高陽診療所労働組合 布施医師招き講演会 福島と広島の怒りひとつに
週刊『前進』06頁(2641号06面03)(2014/07/21)
高陽診療所労働組合
布施医師招き講演会
福島と広島の怒りひとつに
(写真 怒りを込めて福島の被曝状況を語る布施医師に参加者がじっと聞き入る【7月2日 広島市】)
7月2日、高陽第一診療所労働組合は、ふくしま共同診療所の布施幸彦医師を迎えて講演会を行いました。地域の患者さんや労働者をはじめ、福島に想いを寄せる仲間が30人以上集まり、高陽第一診療所デイサービスセンターを会場に講演会と交流会を行いました。
はじめに高陽第一診療所労組の森末一義委員長があいさつ。「集団的自衛権行使の閣議決定は、戦争をする国にするための9条解体だ。国の命令に従えということは福島の切り捨てにつながっている。40年前、高陽第一診療所は被爆二世とともに生きるための医療を取り戻そうと立ち上がった。その意味を今日は被曝の現実と闘っているふくしま共同診療所と一緒に考えたい。高陽第一診療所労組は今年の8・6ヒロシマの先頭に立つ」
〝子どもたちの命と未来守る〟
布施医師は、福島県立医大や福島県医師会による「放射線の影響なし」のキャンペーンで放射線の「ほ」も言えないような閉塞(へいそく)状況の中で、子どもたちの命と未来を守る立場に立ったふくしま共同診療所の活動を報告しました。仮設住宅での健康相談を通じて政府の福島切り捨て政策と対決し、被曝労働を強制される労働者の健康問題に立ち向かう決意も表明しました。質疑応答では、お連れ合いが被爆し、甲状腺の手術、再発を経験された患者さんから「甲状腺がんは完治できるのか。子どもがかわいそうだ」と声が上がりました。
布施医師は「甲状腺がんで手術した子どもたちは、様子を見て何年後かの手術でいいという状態ではなく、リンパ節への転移や声がかすれる症状があり、今すぐ手術をする必要があった。県立医大はそうした子どもたちに『甲状腺のことは誰にも言うな、秘密にした方がいい。でないとあなたは仕事も結婚もできなくなる』と言う。学校も『うちの学校から出たと誰にも言うな』と言う。だから医大がデータを隠しても個人を守るためだということになる。広島の69年前のプレスコードと同じことを安倍政権が福島でやっている」と怒りを込めて訴えました。
福島とつながり保養に取り組み
保養の取り組みについての報告を、地域でともに活動している室本けい子さんが行い、思いを語りました。「5月、広島への保養を呼びかけるために福島を訪問し、これまで母子保養に来られた方を訪ねました。そして、気軽に検査を受けられる医療制度や保養所をつくるよう行政に申し入れしました。印象に残ったのが、浪江町の庁舎に行ったときのこと。副町長さんが『自分たちは難民。3年間一度も街に戻ってない。再稼働を望んでいるという原発のある町の市長たちは、私たちの苦しみを請け負う覚悟があるんだろうか』と言われました。私は休みごとに何度も福島の方と交流して、自分は『風化』してないと思っていましたが、2年ぶりに福島に行ってやっぱり『風化』していたなという気持ちです。広島の支えは今からです。福島とつながって、医療・保養・疎開という運動を支えていきましょう」8・6ヒロシマ大行動呼びかけ
最後に8・6ヒロシマ大行動共同代表の大江厚子さんが発言。「福島では子どもの遊び場の除染も親が言わない限り誰もやってくれないと布施先生から報告されましたが、全原発廃炉・核廃絶の闘いも、そう願って闘おうとする人たちが具体的な行動をもって始めていかないと何一つ変わらない。私たちは怒りをひとつにして呼びかけ、去年の何倍も力を大きくしていきましょう」今回の講演会は、労組の主催のもと、組合員が団結して準備や宣伝を行い、大成功しました。闘う労働組合の拠点を軸に、地域の労働者・住民と団結し、全国の仲間とともに8・6ヒロシマ大行動の成功をかちとっていく決意です。
(高陽第一診療所労働組合・矢田三恵)