焦点 オバマと安倍による戦争会談 日米争闘戦の深刻さ明白に

週刊『前進』06頁(2631号05面04)(2014/05/12)


焦点
 オバマと安倍による戦争会談
 日米争闘戦の深刻さ明白に


 今日の大恐慌下で帝国主義間・大国間の争闘戦が激化し、それが一線をこえて軍事化・戦争化する情勢の中で、オバマ訪日に伴う4・24日米首脳会談は、東アジアの軍事支配をめぐる米日帝の「戦争会談」となった。また、並行して行われたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉は、米帝の強硬姿勢の前に日帝・安倍が大幅に追い込まれて、ほぼ米帝の「言い値」で合意したとみられる。これは日米争闘戦の新たな激突の開始であり、同時に日帝・安倍の階級支配の危機に必ず転化する。
●TPPで追い込まれた安倍
 「TPPで成果が出せなければ、訪日は失敗だったと言われる。このままでは共同声明は出せない」――24日の首脳会談の場で、オバマは安倍に向かって語気を強めた。11月に中間選挙を控え、国内階級支配の深刻な危機を抱えたオバマは、日米共同声明を盾に安倍をけん制し屈服を迫った上で、TPP交渉の進展ぶりを共同声明に明記するよう強く要求した。その結果、共同声明は首脳会談の直後には発表できず、翌25日、オバマが羽田空港を発つ20分前に発表されるというきわめて異例かつ異常な事態となった。
 結局、共同声明は「(TPPが)前進する道筋を特定した」などの文言を書き加えて発表された。これを受けて25日の各紙夕刊は、読売新聞が「日米TPP実質合意」、東京新聞が「米に事実上、譲歩」と報じ、その他各紙が「合意に至らず」と、真っ二つに割れる報道となった。これは安倍政権が、実際にはかなりの屈服を強いられた反面、政府の公式見解としては「大筋合意」の表現を避けつつ、その詳しい内容についてはTPP交渉の秘密性を盾に隠蔽(いんぺい)した結果である。
 だが読売新聞5月3日付によると、日本は豚肉の輸入関税を現在の1㌔あたり482円から15年程度かけて50円に大幅に引き下げ、牛肉関税は10年程度かけて38・5%から9%に引き下げる。また米側が日本車にかけている関税の撤廃は「TPP交渉で設定される最も長い期間」にわたり猶予されるという。こうした具体的な数値まで含めて、日帝が大幅譲歩して合意したことは間違いない。
●「尖閣」問題で日帝をけん制
 共同声明はさらに、日米安保条約の適用範囲が「尖閣諸島を含め、日本の施政下にあるすべての領域に及ぶ」と明記した。安倍はこれをもって「画期的な声明」と自画自賛した。だが実際には、オバマは安倍の思惑に反して「これは何も新しい立場ではない。これまで一貫して述べてきたことだ」とわざわざ記者会見で説明し、米政府の公式見解の繰り返しにすぎないことを強調した。
 また「中国が尖閣に軍事侵攻した場合、米軍は武力行使をするのか」との記者の質問に対し、オバマは「それには同意できないところがある。国際法が破られるたびに、米国は戦争をしなければならないのか」と返し、「事態のエスカレートは望ましくない。日本と中国は信頼醸成措置をとるべきだ」と安倍に釘を刺した。日帝の突出した策動が、米帝の思惑を超えて中国との軍事衝突を引き起こしかねないことに、オバマは嫌悪感をあらわにしているのだ。
 他方、オバマは集団的自衛権について「日本が検討を行っていることを支持し、歓迎する」としつつも、基本的には米国防総省のQDR(4年ごとの国防戦略見直し)で打ち出した「アジア太平洋地域の再均衡(リバランス)」戦略に沿って、その枠内で日米安保の強化をはかろうとしている。特に辺野古の新基地建設について「(早期移設は)長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在感)を確かにする」と共同声明に明記。安倍も「強い意志を持って早期かつ着実に工事を進めていく」と請け合った。5月沖縄闘争は、この攻撃との対決となる。
 「大恐慌下での大争闘戦の軍事化・戦争化、脱落日帝の危機の新たな激化の中で、JR体制打倒・国鉄決戦勝利を軸にこの大恐慌から戦争に向かう情勢と立ち向かう階級的死闘こそ、2010年代中期階級決戦である」(春季特別号アピール)
 今こそ国鉄新10万筆署名を武器に闘う労組拠点を建設し、5月沖縄闘争から6・8国鉄闘争全国集会の大結集へ闘おう。

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