すき家でスト! ちば合同労組委員長諸町三夫さんに聞く 過酷な労働と賃金カットに怒り 非正規職労働者の総反乱始まる

週刊『前進』06頁(2636号03面04)(2014/06/16)


すき家でスト! ちば合同労組委員長諸町三夫さんに聞く
 過酷な労働と賃金カットに怒り 非正規職労働者の総反乱始まる

 5月29日、ちば合同労組の諸町三夫委員長は、全国の熱い注目と期待の中で「すき家スト」に立ち上がり、6・8国鉄集会で闘いの報告を行った。諸町さんに今回のストについて話を聞いた。(編集局)

ワンオペ強制に各地で反乱

 ――ストにいたる経緯を教えてください。
 今年に入って、牛丼のすき家の労働条件のあまりのひどさが、誰にも見える形で明らかになっていきました。特に深夜から早朝の時間帯に、アルバイトがたった一人で店を切り盛りするワンオペレーション(ワンオペ)という体制が多くの店で強制され、大問題になりました。あまりの忙しさに対応できず、店員は悲鳴を上げて次々と辞めていく、店が開けないという事態が次々と起きたのです。インターネット上の掲示板では、「辞めよう」「みんな辞めるなら俺も」などの書き込みが急増し、過酷な労働への怒りが、職場離脱の続出として表れたのです。
 それが5月に入って、「29日の〝肉の日〟に全国のすき家で一斉にストをやろう」という呼びかけに発展し、どんどん高まっていきました。
 私たちちば合同労組はこの状況を目の前にして、労働組合として非正規労働者の怒りにどう応えるのかと真剣に議論を重ねました。そして「中途半端な対応はできない。正式に通告してストをやる」という決断を下しました。
 私はすき家のゼンショー傘下の牛肉を加工する船橋の工場で働いています。指名ストで私がストに入りました。
 ――要求項目はどのようなものですか?
 ①店舗の要員を増やしワンオペを廃止する、②5月29日のスト(すべての形態)参加者を処分しない、③店舗閉鎖や減産などに伴う従業員の不利益をすべて補填(ほてん)する、④アルバイト・パートの時給を一律1500円に。この四つの要求項目を掲げ、本社にFAXで送り、30日までの回答を求めてストを通告しました。ネットニュースで大きく取り上げられて話題になり、「千葉ではストをやってもいいんだ。動労千葉もいるし」なんていう書き込みも現れ、期待感が高まったわけです。

(写真 5・29スト当日、駅前で組合の仲間とともに情宣に立つ諸町さん【ちば合同労組ブログより】)

ストライキに職場から共感

 ――当日はどのような状況でしたか?
 この日は早朝から最寄りの駅前に立ち、組合の仲間とともにビラを配布し、出勤する同僚にストへの理解と支援をマイクで訴え、多くの共感を得ました。
 結果として、正式にストを行ったのは私たちの組合だけでしたが、すき家で働く全国の労働者の中から、自主的に休暇、欠勤、早退などの形で立ち上がる人が次々と現れたのです。ゼンショーは「ストで閉まった店は一軒もない」などと公式声明を出したのですが、実際には「どこそこの店舗が閉まっている」という情報が飛び交い、資本を追い詰めた手応えがはっきり感じられました。
 ――ストをやって経営側の反応は?
 経営側は私がストを行ったことについて、表立って触れることもできないという現状です。しかし気を抜けません。職場の労働者を、会社側、労働組合、どちらが組織するのかという激しい攻防局面に入ったことを、私は強く感じています。
 ――今回のストですき家で働く労働者の現状を訴えましたね。
 全国に2千店舗あるすき家のうち、ひどい時で250店が人員不足で一時閉店に追い込まれたと言われています。
 食に対する責任が放棄されたに等しい。これは非正規職化の結果です。本来、正社員がやるべきところを非正規に置き換えて、人件費を極限的に削減してきたわけです。
 そうした閉店によって、うちの工場も生産量がガクンと減り、私も通常8時間働いていたのが、6時間、5時間に減らされるようになりました。私たち工場労働者もこのままでは生活できないところに立たされた。この現状を変えなければならぬとの思いで、私はストに立ちました。

日本労働運動変える一歩に

 ――今回のストの意義をどのようにお考えですか?
 「たった一人のスト」とも報じられ、確かに規模は微々たるものでしたが、今の情勢とかみ合った闘いだったと胸を張って言えます。一緒に闘う仲間、理解と共感を寄せる非正規労働者の仲間が何千人、何万人もいる。このことに確信をもってさらに闘いを進めていこうと思います。
 もちろん私一人の力ではなく、ちば合同労組の団結があったからできた。東京西部ユニオン鈴コン分会の勝利や動労千葉・国鉄闘争の前進があって私たちも闘えた。そういう全体で切り開いたストだったと思います。
 未組織の青年労働者がネットでストを呼びかけあって、生きる道を求めて立ち上がる――そういう時代が始まった。これが非正規労働者の総反乱に発展すれば、日本の労働運動の状況は一変するのではないか。そこに到る第一歩を、このストライキで切り開いたと実感しています。
 ――ありがとうございました。

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