新成長戦略・骨太方針粉砕へ 新幹線・原発輸出は破綻し、法人減税や残業代ゼロにかける安倍
新成長戦略・骨太方針粉砕へ
新幹線・原発輸出は破綻し、法人減税や残業代ゼロにかける安倍
6月24日、安倍政権は新成長戦略「『日本再興戦略』改訂2014」と骨太方針「経済財政運営と改革の基本方針2014」を閣議決定した。
集団的自衛権を突破口とする戦争・改憲攻撃と一体のすさまじい階級戦争だ。大恐慌下の争闘戦に敗退し総破綻の危機に追いつめられた安倍は、労働者階級に対する絶望的な攻撃に総力をかけている。
2010年代中期階級決戦が始まった。国鉄決戦を基軸に階級的労働運動の爆発で安倍を倒す歴史的情勢だ。
杉並区議補選大勝利の地平の上に、職場生産点を最大の戦場として14年後半決戦を勇躍と闘いぬこう。
一切は労働者への階級戦争
新成長戦略と骨太方針はアベノミクスを自画自賛し、資本の「稼ぐ力=収益力」にかけるとした。「命よりカネ」と公言し、一切の矛盾を労働者に押しつける許しがたい挑戦状だ。
安倍は24日の記者会見で「改革にはタブーも聖域もない。あるのはどこまでもやり抜く強い意志だ」と強がった。しかしその安倍自身が執務室に株価ボードを持ち込み、株の乱高下に、片時も目を離せないありさまだ。
過剰資本・過剰生産力の根本矛盾と争闘戦が日本帝国主義を締め上げている。「異次元金融緩和」の手詰まりと1千兆円を超えた国家債務の重圧下で、130兆円に上る年金積立金の株式運用拡大による株価買い支えにすがらざるをえない惨状に陥っている。ばくちに負けたら労働者の年金資金は泡のように消える。こんなことは許されない。
13年6月の日本再興戦略で、20年の受注額を10兆円から30兆円にするとぶち上げたインフラ輸出は、今や見る影もない。安倍が巨額のODA(政府開発援助)資金を餌にトップセールスで活路を開こうとした新幹線・原発輸出などは、ことごとく争闘戦に敗れ、現地の階級闘争の爆発の中で頓挫している。
最末期帝国主義の絶望的な延命策である新自由主義は、大恐慌と大争闘戦、戦争危機のなか、世界のどこにも経済発展の余地がなく総破綻している。日帝・安倍は労働者に対するむき出しの階級戦争と侵略戦争に突進せざるをえない。
労働者の怒りが火を噴き、労働組合の闘いが国鉄闘争を基軸に燃え上がっている。まさに戦争か革命かをかけた2010年代中期階級決戦への突入だ。
雇用・社会保障の解体許すな
新成長戦略は、〝潜在力を覚醒させ制度・慣行を一変させるラストチャンス〟とわめきたてた。「潜在力の覚醒」とは何か。搾取・収奪を極限まで強め「残業代ゼロ」で死ぬまで働かせる雇用・労働破壊のことだ。「時間ではなく成果で評価される新たな労働時間制度の創設」は、労働時間規制と労働時間に基づく賃金という労働者階級が血を流してかちとってきた全歴史をひっくり返す大攻撃だ。
新成長戦略は、「担い手を生み出す〜女性の活躍促進と働き方改革」を掲げた。労働力減少をわめきたて、子ども・子育て支援新制度に続く放課後児童クラブの30万人拡大、金銭による争議解決(解雇自由化)、限定正社員、外国人技能実習制度拡大を打ち出した。「国家戦略特区を突破口とする大胆な規制・制度改革」がその手口だ。
税と社会保障の「あらゆる障壁を解消して」女性・若者・高齢者・障害者を極貧状態に追い込み、徹底的に労働市場に駆り出す。それをテコに全労働者の低賃金・非正規職化を一層進めるということだ。
医療・介護を「健康産業」などと言い換えた。命にかかわる領域を「どう成長市場に変え」、どうむさぼり食うかの問題に置き換えた。全面民営化・外注化・非正規職化であり、「医療と介護を一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度」や混合診療の拡大を打ち出した。社会保障としての医療・介護制度の最後的解体だ。
「攻めの農業」で今後10年間にコメの生産コストを4割削減、法人経営体を4倍の5万法人に、現在1兆円の市場規模を20年には10兆円にするとぶち上げた。TPPと一体となった農民の切り捨て、資本による農地「囲い込み」と餌食化だ。
骨太方針は「経済再生と両立する財政健全化」を掲げた。
社会保障は「聖域なく見直し徹底的に効率化・適正化していく」として、医療・介護とともに年金・生活保護解体の攻撃を列挙した。「高齢者の就労支援やボランティア活動」を進め、最低賃金以下の労働者で賄う。
法人税引き下げと代替財源の確保を打ち出し、政府税制調査会は、外形標準課税によって赤字経営の中小企業から取り立てる案を示した。
さらに原発再稼働と巨額のリニア新幹線計画を打ち出した。「聖域なき歳出削減」が聞いてあきれる。すべてが一握りの巨大資本のためにある。
同時に、「除染・廃棄物処理・中間貯蔵施設の整備を加速し......早期帰還支援策等を引き続き推進する」と言っている。福島切り捨てと被曝強制の憎むべき宣言だ。
新自由主義の成長戦略の根幹は、民営化と労組破壊攻撃だ。
骨太方針は、公務員改革として「5年で10%以上の定員合理化」(=大量首切り)と「公務員給与改定」を打ち出した。公営企業・公立病院改革、公立学校の公設民営化や公共施設運営の官民連携(PPP)・民間資金活用(PFI)は「大きな市場と国際競争力強化のチャンスをもたらす」とした。
しかし民営化・外注化はすさまじい安全崩壊をもたらす。JR北海道や川崎駅の事故、セウォル号事故の現実を見よ。
「抜本的な少子化対策」と言うが、労働力の減少は、青年労働者の非正規職化と超低賃金・長時間労働の強制がもたらしたものだ。この新自由主義を打ち倒す時だ。
集団的自衛権行使と一体で
特筆すべきは「経済財政運営」の骨太方針であるにもかかわらず、国家安全保障と治安確保を声高に叫び出したことだ。
「海外の資源権益確保」を掲げて積極的平和主義を強調し、ODAの戦略的活用(=他国軍隊支援)、在留邦人・在外企業の安全確保、防衛力整備と防衛生産・技術基盤の強化(=軍需・武器輸出)から、テロ・組織犯罪や不法滞在対策、海洋の安全確保から宇宙インフラ(=軍事衛星)の整備・活用にまで言及した。経済と軍事の一体化だ。いかに日本帝国主義の危機が深まり、追いつめられているかを示す。
すでに、経団連の14年版経営労働政策委員会報告は「海外労使紛争の現状と課題」として、アジア各国でのストとデモの爆発で日系企業が操業停止に追い込まれている状況を取り上げた。インドネシアではゼネストに決起した労働者が日系企業の工場長を取り囲んで大幅賃上げなどを実力でかちとっている。これに対し、経団連は現地労働組合の御用組合化とともに行政機関との連携(=弾圧)を強く打ち出した。許しがたいことに連合・金属労協は「紛争の未然防止」に御用組合として奔走している。骨太方針はそれをさらに進め、軍事を前面に掲げたのだ。
安倍の集団的自衛権への突進は、帝国主義的侵略戦争に直結している。軍事と治安への言及は、階級的労働運動と国際連帯、プロレタリア革命への恐怖にほかならない。
政労使会議=連合打倒せよ
すでに職場生産点で新自由主義に対する闘いが火を噴いている。
動労千葉・動労水戸のストが安倍・葛西を追いつめ、JR体制打倒の壮大な闘いとして発展している。青年労働者が解雇絶対反対の闘いの先頭に立っている。都知事選に続き、杉並区議補選の大勝利がかちとられた。
反戦のとりで・三里塚は国と資本の農地強奪・軍事空港建設に絶対反対で闘いぬいてきた。新自由主義との闘いの最前線だ。労農同盟の旗高く闘いぬこう。
新成長戦略と骨太方針は、連合を加えた「政労使会議」の成果を何度も強調した。「引き続き......雇用・賃金・その他関連する諸制度のあり方についても検討する」とし今秋から「残業代ゼロ」制度導入の協議に入るとしている。いい加減にしろ。いかに安倍が連合幹部の取り込みと協力にすがろうと労働者階級の怒りの反乱と闘いの爆発を抑えることはできない。
追いつめられているのは敵の側だ。安倍は打倒できる。労働組合の闘いが勝敗を決する。JR体制打倒し革命勝利へ。青年先頭に職場生産点で真っ向から闘いぬき、闘う労組拠点・細胞建設を進めよう。
(大迫達志)
------------------------------------------------------------
「日本再興戦略」改訂2014 目次から
改訂戦略における鍵となる施策
1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す
(1)企業が変わる
(2)国を変える
2.担い手を生み出す〜女性の活躍促進と働き方改革
(1)女性の更なる活躍促進
(2)働き方改革
(3)外国人材の活用
3.新たな成長エンジンと地域の支え手となる産業の育成
(1)攻めの農林水産業
(2)健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供