川内原発の再稼働阻め うそに満ちた規制委の審査
週刊『前進』06頁(2628号04面03)(2014/04/14)
川内原発の再稼働阻め
うそに満ちた規制委の審査
(写真 6千人が集まった3月16日の鹿児島市の集会)
安倍政権と原子力規制委員会は九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の再稼働に向かって突き進んでいる。規制委員会は3月13日、優先して審査する原発に川内原発を選んだ。今月中旬ごろまでには「審査書案」を作成し、今夏の再稼働を狙っている。
原発は労働者の被曝で成り立つ
川内原発は鹿児島県の北西部、東中国海に面した薩摩川内市にある。川内原発を始めとした原発の再稼働を絶対に阻止しよう。それは、事故が起こった場合の被害(特に外部被曝・内部被曝によるさまざまな病気の多発)がはかり知れないからというだけではない。原発は労働者の被曝によって成り立っているからだ。たった1基だけでも何千人もの労働者を被曝させ、健康を破壊し労働者の人生も家族もズタズタにし、命を奪うことで成り立っているのが原発なのだ。
川内には活断層と火砕流の恐れ
川内原発が再稼働の最有力候補となったのは「大きな活断層がない」という〝理由〟によってだが、これはとんでもないうそだ。昨年2月1日、地震調査研究推進本部は九州の活断層の長期評価を公表した。それによって、九州電力が悪質なごまかしをしていたことが明らかとなった。一つの例を挙げると、九電が「F―C断層」と呼ぶ甑(こしき)海峡中央断層の長さは、九電の「16㌔メートル」よりも長く「38㌔メートル」、マグニチュードの想定も九電より0・7大きい7・5だ。この結果、この活断層が動いた場合、九電の想定より11倍も大きな地震となる。
もう一つ重大なことは、鹿児島県は多くの活火山を有することだ。県内には、過去、大規模爆発を起こしたカルデラ(火山の活動によってできた大きな凹地)がいくつも存在している。川内原発地域も、歴史上何度も火砕流に襲われた。
代表的な例が鬼界カルデラの噴火である。今からおよそ7300年前、鹿児島市の南方およそ100㌔メートルの島で激しい噴火が発生し、噴火によって起きた火砕流の一部は海上を走り、九州にまで上陸した。それにより、南九州の縄文文化は滅んだと言われている。また海中に突入した火砕流の一部は大津波を発生させ、その痕跡は長崎県島原半島で確認することができる。
高齢者を見殺しにする避難計画
規制委員会は「避難計画」の作成を自治体に求めているが、そもそも「避難計画」とは原発事故が起こることを前提にしたものだ。再稼働など許されない。その上で、川内原発の場合30㌔圏内にある9市町(人口約22万人)は計画策定を終了したとされているが、実に許し難い内容だ。現に高齢者などに対する「計画」は〝放置〟そのものだ。30㌔圏には約240カ所の病院・福祉施設があり、入院・入所者は約1万人に上る。驚くべきことに、これらの人びとの「避難計画」は「屋内退避」であり、数日分の非常食・水を確保しておくだけというものだ。これは、事故が起こった時は〝見殺しにせよ〟ということであり、あらかじめの虐殺宣言にも等しい! 血が逆流するほどの怒りを抑えることができない。
福島原発事故では、病院や施設にいた多くのお年寄りが搬送の途中や避難施設で亡くなった。川内原発で事故が発生すれば、福島の痛苦な事態さえ上回る多くの犠牲者が出る恐れがある。再稼働は絶対に許せない!
3月16日、鹿児島市で川内原発の再稼働に反対する6千人の集会が行われ、「鹿児島での反原発集会としては過去最大規模」となった。鹿児島・九州、福島の人たちと団結し、川内原発の再稼働を絶対に阻止しよう!