「ふくしま診療所」知り必ず会いたいと思った 東国大学医学部教授、核なき世界のための医師会(反核医師会) キムイクジュンさん
週刊『前進』08頁(2646号04面02)(2014/09/01)
「ふくしま診療所」知り必ず会いたいと思った
東国大学医学部教授、核なき世界のための医師会(反核医師会)
キムイクジュンさん
8月5日に行われた全原発廃炉・核廃絶ヒロシマ世界大会での韓国反核医師会・キムイクジュンさんの発言を紹介します。(編集局)
こんにちは。私は慶州(キョンジュ)という町から参りました。慶州には原発が五つあり、もう一つ建設中です。そして中レベル・低レベルの放射性廃棄物の処分場が建設中で、ほぼ完成しました。その慶州という地域で処分場の反対運動をしておりました。
そんな中、福島原発事故が起こりました。この事故は私の人生すべてをひっくり返しました。こんなことが起こるとは想像もできませんでした。私は原発の構造も知りませんでした。
私がぜひ知りたいと思ったのは、原発事故の原因です。なぜ日本で起こったのか。韓国でも起こり得たのではないか。核事故、原発事故の原因は何なんだろう。何カ月も頭を悩ませ、この原因を必ず突き止めると決心し、勉強を始めました。
そのために福島原発の爆発の場面を何カ月も見続けました。そして、3回の大規模な原発事故、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマの共通点に気づきました。原発の数の多い国で事故が起こったということです。
全世界で原発をやっている国は31カ国です。そのうち原発の数が多い国だけで事故が起こり、数の多い順番どおりに事故が起こりました。1番のアメリカで第1の爆発がありました。原発が66基で数としては2番目であった当時のソ連で第2の事故が起こりました。そして、第3位をフランスと争っていた日本で3番目の事故が起こりました。その次は韓国です。
ですから私は次の事故は韓国で起こり得ると思いました。韓国ではいま23基の原発が稼働中です。5基建設中です。3年後には28に増えます。そして今後20年以内に20基の原発をさらに追加する予定です。計画としては40を超える数です。
私は原発事故の確率について考えてみました。全世界の原発は450くらいにおよびます。うち6基が爆発しました。確率だけみれば70から80に一つが爆発しています。
韓国は40基以上に増やす計画です。とんでもない状況です。過去の原発事故は確率どおりに起こりました。今後も確率どおりに起こるでしょう。原発を減らす国は確率が減ります。原発を増やす国は確率が増えます。原発をやめる国は確率がゼロになります。
私は福島原発事故が起こってから日本をモニタリングし続けました。福島で何が起こっているのか、毎日ニュースを見ました。そして「ふくしま共同診療所」ができたことを知りました。この方たちには必ず会いたいと思いました。
原発事故の第2の原因として、私は原発の稼働年数を挙げます。これはあまりにも常識的な話です。ご存じの通り、福島には原発が10ありました。その中で、年数の多い順、年齢の高い順に爆発しています。原発の年齢でみたら30歳を超えたものは全部爆発しました。30歳に満たないものは一つも爆発してません。「30年以上原発を回すな」――これはフクシマが全世界に向けて残した教訓です。
30歳を超えた原発が韓国には3基あります。韓国政府はすべての原発の寿命を延長する予定です。核の再処理までもしようとしています。日本政府はプルトニウムをたくさんつくりました。それはどこに使うつもりですか。核爆弾をつくれますか? つくったら落とすところがありますか? ひょっとしたら韓国?
原発事故の原因は二つ。一つは原発の数、二つ目は原発の年齢です。原発事故を避けたければ原発の数をゼロにすればいいのです。
私はぜひともみなさまにお願いがあります。福島原発事故が起こった後、脱原発を決めた国があります。ドイツ、ベルギー、スイス。台湾も今その道に向かっています。しかし、原発事故が起こった三つの国は原発をやめることはできませんでした。やめると決めた国は事故の起こっていない国です。この両者の間にひょっとしたら相関関係があるのかと考えると非常に恐ろしい。
日本は必ず原発をやめなければなりません。日本が脱原発をしてこそ、「韓国は原発をやめるべきだ」という私たちの言い分が通ります。原発事故があったのに、日本のみなさんが原発をやめることができなければ、私たちは言えることがありません。韓国のためにも原発を必ずやめてください。