4・9弁護士・市民集会 改憲と司法改革に反対 武内更一、鈴木達夫弁護士が熱弁
週刊『前進』06頁(2628号05面02)(2014/04/14)
4・9弁護士・市民集会
改憲と司法改革に反対
武内更一、鈴木達夫弁護士が熱弁
(写真 武内、鈴木両弁護士の講演に熱心に聞き入る参加者【4月9日 東京・弁護士会館】)
4月9日午後6時から、東京・霞が関の弁護士会館講堂クレオで「『法曹有資格者』制度粉砕! 集団的自衛権の容認を許さない 弁護士・市民集会」(主催/憲法と人権の日弁連をめざす会)が開催され110人が参加した。
冒頭、司会の森川文人弁護士が「この間、私たち『憲法と人権の日弁連をめざす会』は、日弁連会長選と東京都知事選という二つの闘いに挑戦しました。今日はそれに立候補した『めざす会』事務局長の武内更一さんと鈴木達夫さんの2人に思う存分語って頂きます」とあいさつし、講演に移った。
武内さんは「司法改革の破綻と『法曹有資格者』制度の狙い」と題して講演した。
「私たち『めざす会』は2000年に結成され、『司法改革反対! 日弁連を立て直そう』と訴えて日弁連会長選に高山俊吉弁護士を推し立てて闘いました。それから十数年来の闘いで、『司法改革』なるものが日弁連の弱体化と解体を狙う攻撃であることがはっきりしました。これに屈服した日弁連執行部による、高山さんへの会長選立候補資格の剥奪(はくだつ)攻撃と対決し、今回、私は会長選に立候補しました。争点は改憲問題と『法曹有資格者』制度の二つでした」
「政府と財界の弁護士激増政策が破産する中で、新たに出されたのが『法曹有資格者』制度です。司法試験に合格後、司法修習もせず弁護士登録もしないで、企業や自治体に雇われて法律専門業務ができる仕組みです。『基本的人権の擁護』という弁護士法第一条の適用も受けない。そういう人たちが企業の契約や労務管理、公営住宅家賃や公営病院の治療費の取り立て、海外展開企業の支援など行う。人民と対立し、侵略の先兵となる存在です。これを政府・法務省と協調して推進しようとする日弁連執行部に対し、会長選では4173人が『NO』という声を突きつけたのです」
「司法改革は、中曽根政権以来の行政改革・政治改革、つまり『国労をつぶし総評をつぶして改憲する』という攻撃と一体です。それは今や次々と破綻し、裁判員制度も多くの人びとが拒否しています。改憲・戦争を阻止する力は労働者・労働組合の団結の中にあります。私たち弁護士もその隊列に加わり、ともに闘っていきます」
次に3・11反原発福島行動のDVD映像が上映され、後半から鈴木達夫弁護士が「改憲とメディア支配」と題して講演を行った。
「今、国会の論戦で政府側答弁のキーワードになっているのが、『日本を取り巻く安全保障環境の悪化』という言葉です。ここに二重三重のペテンがある。第一に、何か日本がどこからか攻められるかのような表現で、国家と人民とを一体で描いて国家主義に動員する狙いです。第二に、『国家の安全保障』という概念にすべての人民を集約する論理ですが、国家とは一握りの資本家と大銀行が人民を支配する道具ではないのか。第三に『悪化』などと人ごとのように言っているが、悪化させているのは故意に軍事的緊張をつくり出し、あおっている安倍政権ではないか」
「安倍政権は対米対抗性をもって突出している。石破茂・自民党幹事長は『日本人のための集団的自衛権入門』という本で『アメリカは世界の警察の役割を果たせなくなった』と明言している。また、川上高司という拓殖大学の教授は『この集団的自衛権から日米ガイドラインの改定に向かう過程は、アメリカを巻き込む仕掛け作りである』と言っている」
「安倍はなぜそこまでするのか。最大の要因は、国内で人民の怒りと不満が渦巻いていることです。この支配の危機を戦争に持っていくために、戦争挑発をやりながら改憲に向かおうとしている」
「改憲を阻止する力は労働者が団結して労働運動を再建していく中にある。安倍は自分の『人脈』を使ってNHKなどのメディア支配を進めているが、これを打ち破る力も放送労働者の決起の中にある。そこに私は確信を持っています」
展望あふれる二人の講演を受け、最後に『めざす会』代表の高山俊吉弁護士が「それぞれの持ち場でしのぎを削って闘い、それを広くつなげていこう」と訴えた。そして、「集団的自衛権に反対する4・27集会」と「5・21裁判員制度廃止要求市民集会」への参加を呼びかけて、集会を締めくくった。