イスラエルのガザ侵攻弾劾 全世界に抗議行動広がる

週刊『前進』06頁(2642号05面02)(2014/07/28)


イスラエルのガザ侵攻弾劾
 全世界に抗議行動広がる

 7月8日に始まったイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃で、住民の死者は23日までに712人、負傷者は4325人に達したと報じられている。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は約13万5千人の避難民を収容したと発表した。イスラエル軍は17日夜から地上軍を本格投入し、現在も地上と空からの猛攻撃をガザ地区に加えている。
 170万人が生活するガザ地区全域が攻撃対象とされ、住宅密集地や病院、報道機関、慈善施設なども次々と爆撃されている。白リン爆弾で市民が火だるまにされる映像や、浜辺でサッカーをしていた子どもが空爆で吹き飛ばされる様子が伝えられ、全世界に衝撃を与えている。この恐るべき破壊と大虐殺は、米欧日などの帝国主義の公然たる支持と黙認のもとで行われているのだ!
 こうした中で、イスラエルへの抗議行動が全世界で拡大している。ロンドンでは10万人がデモに立ち「英国政府はイスラエルに武器を売るな!」と声をあげた。ベルリンでも数万人がデモを行い「イスラエルへの支援停止」を政府に要求した。イスラエル国内のテルアビブでも、反戦デモが闘われている。

米の中東支配崩壊が背景に

 今回、イスラエル政府は、パレスチナ自治区ヘブロン近郊でイスラエルの少年3人が遺体で発見された事件をハマスの犯行と断定し、報復を宣言。「境界防衛」と称する総攻撃に踏み切った。米帝オバマは即座に「イスラエルの自衛権行使を支持する」と表明した。
 だが、起きている事態は断じて「イスラエルの自衛」などではない。それは戦争の実態を見ても明らかだが、より重要なことは、今日の世界大恐慌下で帝国主義の中東支配が崩壊の危機に瀕(ひん)していることが、イスラエルを絶望的な軍事行動に駆り立てているということだ。
 パレスチナをめぐっては、06年の選挙でハマスが圧勝して以後、危機にかられた米欧日などの帝国主義とイスラエルはこれを認めず、経済制裁で圧力をかけた。07年6月には自治政府内主流派のファタハを取り込んでハマスを攻撃させ、同時にハマスの拠点=ガザ地区を完全封鎖し、パレスチナ人民を分断した。
 この封鎖で、ガザ地区は生活物資が極度に不足し、失業率は40%を超え、約7割の世帯が1日1㌦以下での生活を強いられた。加えてイスラエルは08〜09年と12年11月の2度にわたり大規模なガザ攻撃を行った。
 だがこの過程で、11年エジプト革命でムバラク政権が崩壊し、イラク駐留米軍は撤退を余儀なくされ、シリア・イラクの内戦に対しても米帝は対応不能に陥り、米帝・イスラエルの中東支配は急速に瓦解した。そして今年4月23日、ハマスとファタハがパレスチナ統一政府を形成することで合意し、6月2日に暫定統一政府が発足した。07年以来の分断支配がついに破産したのだ。今回のガザ攻撃は、これに追い詰められたイスラエルの凶暴かつ絶望的なあがきにほかならない。

日帝・安倍は虐殺の共犯だ

 ここで確認しておくべきことは、7・1閣議決定をもって全世界に「戦争宣言」を発した日帝・安倍は、イスラエルによる破壊と虐殺の完全な共犯者だということだ。ガザ攻撃に世界中が猛然と抗議する中で、安倍は17日に日本版NSCの閣僚会合を開き、米企業へのミサイル部品輸出を承認し、それがイスラエルの手にわたることを公然と認めた。14日には、衆院予算委の集中審議で中東・ホムルズ海峡での機雷除去=武力行使を自衛隊に行わせると明言した。中東情勢に軍事力をもって介入し、石油強奪のために戦争をも辞さないことを宣言したのだ。
 そもそも安倍は、5月に来日したイスラエル首相ネタニヤフとの首脳会談で、防衛当局間交流の推進や諜報(ちょうほう)・軍事分野での関係強化に合意した。国家存亡の危機におののく戦争犯罪国家イスラエルを公然と支え、武器を売ってもうけようというのが、安倍の「積極的平和主義」の正体なのだ。
 日帝・安倍打倒の闘いは、今や国際階級闘争の決定的な焦点となった。全世界の労働者階級人民と固く団結し、8・6広島―8・9長崎闘争を闘いぬき、安倍打倒の8・17大集会の成功をかちとろう。「戦争か革命か」をめぐる階級決戦に勝利しよう!
(水樹 豊)

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