全金本山資本が不当労働行為を謝罪 青年の獲得へ突破口
全金本山資本が不当労働行為を謝罪
青年の獲得へ突破口
34年間の解雇撤回闘争に勝利し原職復帰をかちとった全金本山労働組合は、組織拡大をめざし職場闘争を力強く闘っている。(編集局)
●新人教育で労組攻撃
全金本山労組は、34年間の解雇撤回闘争に勝利して05年3月職場復帰し、休む間もなく職場闘争を開始した。春闘の取り組みや反原発、国鉄闘争、非正規職撤廃などの闘いの工場内情宣活動とオルグ活動を展開してきた。11年3・11東日本大震災・福島第一原発事故をめぐる悲惨な現実と全金本山労組の朝ビラ情宣活動は、東北電力労組とともに原発建設を積極的に推進してきた同盟本山=JAM労組を追い詰めてきた。
そうした中で、オルグした数人の第二組合(御用組合)青年労働者から会社の行ってきた不当労働行為の事実が明らかにされた。「新入社員教育で全金本山労組の争議ビデオを見せられ、JAMに入れと言われた」という。首を切られた仲間を守って34年間闘い抜いてきた全金本山労組組合員は、職場に戻ってもなお労働者の利益を守るために元気に闘い続けている。その「労働者魂」が青年の心をとらえていることの証しだ。
会社が新入社員教育の教材として使用した争議ビデオなるものは、第二組合が争議中に「マル金暴力集団」「全金本山は労働組合ではない」と、全金本山労組の闘いを攻撃する目的で編集・制作したものである。争議中には全社的に上映会を行って「全金本山への対決」をあおり、さらに「極左暴力集団と対決する民主的労働運動の推進」と称して解雇撤回闘争を破壊するために全国の同盟労組で上映運動をやっていた。
会社はこのビデオ映像を同盟本山労組から入手し、08年から4年間、新入社員の研修教材として上映し、「JAM労組に入れ」と加入を強要していたのだ。
労働組合活動に対する支配介入は明白であり、不当労働行為だ。全金本山労組は、直ちに「不当労働行為を認めろ! 謝罪しろ!」と会社への追及行動を開始した。
団交で会社は、問題の映像を使用した事実は認めた。しかし、社長と工場長は「問題の映像の使用は知らなかった。総務部長が独断でやった」と言いつつ、「会社の歴史教育の一環に映像を見せただけ」「支配介入の意図でやっていない」「ビデオは開示しない」と証拠のビデオも見せもせず不当労働行為を否定して逃げ回ったあげく、「第三者機関に委ねたい」と団交すら拒否した。
労組は、工場構内での朝ビラとマイク情宣、ストライキを打ち抜きながらの工場内座り込み抗議行動、親会社栗本鐵工所の株主総会闘争を闘い続けた(写真)。御用第二組合が多数を占める職場内での攻防の中で、同期・同年齢との賃金格差の是正、差別賃金是正の闘いなども併せて闘い、賃金是正をもかちとった。
労組は、摘発・追及から2年間の攻防を経て今年4月、会社に不当労働行為を謝罪させ、再発防止に努力することも確認させた。会社は謝罪文を手交し、社内掲示板に1カ月掲示、社長が年度初めの全社朝礼・全社員の前で謝意を表明、出先事業所においても社長訓辞内容の書面を配布した。
●国鉄闘争闘い原職復帰
全金本山闘争は、本山製作所によるあらゆる不当労働行為を集中した組合つぶしの攻撃と闘い抜いてきた。74〜75年恐慌後、減量経営という名の首切り・倒産攻撃、長期争議の和解収拾攻撃、吹き荒れた刑事弾圧、民間先行に始まる労戦統一=連合結成という新自由主義の攻撃を突き破って、国鉄分割・民営化攻防、1047名解雇撤回闘争とともに全国争議拠点として多くの労働組合・労働者の熱い支援のもとで闘われてきた。そしてついに、12000日の激闘に勝利し、05年3月、解雇撤回・原職復帰をかちとったのである。
07年2月、本山資本に代わって100%株主として登場した栗本鐵工所は、全金本山労組が職場復帰したことによって崩壊の危機に陥っている労務政策を立て直そうと、派遣した経営者のもとで第二組合委員長経験者を工場長と労務担当総務部長に据えて差別・分断の攻撃を続けてきた。そうした中で労務担当は、JAM御用労組をテコ入れして新入社員の教育研修で御用第二組合が制作した争議ビデオを新入社員に見せて、「(全金本山に入るな)JAM労組に入れ」と不当労働行為に手を染めてきたのだ。
●二組の労働者獲得へ
資本の憎むべき不当労働行為を謝罪させた闘いは、34年にわたる闘いの勝利の土台の上に、職場復帰してなお「職場に砦(とりで)、地域に共闘を」の闘いを続ける労働者魂を示す。組合が小さくとも、労働者の階級的利害をかけた原則的闘いと固い団結で毅然(きぜん)と対決すれば会社の攻撃など打ち破れるということだ。JAM御用幹部を使った会社の労働者支配を打ち破り、第二組合の労働者・青年を獲得する突破口が切り開かれたのだ。
全金本山労組は、国鉄1047名解雇撤回・10万筆署名、反原発などを職場で闘い抜いて、JAM労働者、青年労働者の組織化のために日夜奮闘している。ともに闘おう、団結しよう。
(投稿/全金本山労組副委員長 長谷武志)