裁判員制度いらない市民集会 制度廃止必ず実現 安倍と対決し勝利を誓う
裁判員制度いらない市民集会
制度廃止必ず実現
安倍と対決し勝利を誓う
「裁判員制度はいらない! 5・21市民集会」(1面)では、初めに星野再審全国連絡会議の星野暁子さん、新捜査手法反対連絡会議呼びかけ人の西村正治弁護士、09年裁判員候補者で「裁判員制度いらない千葉県実行委」の井上實さんがアピールした。
星野さんは、「検察の証拠開示をかちとることが決定的。獄中39年、現在68歳の星野を70歳までに取り戻したい」と決意を語り、6・29星野全国集会(上野公園)への総結集を呼びかけた。
西村弁護士は、政府・法務省が、盗聴捜査の大幅拡大や司法取引、匿名証人制度など、これまでの刑事訴訟制度を大転換させる新捜査手法の導入を狙っていることを弾劾し、日弁連の屈服を許さず徹底的に闘うことを呼びかけた。
井上さんは09年以来毎月、千葉で街頭宣伝・署名活動を続けていることを報告し、人権無視・憲法違反の裁判員制度を廃止するまで闘うことを呼びかけた。
福島国賠訴訟の弁護団から報告
続いて、福島地裁郡山支部の強盗殺人事件の裁判員裁判に動員されて「急性ストレス障害(ASD)」を発症し、国家賠償請求訴訟を起こして闘っている女性原告の代理人の織田信夫弁護士と佐久間敬子弁護士の裁判報告が行われた。織田弁護士は、とりわけ11年に最高裁大法廷が上告趣意にないことまで判断して裁判員制度合憲の判決を出したことを弾劾し、今回の国賠訴訟では「15人の最高裁裁判官の不法行為」を提訴理由に追加して闘っていることを述べた。これに対して国(被告)側は、まったくまともな反論ができないままである。
佐久間弁護士は原告の現状について、急性ストレス障害が今も続き、身体、精神、経済面などあらゆる面で苦しみを受けていること、さらに彼女は事件の生々しい現場写真や録音テープによるショックだけでなく、「わけが分からないままに死刑判決にくみしてしまったこと」への自責の念、加害意識に苦しんでいることを報告した。そして佐久間さんは、「これは徴兵、戦争による兵士の心の傷につながる」と述べ、「裁判員制度が早く廃止され、原告の状況が少しでも楽になればと願っています」と結んだ。
山本太郎さん 連帯のあいさつ
特別ゲストとして山本太郎参議院議員が登壇した。「私が裁判員制度反対運動と出会ったのは3年前、有楽町マリオン前で署名したことから。裁判員制度は、冤罪のなくならないこの国で、私たちにその片棒を担がせようとしている。今は『本物の赤紙』が来そうな状況。国会では、被曝問題など『カネにならない』ことはどんどん切り捨てられる。『原発いらない、TPPいらない、秘密保護法も裁判員制度もいらない!』とみんなで大きな声を上げて頑張っていきましょう」と呼びかけた。力強いアピールに、参加者は大きな拍手でこたえた。
続いて「『絶望の裁判所』の先に」と題して、元裁判官で弁護士の遠藤きみさんが発言した。遠藤さんは話題の書『絶望の裁判所』(瀬木比呂志著、講談社現代新書)を紹介しながら、今日の裁判所が最高裁を頂点にどれほど官僚化し腐敗・堕落し、上をうかがう「ヒラメ裁判官」が増えているかを、遠藤さん自身の裁判官時代の体験も語りながら明らかにした。
高山俊吉さんが勝利の展望語る
最後に大運動の呼びかけ人である高山俊吉弁護士が発言した。高山さんは、「裁判員制度は崩壊の危機に直面している」とその破綻状況を具体的に明らかにした。たとえば公判前整理手続きがどんどん長くなり、導入時の09年には平均2・8カ月だったのが今では6・9カ月に延びている。それは「簡易・迅速裁判」に対する弁護人や被告人の抵抗があるからだ。今、裁判所の内外に裁判員制度の流れに抗するものが生まれている。決定的なことは、「拒否」の圧倒的な高まりである。最高裁が昨年度に行った意識調査で、裁判員裁判に「参加したくない」が実に85・2%に上昇した。女性では9割に達する。裁判員制度は人民に圧倒的に拒否されている。最高裁も日弁連もマスコミも、この数字を見据えることができず推進論にしがみついているが、破綻の瀬戸際、存亡の危機に直面していることは明白である。
高山さんは、「しかし廃止するには一層の闘いが必要だ。ガスが充満しても火花が散らなければ爆発しない。私たちがその火花になろう!」と呼びかけた。「この国は戦争に向かって突き進んでいる。それは支配の不正義と危機のゆえだ。裁判員制度廃止で勝ったら、その先には正義を実現する力がこの国にみなぎるだろう。その突破口を担おう。これは希望の闘いだ」と締めくくった。
安倍政権の戦争・改憲、福島切り捨てと真っ向から対決し、裁判員制度を廃止に追い込み、安倍政権を必ず打倒するぞという決意が湧き出る集会だった。