6・8集会を新たな闘いの出発点に 田中康宏動労千葉委員長が訴える

週刊『前進』08頁(2634号03面01)(2014/06/02)


6・8集会を新たな闘いの出発点に
 田中康宏動労千葉委員長が訴える


 6月8日の国鉄闘争全国運動大集会は目前に迫った。5月22日に東京都内で行われた集会実行委員会(記事別掲)での動労千葉・田中康宏委員長の提起(要旨)を紹介します。(編集局)

新自由主義攻撃に対し全面的な反撃が始まる

 6・8集会を階級的労働運動の再生をめざす新たな闘いの出発点にしたいと考えています。われわれは2010年、このまま日本の労働運動を解体させてなるものかという思いから1047名闘争の政治決着に抗して国鉄闘争全国運動を提起しました。新たな情勢の中で、それに次ぐ決意と決断が求められています。
 ウクライナをめぐる情勢やアメリカの対中国政策など国家間の対立や矛盾が戦争の危機となり、怒りに震えた膨大な労働者の声がゼネストやデモになって世界中で噴出している。セウォル号で殺された300人を超す高校生たち、トルコの炭鉱労働者たち。資本主義、新自由主義の行き着いた果ての恐るべき現実が膨大な労働者の生命を奪い、張り裂けんばかりの怒りが爆発している。そのときに、誇り高き労働者としてなすべきことは何か。決意も新たに、歴史に一歩踏み出したい。
 レーニンは革命的情勢の急接近を「将来に確信を持っている政府はひとつもない。すべては噴火山上にある」と表現しました。今、われわれもその渦中にある。
 国鉄闘争全国運動を本格的に発展させることでこの時代に勝負したい。そう考えてこの間、3労組での討議、呼びかけ人会議での討議、韓国・民主労総との討議を経て、きょうの実行委員会を開催しています。国鉄闘争全国運動が目指しているのは、国鉄分割・民営化でいったんは解体的な後退を強いられた労働運動をもう一度よみがえらせようということです。これまでの労働運動の常識から言えば、最高裁判決が出ようという状況でさらに闘いを発展させた歴史はありません。だけど今回は絶対に闘いを発展させて労働運動の新しい1ページを記したい。
 韓国では鉄道労組が民営化に対し歴史的な反撃に立ち上がっています。この闘いと結びつくことなしに日本の労働運動の勝利はないと考え、6・8集会に韓国・民主労総の同志に参加してもらうことにしました。
 昨日、大飯原発の差し止め訴訟で画期的な判決が出されました。安倍政権には絶対容認できない判決です。支配階級も危機の中で分裂している。1047名解雇撤回闘争でも最高裁で解雇撤回の判決を出させてやるとあらためて決意しました。

国鉄闘争全国運動は歴史的地平きり開いた

 国鉄分割・民営化に真正面から立ち向かい、今も闘い続けていることこそわれわれが実現してきた地平です。戦後労働運動の最高の到達点だと言っても過言ではない。国鉄闘争全国運動は、国労などが2010年に全部闘いの旗を降ろしてしまう状況の中で始まった。本当にそれでいいのかという叫び声を社会的な力をもつものに組織してくれたのは皆さんの闘いです。戦後最大の労働争議と言われた三池闘争も、その闘いを持続的に発展させることはできていない。歴史に名を残す大争議が無数にありますが全部そうです。
 国鉄分割・民営化は、まさに戦後最大の攻撃でした。総評・社会党が解体されたのです。朝鮮戦争の時に産別会議が解体されたことに次ぐ歴史的攻撃だった。今もわれわれがそれと対決し、国鉄改革法を打ち破ろうとしていることは本当に労働運動史に前例のない地平です。それが6・29東京地裁判決や9・25東京高裁判決としてかちとられた。重要なのは裁判の結果ではなく、この闘い、国鉄闘争全国運動です。
 しかし、切り開かれた地平が大きければ大きいほど、問われる課題も大きくなる。ここから先を中途半端にしてしまったら逆に労働者に絶望を与えてしまう。最高裁判決が例えどうなろうと、この闘いを徹底的に最後までやり通せたときに労働者の圧倒的な信頼が僕らの後についてくる。そういう歴史の分岐点に立っているという認識が必要です。怒りの声は社会に満ちていて、そのすべてを結びつけることができる。

安倍の反動的突出と対決を

 安保法制懇の報告が出され、安倍は改憲、集団的自衛権行使へとしゃにむに突っ走っています。安倍を駆り立てているのは、自らの足元が崩れ落ちようとしていることへの恐怖です。その一方で派遣法改悪、労働時間規制解体、限定正社員制度導入、国家戦略特区の指定など、総非正規職化と解雇自由への最後の扉が開かれようとしている。だけどもう限界です。資本の支配が限界を超している。「すき屋」の反乱がそれを象徴している。
 日本の場合は国鉄分割・民営化から始まったから、歴史の必然としてその崩壊がJRから始まっている。JR北海道の異常さを見てほしい。
 今、JRは、安倍政権の労働政策のモデルを作る位置を与えられている。葛西が安倍の政治的顧問だからです。JRの本体には現場的な業務はほとんど残らないところまで外注化攻撃がエスカレートしている。駅業務の丸投げ外注化のために作られたステーションサービスという外注会社は一生で3回しか昇給しない限定正社員しか採用しない。分割・民営化の手先になったカクマルすら、最後的に使い捨てられようとしています。
 われわれは、こうした現実を韓国やトルコと同じように政権が倒壊寸前の危機に揺らぐところまでもっていかなければならない。その力は労働運動がもう一度息を吹き返す以外に生まれてこない。国鉄闘争をもう一歩前進させることでその力をつくろうというのがわれわれの路線です。
 残念ながら、民営化攻撃に労働組合が真正面から立ち向かって団結を守りぬいた前例は国際的に見てもほとんどなかった。韓国鉄道労組の23日間のストライキはまさに歴史的な反撃の開始を告げました。本当に素晴らしい団結力と闘争力です。このストライキを通して、韓国世論全体が、民営化反対に獲得されるという驚くべき事態が起きた。セウォル号の事件はその渦中で起きた。闘いの炎は燃えひろがり、セウォル号問題でKBSの記者がストに入った。民営化や規制緩和、外注化と労働運動の再生をかけて真っ向勝負できる情勢が到来しています。

動労千葉・動労水戸ストは普遍的意味もつ挑戦

 すでにわれわれは新たな挑戦を始めています。それが外注化粉砕・運転保安確立に向けた5・2の動労千葉のストライキであり、福島を見殺しにするなと訴えて闘われた5・10の動労水戸の竜田延伸反対ストです。
 5月2日のストライキは、ほとんど教育もしないままCTSの労働者に列車の検査をやらせようとしたことに対する闘いです。「CTSプロパー採用の仲間たちを守れ!」「外注化粉砕、運転保安確立!」を訴えてストに突入しました。JR北海道で首を切られたのは23歳と退職間際の労働者です。セウォル号では乗組員に殺人罪が適用された。電車の構造もまったくわからないまま検査をやらされ、事故が起きたら首を切られるのはCTSの労働者です。動労千葉の組合員だって「下請け労働者を犠牲にするな」と訴えてストライキに入るという感覚はこれまでだったらなかった。外注化という敵の攻撃と、それに立ち向かおうという決意が闘いの新しい条件を生み出した。われわれ自身、それが大きな可能性をはらんでいることを、闘いに立ち上がったことによって自覚できた。JR本体の労働者とCTSの労働者が本当にひとつになれる実践的展望が見えてきた。そうなれば、この社会をひっくり返せる。これは普遍的な意味をもつ新たな挑戦です。
 この闘いを通して、外注化攻撃の弱点は安全問題にあること、JRと一体で下請け労働者を組織することに成功したときに、外注化は現実に粉砕できるんだと確信をもつことができた。やりぬけば社会構造をひっくり返すような闘いになる。
 次に5・10の動労水戸のストライキについてです。これまでも水戸の仲間たちは、果敢に被曝労働拒否の闘いを続けてきましたが今度の闘いはこれまでとは次元が違う。安倍政権は福島の人たちをどれだけ犠牲にしようがすべてをなかったことにして原発にかけるしかないとハラを決めている。それとの真っ向勝負が始まったのです。激しい分断攻撃が吹き荒れて簡単には声をあげることもできない福島の困難な状況の渦中で、職場から本気の闘いが開始されたことのもつ意味は本当に大きい。日本の労働運動の歴史に新たな1ページを記すような闘いです。
 一番肝心なことは、この闘いがなんで実現できているのかです。動労水戸だけがこの闘いを実現し、5・31ストに向かって前進しています。国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かって団結を守り抜いた力がこの闘いの背後にあるものです。しかも闘いの圧倒的な正義性は、現在の情勢と結びついて本格的な組織拡大の展望を開くものになる。

動労総連合を今こそ全国に

 われわれは、今こそ動労総連合を全国につくりあげるために闘いを開始しました。あらゆる産別で一歩踏み出し、そのすべてを6・8に結集させてほしい。
 6・8に向けて、全力で10万筆署名をお願いします。われわれがこの時代に本気で挑もうとしていることを訴えてほしい。単なる署名じゃない。本気で勝ってやると決意しているんです。
 集会では、国鉄闘争全国運動のもとにあらゆる力を結集してほしいという新たなアピールを発します。この闘いで、戦後の労働運動の限界をのりこえたい。すべての怒りの声を獲得してやまない論理と実践をもった運動体に発展させたい。国鉄労働者はもとより、10万筆署名運動の中で結びついた無数の職場の仲間たちをこの運動のもとに再結集して、階級的労働運動の復権をめざすネットワークをつなげたい。
 国労郡山工場支部の闘いや新津車両製作所の分社化反対闘争に立ち上がった国労新潟地本の闘い、動労西日本の組織拡大闘争などJR職場からも新たな闘いが始まっています。こうした闘いを全部結びつけて国鉄分割・民営化に決着をつけ、この時代に立ち向かいたい。そのために何をなすべきかを鮮明にさせる集会として6・8集会をかちとりたい。全力の取り組みをお願いします。
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