NAZEN神奈川 布施医師招き学習会 診療所の重要性を確認

週刊『前進』08頁(2639号07面02)(2014/07/07)


NAZEN神奈川
 布施医師招き学習会
 診療所の重要性を確認

(写真 講演と質疑応答が活発に行われたNAZEN神奈川学習会【6月14日】)

 NAZEN神奈川は6月14日、ふくしま共同診療所の布施幸彦医師を招いて、「被曝と真正面から向き合い、命と健康を守る拠りどころに」をテーマに63人参加で充実した学習会を行いました。
 主催者あいさつでは福島の状況が語られ、動労水戸、ふくしま共同診療所の運動と闘いが楢葉町の帰町宣言を阻止したことを確認し、布施先生の講演に入りました。
 布施さんは、福島の健康被害の広がりはこれから明らかになってくると語りました。5月19日に県民健康調査検討委員会は、疑いを含めて89人を小児甲状腺がんと発表しましたが、さらに、結節5・0㍉以下のA2判定の13万6804人の中からエコーの性能上のあいまいさにより、今後増加するおそれがあるそうです。来年、再来年にはチェルノブイリで見られたがんの激増現象「アウトブレイク」が予測されるということです。
 6月10日、検討委員会の甲状腺評価専門部会で、手術したのは「声がかすれる人、リンパ節転移などがほとんどだ」と、福島県立医大・鈴木眞一教授が具体的な発症を明らかにせざるをえなくなったことなど、重大な情勢を知ることができました。
 内部被曝は危険だという立場に立って、ふくしま共同診療所を立ち上げ、仮設住宅でもさまざまな健康被害が出ているために診療所の重要性を学びました。
 知人もなく仕事もなく、不眠、腰痛、血圧悪化などが起きても、避難所を5〜6回も転々としたため治療もできない。4畳半一間にこたつを入れればベッドは入らず、毎晩布団の上げ下げを80〜90歳代のお年寄りにさせる。孤独死は34人。「福島の縮図」という言葉が胸に刺さりました。
 神奈川で、福島の親子を迎えて保養に取り組んでいる会員の報告を受けました。保養に来ると本音を言える、でも、子どもたちを守るためには福島で行動しなければという気持ちになり、一歩前に進めることになりました。保養や診療所がこうしたお手伝いをできるというのは新たな段階に入ったと言えます。
 質疑応答や意見交換では、「なぜ甲状腺がんだけが問題にされるのか」「県はなぜエコーのデータを本人に渡すと不利益が生じるというのか」「政府は甲状腺がんの発症率は他の地域と同じだと宣伝しているが」など基本的で重要な質問が出されました。そして放射能は体の特定部位に蓄積すること、検査後説明しないことが問題であること、数千のデータでは統計的に無意味であることなど学習を深めました。
 3月11日放映の「報道ステーション」では首都圏で甲状腺検査・血液検査を手がけた小平市の三田医師へのインタビューが放映されず、首都圏の被曝・健康被害の実態は隠されていること、また神奈川県内でも子どもたちには紫斑が見られ、お母さんたちが放射能を口にすると学校からもバッシングされたことが報告されました。学校給食・放射能教育による「安全キャンペーン」との闘い、横須賀に本社を置くGNF―J(国内の原発に燃料棒を供給している核燃料メーカー、GE・東芝・日立の合弁会社)への闘いなど重要な課題が提起されました。
 そして講演会のまとめとして、職場・地域で具体的な闘いを担いながら、内部被曝についての学習を深め、ふくしま共同診療所建設運動を進めることを確認しました。
 24日、全国統一行動の一環として診療所街宣を行い、署名25筆、カンパ9104円という大きな反響がありました。
(神奈川・佐伯悠)
このエントリーをはてなブックマークに追加