杉並補選 「生きさせろ」の大反撃を 動労水戸ストに広範な支持 5・31いわき 常磐線竜田延伸阻止へ大集会 法大弾圧、武田君の起訴弾劾 記事6面
杉並補選 「生きさせろ」の大反撃を
動労水戸ストに広範な支持
5・31いわき 常磐線竜田延伸阻止へ大集会
法大弾圧、武田君の起訴弾劾 記事6面
「福島切り捨てを許さない! 竜田延伸反対! 5・31総決起集会」が5月31日、いわき市平中央公園で動労水戸の主催のもとに開かれた。福島を始め全国から520人の労働者・学生が結集し、安倍政権とJRへの怒りをともにたたきつけた。集会後、いわき市内をめぐるデモと、いわき運輸区前での抗議・激励行動が打ちぬかれた。被曝労働拒否を掲げた労働組合の決起が、抑え込まれていた福島の怒りを解き放ち、闘いは労働運動の歴史を塗り替える画期的なものになった。前日の30日にJR東日本・水戸支社は6月1日からの常磐線・広野―竜田間の運行再開を宣言した。乗務員と乗客に被曝を強い、住民に汚染地域への帰還を強制する許しがたい暴挙だ。これに対し動労水戸は30日から31日までの全乗務員ストに突入。31日の集会とデモは、ストのただ中で闘いぬかれた。(関連記事2、5面)
集会は群馬から駆けつけたスパングルズの原発反対のメッセージソングから始まった。きらびやかな衣装と甘い歌声が、会場の熱気と集中度を一気に高めた。
主催者としてあいさつした動労水戸の石井真一委員長が、「JR水戸支社は6月1日運行再開と発表した。原発事故は何も収束していない。その原発に向かって電車を走らせることは絶対に許せない。今日の集会とデモで政府・JRに怒りを爆発させよう」と訴えた。
広島から駆けつけた高陽第一診療所労組の森末一義委員長は、福島との固い連帯を表明し、階級的労働運動の力で安倍を倒す闘いとして8・6広島への総決起を訴えた。
動労千葉の田中康宏委員長は、「動労水戸の闘いは日本の労働運動に新しい1ページを記した。これは国鉄労働者の誇りをかけた闘いだ」と切り出して、「韓国・セウォル号事故で命を落とした300人以上の高校生、福島で命を落とした仲間、トルコ炭鉱事故で命を奪われた300人以上の労働者の命を取り戻さなければならない。それは今の社会のあり方を覆すということだ」と提起し、6・8国鉄集会への大結集を呼びかけた。
国労郡山工場支部の橋本光一さんは、「竜田延伸は、国鉄分割・民営化で20万人の首を切り、人の命をへとも思わない連中がやっていることだ」と怒りをあらわにし、竜田延伸に対し組合の違いを超えて闘うべきだと国労内で激しい議論を重ねてこの場に来ていることを報告した。
星野全国再審連絡会議の星野暁子さんは「福島を切り捨てる安倍の攻撃に動労水戸が労働組合として立ち上がった。激動の時代、ここに社会を動かす力がある」と述べ、星野文昭さん奪還へ、6・29星野全国集会への結集を呼びかけた。
6月杉並区議補選に挑む元杉並区議の北島邦彦さんは、前日から福島に入り、仮設住宅を訪ね、農民と交流し、福島の怒りを体でつかみとったと報告し、「選挙戦の中で必ず杉並に闘う労働組合の拠点をつくる。動労水戸のようにストライキで自分たちの生活や未来を切り開く労働組合をつくり出す」と熱を込めて表明した。
福島の怒りで社会変える
福島から、ふくしま共同診療所医師の布施幸彦さんが発言に立ち、「ふくしま共同診療所、国労郡山工場支部、動労水戸平支部の三つの闘いが発展すれば福島から新しい反原発の運動をつくることができる」と訴えた。また、診療所に受診に来た人たちの多くが、その事実を周囲に語ることもできないほどに分断を強いられている福島の現実を語って、「診療所はこの分断を打ち破る拠点になる」と表明した。
この日の闘いに先立ち、1週間連日、福島駅前で行動参加を訴えるチラシまきを続けてきた福島県の母親は、「子どもたちの甲状腺がんが増え続けても放射能の影響とは認めない国や県は信じられない。今まで私は『子どもたちを避難させるべきだ。給食は安全なものを食べさせてほしい』といろんなところでお願いしてきたが、何も動かない。ストライキとか、自分たちの力で何とかしないと何も変わらないと実感した」と発言した。また、動労水戸の闘いは原発作業員の安全を守ることにもつながると述べて、「竜田延伸に絶対反対、子どもたちは絶対に原発から30㌔以内に戻してはいけない」と訴えかけた。
希望の牧場代表の吉沢正巳さんは、安倍政権の福島県民に対する棄民政策を体を震わせて弾劾し、「原発の時代をのりこえ、社会体制そのものを変えるためには、実力闘争、体を張るしかない」と力説した。
福島診療所建設委員会の佐藤幸子さんは「福島の子どもたち、世界中の子どもたちは原発は嫌だと思っている。その思いを抑圧する社会であってはならない」と述べ、ドイツの高校生から診療所にカンパが寄せられたことを報告した。
ふくしま合同労組の藤井千賀子書記長は「県も国も命より金を優先することがはっきりした。こんな世の中、変えなかったら殺される。労働者が組合として闘ったらものすごい力になる。それを動労水戸の闘いが示してくれた。どんどん組合をつくって生きるための闘いを」と訴えた。
福島大学の学生は、反原発のビラを学生がまくと職員が妨害してくる福島大学の現実を暴き、これを覆すために全国の大学に学生自治会を建設すると決意を述べた。
地元のいわきからは、畜産業を営む農民が発言に立ち、原発事故に加えTPPで福島の農民を圧殺する安倍政権に激しい怒りを表明した。
動労総連合の青年先頭に
これらの発言を受け、動労水戸の青年組合員、照沼靖功さんが「運行再開は住民が望んでいることではない。会社のしていることをぶっつぶす勢いで闘う」と宣言した。動労総連合各労組の青年組合員が壇上に並び、力強く決意を述べた。
集会のまとめと行動提起を行った動労水戸の辻川慎一副委員長は、「竜田延伸が住民から待ち望まれていたかのように報道されているが、事実はまったく違う。われわれが仮設住宅にビラを配ったら、『国鉄の労働組合が闘っている。さすが国鉄の労働組合だ』という反応が返ってきた。これが本当の声だ」「安倍は国民を守るために集団的自衛権の行使が必要だというが、政府が国民を守ったことがあるのか。仮設住宅の人たちは原発事故で生活を根本から奪われた。戦後一貫して、政府は労働者民衆の命を踏みにじってきた。その厳しい時代を生き抜いてきた人たちの怒りの火が大きく燃え上がった時、時代は変わる」と訴えた。
集会後のデモはいわき市民の圧倒的な関心を集めた。あちこちでデモ隊に手を振る住民の姿が見られた。デモ終点のいわき駅前では鈴なりの人びとがデモに注視し、迎え入れた。竜田延伸反対という訴えの正義性が、住民に染み通ったのだ。
デモ終了後、いわき運輸区前に移動した参加者は、JRを弾劾し、乗務を強いられる労働者への激励行動を貫徹した。マイクを握った石井委員長、辻川副委員長は、「労働組合は労働者の命を守るために資本と闘うものだ。動労水戸はすべての闘いに勝ってきた。人間としての生き方を貫くために、動労水戸に結集を」と熱く運輸区の労働者に呼びかけた。