8・9長崎平和祈念式典/被爆者代表城臺美彌子さん「平和への誓い」 集団的自衛権の閣議決定は 憲法を踏みにじる暴挙です

週刊『前進』06頁(2644号06面01)(2014/08/18)


8・9長崎平和祈念式典/被爆者代表城臺美彌子さん「平和への誓い」
 集団的自衛権の閣議決定は
 憲法を踏みにじる暴挙です

(写真 平和祈念式典の後、午後から開かれたNAZENナガサキの集会で、安倍への怒りを込めて反戦反核の思いを語る城臺さん【8月9日 長崎市】)

 8月9日、長崎原爆の日の平和祈念式典で被爆者を代表して城臺(じょうだい)美彌子さんがスピーチ「平和への誓い」を行い、式典に出席していた安倍の目の前で「集団的自衛権の行使容認は日本国憲法を踏みにじった暴挙」と弾劾した。安倍はうろたえ憔悴(しょうすい)しきった姿をテレビ中継を通して全国にさらした。城臺さんは6歳の時に被爆し、被爆体験を語り継ぐ活動を続けてきた。2012年2月に結成されたNAZENナガサキの会員であり、反核反原発運動と福島の子どもたちのための保養運動の先頭に立っている。城臺さんのスピーチを紹介します。(見出しは編集局)

1発の爆弾で

 1945年6月半ばになると、一日に何度も警戒警報や空襲警報のサイレンが鳴り始め、当時6歳だった私は、防空頭巾(ずきん)がそばにないと安心して眠ることができなくなっていました。
 8月9日の朝、ようやく目が覚めた頃、あのサイレンが鳴りました。「空襲警報よ、はよう山まで行かんば」。緊迫した祖母の声で、立山町の防空壕(ごう)へ登りました。
 爆心地から2・4㌔の地点、金比羅山中腹にある、現在の長崎中学校校舎の真裏でした。
 しかし、敵機は来ず「空襲警報解除」の声で多くの市民や子どもたちは、「今のうち」と防空壕を飛び出しました。その頃、原爆搭載機B29が長崎上空へ深く侵入していたのです。
 私も、山の防空壕からちょうど家に戻った時でした。おとなりの同級生、トミちゃんが、「みやちゃーん、遊ぼう」と外から呼びました。
 その瞬間、キラッ!と光りました。
 その後、何が起こったのか、自分がどうなったのか、何も覚えておりません。しばらくたって、私は家の床下から助け出されました。外から私を呼んでいたトミちゃんは、その時何のけがもしていなかったのに、お母さんになってから、突然亡くなりました。
 たった1発の爆弾で、人間が人間でなくなる。たとえその時を生き延びたとしても、突然に現れる原爆症で、多くの被爆者が命を落としていきました。
 私自身には何もなかったのですが、被爆三世である幼い孫娘を亡くしました。私が被爆者でなかったら、こんなことにならなかったのではないかと、悲しみ、苦しみました。
 原爆がもたらした目に見えない放射線の恐ろしさは、人間の力ではどうすることもできません。
 今強く思うことは、この恐ろしい、非人道的な核兵器を、世界から一刻も早く、なくすことです。
 そのためには核兵器禁止条約の早期実現が必要です。被爆国である日本は世界のリーダーとなって、先頭に立つ義務があります。

武器の輸出は戦争への道

 しかし、現在の日本政府はその役割を果たしているのでしょうか。今進められている集団的自衛権の行使容認は、日本国憲法を踏みにじった暴挙です。
 日本が戦争ができる国になり、日本の平和を武力で守ろうと言うのですか。武器製造、武器輸出は戦争への道です。いったん戦争が始まると、戦争が戦争を呼びます。歴史が証明しているではありませんか。
 日本の未来を担う若者や子どもたちを脅かさないでください。平和の保障をしてください。被爆者の苦しみを忘れ、なかったことにしないでください。

原発の再稼働と輸出するな

 福島には、原発事故の放射能汚染で、いまだ故郷に戻れず、仮設住宅暮らしや、よそへ避難を余儀なくされている方々が大勢おられます。小児甲状腺がんの宣告を受けて、おびえ苦しんでいる親子もいます。
 このような状況の中で、原発再稼働、原発輸出、行っていいのでしょうか。使用済み核燃料の処分法もまだ未解決です。早急に廃炉を検討してください。
 被爆者はサバイバーとして、残された時間を命がけで語り継ごうとしています。小学1年生も、保育園生さえも、私たちの言葉をじっと聴いてくれます。
 このこと、子どもたちを、戦場へ送ったり、戦火に巻き込ませてはならないという思い、いっぱいで語っています。
 長崎市民の皆さん、いいえ、世界中のみなさん。再び、愚かな行為を繰り返さないために、被爆者の心に寄り添い、被爆の実相を語り継いでください。
 日本の真の平和を求めて、ともに歩きましょう。私も被爆者の一人として、力の続く限り、被爆体験を伝え残していく決意を、皆様にお伝えし、私の平和への誓いと致します。
平成26年8月9日
被爆者代表 城臺美彌子
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