「条件つき採用制度」による新採教員の解雇粉砕しよう 前代未聞の教員免許剥奪許すな 革共同教育労働者委員会
「条件つき採用制度」による新採教員の解雇粉砕しよう
前代未聞の教員免許剥奪許すな
革共同教育労働者委員会
条件付採用制度による新採教員の大量解雇攻撃に対し、新採教員が怒りと悔しさを胸に解雇撤回の闘いに立ち上がっている。解雇自由・総非正規職化を進める日帝・安倍政権への反撃ののろしが上がった。怒りをともにし、闘う労働組合を復権し新採教員への解雇を粉砕しよう。
「自主退職」拒否、怒りと悔しさ胸に立ち上がる
本紙2629号でも報告した条件付採用制度による新採教員の解雇が今年も各地で多発している。中でもここ数年、100人近く(全採用者の3%前後)の新採教員を退職に追い込んできた東京都教育委員会は昨年度も2・9%となる79人を不採用とした。
全国でもその数は急増し、2012年度には355人が職場を追われている。うち206人が年度途中の「自己都合退職」だが、その大半は退職強要によるものだ。さらに「病気退職」は122人(うち精神疾患は106人!)とこの10年で10倍にはね上がっている。そして「死亡退職」が2人。また校長による「採用不可」の認定のもとで、最終的に「依願退職」に追い込まれた労働者が20人。最後までそれを拒否した1人が事実上の解雇にされた。
決定的なことは、この数年連続して新採の青年教員たちが「自主退職」を拒否して「免職」を受け、それに対し解雇撤回を求めて立ち上がっていることだ。埼玉県では中学の新採教員Aさんが激しいパワハラによる退職強要を受け、全教系の組合が「依願退職した方が良い」と一切の支援を拒否する中で、一般合同労組さいたまユニオンに加入し、労働者としての誇りをかけた渾身(こんしん)の決起を開始した。
Aさんへのパワハラは、Aさんが休暇をとっていた8月31日に、本人抜きの「Aさん対策会議」が校長のもとで組織され、「Aさんを本採用しない」方針が決められてから始まった。それ以降、Aさんを退職させる目的で卑劣なパワハラ攻撃が繰り返された。
校長らはAさんを指導し育成する責任を放棄した上で、指導教官をけしかけ、黒板に向かうAさんを子どもたちの前で「そこ違う。そこダメ」と大声で叱責(しっせき)し授業を妨害。職員室では「給料どろぼう」「教員にむいてない」「早く辞めろ」と集団で罵倒(ばとう)した。
Aさんは2月にさいたまユニオンに加盟、ただちにパワハラ究明と解雇阻止を求めて、県教委に押しかけて団交を闘い取り、パワハラの事実を暴露・弾劾し、「能力がない」という県教委の主張のデタラメさを暴いた。
この決起に追い詰められ、真実が暴露されることに恐怖した県教委は、Aさんを3月31日に免職にしただけでなく、翌4月1日、なんと「教員免許の剥奪(はくだつ)」という前代未聞の攻撃を通告してきたのである。悪辣(あくらつ)な報復だが、それ自体が彼らの攻撃がすでに破綻していることの証明である。
全国労組交流センター教育労働者部会は、さいたまユニオン、合同・一般労組全国協とともに、この解雇攻撃を絶対に打ち破ることを宣言して猛然と闘いを開始した。
過重労働とパワハラで自殺に!
こうしたパワハラや退職強要は、労働者が当然の権利を行使したり、普通に自分の意見を言うことそのものがきっかけとなっている。今、学校現場では授業とは関係のない研修やレポート漬けで連日夜9時、10時まで残業するという超過重労働がまん延している。日帝・安倍政権、文科省、教育委員会と校長らは、いつ反乱が起きてもおかしくない現実の中で、教育労働者に「絶対服従」を強制しなければ一時も安心できないのである。
東京では新採の青年がいきなり単学級(1学年1クラス)をもたされ、「何でも一人でやらされ、忙しい時期は睡眠時間が2〜3時間。家に帰る時間がなくマクドナルドや漫画喫茶で寝たこともあった」「やることが多くていつも仕事に追われていた」という。その揚げ句に「退職を強要され、退職届には、『母親が病気』といううその理由を書かされた」と抗議の声を上げている。
別の青年労働者は、延々とレポートを書かされる毎日の中で、パソコンを開いたとたんキーボードに吐いてしまった。 過重労働とパワハラの中で理不尽な「指導力不足教員」の烙印(らくいん)を押され、多くの新採教員が「経歴に傷がつくぞ」と脅されて、「自主退職」に追い込まれているのだ。そして04年には東京都江戸川区と静岡県磐田市で、05年には埼玉県越谷市で、06年には新宿区と西東京市で自殺に追いやられた。
この条件付採用制度のもとで、新採の教育労働者は1年間事実上の非正規職として、八王子西局や沖縄のIJBSなどの青年労働者とまったく同じ状況に置かれている。だからこそ彼らと同じ怒りを持ち決起を開始しているのだ。Aさんの闘いはそれを示している。
国鉄分割・民営化と一体 日教組解体を狙う攻撃
従来、公務員は採用後6カ月間を条件付採用期間(民間で言えば試用期間)とされてきたが、それでも組合の闘いによってむやみに免職(解雇)などできなかった。
この中で中曽根政権による国鉄・電電・専売の三公社などの民営化と規制緩和を提言した第二臨調と前後して、臨時教育審議会(1984〜87年)がつくられ「適格性を欠く教員への対応」を提言、国鉄労働者への「ヤミ・カラ」キャンペーンと並ぶ「指導力不足教員」攻撃が始まった。
そして87年の国鉄分割・民営化から総評解散・連合結成へと至る過程の88年、教育公務員特例法の改悪によって、教育労働者には初任者研修制度の導入と併せて条件付採用期間が1年に延長された。それは明らかに国鉄分割・民営化と一体で日教組解体を目的にした大攻撃であった。
しかしその後、なんと言っても国鉄闘争そのものが営々と闘い抜かれる中で、教育労働者の現場での闘いによって新採教員の安易な免職を阻んできた。
それが、03年の「日の丸・君が代」を強制する「都教委10・23通達」の発出ときびすを接して、「指導力不足教員」のレッテル張りによる退職強要と免職という事態が急増した。さらに第1次安倍内閣のもと、教育基本法改悪に先立って、06年に中央教育審議会が「条件付採用制度の厳格な運用」を打ち出し、文科省が「指導力不足教員」の人事管理調査を強化する中で、不採用者は全国で一気に300人近くとなった(図参照)。
国鉄分割・民営化以降執拗(しつよう)に新自由主義による日教組解体攻撃が繰り返されてきたのだ。条件付採用解雇攻撃に対し、国鉄決戦を基軸に全労働者の反撃をかちとる時だ。
安倍と腐った労組幹部を職場の団結で倒そう
今回、埼玉県教委が教員免許の剥奪にまで踏み込んできたことは、安倍の絶望的凶暴化そのものである。大恐慌と大争闘戦の中で脱落日帝・安倍政権は、戦後体制打破をかけて改憲・戦争、教育の民営化に突進するために、教育委員会制度も改悪し、教育労働者の団結と階級性を一掃しなくてはならないのだ。
すべては労働組合をめぐる攻防だ。連合メーデーに安倍を招き、労働者に襲いかかる体制内労組幹部をぶっとばそう。三浦半島教組では、体制内執行部が不正選挙を展開してまで、分会・ブロックに支持された闘う執行委員候補を排除するという犯罪的行為が暴露され弾劾されている。その執行部が改憲と戦争情勢の中で、大会スローガンから「改憲阻止」を降ろそうとしているのだ。
人事評価で首切りを可能にする地公法改悪が4月25日、自治労、日教組、公務労協などが事態を現場に知らせないまま参院本会議で可決・成立した。断じて許せない。だが、そもそも旧地公法にも〝成績不良〟による分限免職は盛り込まれていた。しかしこれも組合の方針と現場の力関係で発動させないできた。すべては現場の闘いで決まるのだ。
腐敗した体制内労組幹部を追放して、闘う労働組合を自力でつくり直せば、これらの攻撃を打ち破ることはできる。極限的な過重労働とパワハラに追い込まれている青年を始め、現場は怒りが充満している。この怒りの先頭でわれわれが徹底的にともに闘って彼らと結びついた時、必ず巨大な反乱が巻き起こる。この力で労組権力を奪い返し、日帝・安倍政権打倒ののろしを上げよう。