星野再審 全証拠開示へ大運動を 4・12全国討論会の基調報告 袴田再審開始決定に続き星野さん再審・解放へ闘おう
週刊『前進』06頁(2629号04面01)(2014/04/21)
星野再審 全証拠開示へ大運動を
4・12全国討論会の基調報告
袴田再審開始決定に続き星野さん再審・解放へ闘おう
(写真 鈴木再審弁護団長の提起で勝利へ向け新たな決意)
4月12日、渋谷勤労福祉会館で「全証拠開示・星野文昭さん解放/全国討論会」が開催され、全証拠開示の大運動を巻き起こし、労働者階級の力で無実の星野さんを取り戻すことを誓い合いました(記事別掲)。事務局の金山克己さんが行った基調報告(要旨)を紹介します。(編集局)
〔1〕開示証拠が袴田さん再審開始の決定的力に
証拠のねつ造と死刑許せぬ
3月27日、静岡地裁は、1966年に静岡県清水市で発生した袴田事件の第2次再審請求について、再審開始と袴田巌さんの死刑及び拘置の執行停止を決定しました。袴田さんは検察官の抗告を打ち破って、48年にも及ぶ超長期獄中から釈放されました。ところが、3月31日、検察官は即時抗告を申し立てました。怒りの闘いで、絶対にうち破ろう。無実の袴田さんヘのデッチあげを行い、死刑を強制し続けたことは、極悪の国家犯罪です。警察・検察は、「元プロボクサーだから、やったに違いない」と決めつけ、ありとあらゆるデッチあげで「証拠」をねつ造しました。再審開始決定をかちとった決め手は、証拠開示です。大衆的な支援運動と再審弁護団の証拠開示を求める闘いに追い詰められて、静岡地検はこれまで法廷に提出していなかった、5点の衣類発見時のカラー写真など総計600点にものぼる証拠を開示せざるをえなかったのです。
再侵略と支配の危機―デッチあげの背景
1965年、当時の佐藤政権は「日韓条約」を締結して、再びアジアへの侵略を開始する歴史的な転換を強行しました。これは、第2次世界大戦後、世界政策を展開できる基軸国がアメリカ以外には存在しないという構造のもとでの戦後世界体制の再建・発展が行き詰まり、世界史的な転換が始まっていることに対応したものでした。国家権力はその「威信」が揺らぐことを恐れ、重大事件が発生した時には、無実の人間に「自白」を強要し、無実の証拠を隠し、証拠をねつ造してでも「犯人」をねつ造し、目的意識的にえん罪をつくり上げたのです。1963年に狭山事件、66年に袴田事件、67年には布川事件などが発生しています。
〔2〕都知事選に決起し 1千万人の都民に訴え
東京都知事選と2月〜3月闘争の地平
2月9日の東京都知事選挙に再審弁護団長の鈴木達夫さんが立候補し、私たち全国再審連絡会議も全力で闘い抜きました。安倍政権打倒を真っ向から掲げ、①戦争させない、②貧困・過労死許さない、③被曝させない、④だからオリンピックはやらない、⑤弾圧と闘う、という5大政策を1千万都民に訴えました。「弾圧と闘う」政策の中で、「獄中39年、無実の星野文昭さんを取り戻そう。全証拠の開示を」と訴えました。私たちは一つの社会的勢力として躍り出たのです。都知事選総括の核心は、階級的労働組合の拠点建設にあります。現場労働者の抑えがたい怒りの前に、体制内指導部の縛りは崩壊しており、拠点建設の展望は大きく開かれています。
星野再審闘争の大きな前進
①星野さんの闘いが労働者階級の心をとらえた70年安保・沖縄闘争への政治的報復としての無期懲役攻撃に対して、星野さんは絶対反対の闘いを貫いてきました。無期攻撃に絶望することなく、労働者階級の解放に希望を見いだして闘う星野さんの闘いは、非正規職化、解雇、賃下げと闘う労働者の心を捉え、星野さんとの連帯と団結、星野さん解放の闘いを自らの課題とすることへの希求を強く生み出してきました。
②「全証拠を開示せよ!」は新自由主義を突き崩す全人民の怒りの声
検察官の証拠独占こそが、断じて許せない国家犯罪を横行させてきたのです。「捜査機関が集めた証拠は一切合切開示せよ!」「デッチあげの国家犯罪を許すな!」
今、これが天の声、地の叫びとなって検察官を包囲しています。国家犯罪を暴く全証拠開示大運動は、国家権力との最先端での激突であり、崩壊のふちにあえぐ新自由主義を根底から突き崩す闘いです。
③広範な人々の結集が始まった
運動のこうした発展の中で、昨年11月には九州で、本年1月には岩手で、新たな星野救援会が結成されました、今では、全国で26の「会」が活動しています。岩手の会はキリスト者を中心にして立ち上げられましたが、ついに労働運動を軸とする運動の発展が、宗教者、市民を始め、より広範な人々の結集を実現する段階に入ったのです。
広島・上下町での絵画展の取り組み、神奈川、杉並での実行委員会形式での絵画展・集会も新たな成功を実現しています。
〔3〕今日の情勢と闘い 世界情勢の戦争的激動と対決し、安倍政権打倒へ
(略)〔4〕運動を大きく広げ6・29星野全国集会へ
国鉄闘争10万筆署名を闘い6・8集会へ
動労千葉の闘いは全国にあふれる怒りを一つにし、新自由主義を打倒する巨大な展望を開きます。最高裁決戦に向けた新10万筆署名は、JR労働者の怒りを解き放ち、さらに体制内指導部に抑え込まれてきた労働者総体の決起を切り開くものです。政治犯として「無実を百も承知で」無期懲役を強制されている星野さんを取り戻すためには、日本全体を揺るがす闘いで政治情勢・階級情勢を変えることが必要です。
10万筆署名は、私たち自身の闘いです。10万筆署名、6・8国鉄集会の成功をかちとり、星野さん解放の展望を開こう。
国家権力との激突に勝利し全証拠開示を
検察官はウソの自白を強制し、証拠をねつ造し証拠を隠し、無実の人間を平気で死刑にします。これに対して足利事件、布川事件、東電女性社員事件、そして袴田事件と相次いだ再審開始は、検察官の本質を暴き、「全証拠開示」が圧倒的な正義として認められる情勢をつくり出しています。この2014年、決定的な勝負をかけよう。全国で賛同と署名を拡大しよう。夏から秋へ、東京高裁、東京高検に対する闘いを叩きつけよう。
昨年12月25日の東京高裁によるネガ開示勧告は決定的な前進です。検察官は、「ネガのスキャニングに失敗した」と称して、いまだに開示を実行していません。ふざけるな! 星野さんを39年間も刑務所に閉じ込めながら、無実の証拠を隠し続ける検察官を絶対に許すことができません。
ネガに続いて、民間目撃者11人の供述調書の開示をかちとろう。これを突破口に、検察官が隠し持つ証拠を、一つ残らず引きずり出そう。
労働組合基軸に広範な人々が闘う運動を
星野さんは沖縄闘争を闘い、39年間、絶対反対、階級的団結で闘い抜いています。獄中から、「すべての人間が人間らしく生きられる社会」の実現を呼びかけています。そして、それと一つのものとして自らの解放を訴えています。この闘いは、新自由主義を打ち破り、安倍政権を打倒する闘いです。星野さんを取り戻す闘いは労働者階級の正面課題そのものであり、同時に自らの勝利をたぐり寄せるものです。今や、労働組合を基軸にして、思い切って広範な人民を結集して闘うことが可能な情勢を迎えています。
市民運動、救援運動、弁護士、学者、宗教者、芸術家など、圧倒的に広範な人々を結集する大運動をまき起こそう。
この数年間、国際連帯も圧倒的に前進しています。アメリカ、韓国、ドイツなど、全世界との連帯を進めよう。
6・29星野全国集会を空前の規模で闘いとるために全力をあげよう。さらに戦争と改憲に反対する大闘争を闘おう。
その力で9月からは、全証拠開示・再審開始を要求して、東京高裁・高検を徹底的に攻めぬこう。星野さんの39年に及ぶ闘い、弁護団の原則的闘いによって国家権力は追い詰められています。動労千葉の10万筆署名と最高裁決戦、法大「暴処法」弾圧の無罪確定、東京高裁に乗り込んできた市東さんの農地裁判、そして袴田再審開始決定で、司法権力はガタガタになっています。
政治的・階級的力関係を大逆転させるチャンスが到来しています。すべての怒りと闘いを束ね、14年の労働者階級の勝利の展望をしっかりと握り締めて、星野さんを取り戻す勝負に出よう。
獄中の星野さんの健康と権利を守ろう
新自由主義のもとで、刑務所も例外ではない民営化・外注化攻撃がかけられています。受刑者の権利や生命・生活がないがしろにされ、効率化が優先しています。検閲官が足りないという理由で、年賀状は刑務所当局が決めた文言でしか出せませんでした。「予算がない」という理由で、冷房もない真夏の獄房で身体を拭く洗面器の水さえ与えず、冬期には暖房はおろか、湯たんぽの使用もポケットカイロの購入も認めません。星野さんの健康と闘いを守りぬき、星野さんを絶対に奪還しよう。