裁・黒田東彦は、消費税の再増税を見送ると「市場から疑念を持たれる」「そうなると(国債が売られて金利が急騰し)政府・日銀としても対応しようがない」として、再増税を強く主張した。日帝は今や、大恐慌下での大衆課税による一層の経済縮小という出口のないデッドロックにぶち当たっている。
こうした中で、厚生労働相・塩崎恭久は成果賃金制度の導入(=残業代ゼロ)などの労働規制撤廃や、株価引き上げのために年金積立金の株式投資を解禁することなどを主張している。日帝ブルジョアジーは、安倍改造内閣のもとで新自由主義を絶望的に推進し、一切の矛盾を労働者人民に押し付けて延命を図ろうとしているのだ。
女性閣僚登用支持する体制内勢力打倒を
安倍は今回の党役員人事・内閣改造にあたり、「女性が輝く社会の実現」などを鳴り物入りで宣伝し、「政権浮揚」を図ろうとした。だがJNNが6、7日に実施した世論調査では、消費税引き上げに67%が反対、原発再稼働に54%が反対といずれも賛成を大きく上回ったほか、「アベノミクスによる景気回復の実感」については「実感はない」との回答が85%に達した(「実感がある」は12%)。支持率も朝日、毎日の調査では47%と低迷が続いている。その根底には、戦争と新自由主義の安倍政権に対する労働者階級人民の広範な怒りが渦巻いている。こうした中で、安倍政権をブルジョアジーとともに支え、戦争と新自由主義の先兵となっているのが、連合幹部をはじめとする体制内勢力である。また、法政大学で学生運動弾圧に手を染めている田中優子総長は、安倍改造内閣の女性閣僚登用について「選挙対策のためだったと言われないように責務を果たしてほしい」と早くも賛辞を送った(サンデーモーニング9月7日)。
今こそこうした勢力の敵対を打ち破り、職場・キャンパスから闘いを巻き起こそう。戦争と民営化に絶対反対で闘う労働組合・学生自治会の拠点を打ちたてよう。国鉄決戦を基軸に安倍打倒の今秋決戦を爆発させ、11月集会1万人結集へ!