武器輸出解禁許すな 改憲・戦争へ歴史的転換
週刊『前進』06頁(2628号01面02)(2014/04/14)
武器輸出解禁許すな
改憲・戦争へ歴史的転換
安倍政権は4月1日、武器や関連技術の輸出を原則禁止してきた「武器輸出三原則」を47年ぶりに見直し、全面的な輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。日帝・安倍は世界大恐慌下での生き残りをかけて、戦争を助長しつつ戦争でもうける「死の商人」になっていくことを公然と宣言したのである。これは同時に、集団的自衛権の行使容認に向けて、他国との武器の共同開発や技術協力を拡大し、軍事的な連携の強化を狙うものだ。
武器輸出・開発の規制を全面撤廃
武器輸出三原則は、1967年の佐藤内閣の答弁以来、①「共産圏」②国連決議で禁止された国③国際紛争の当事国またはそのおそれのある国――への武器輸出を禁止し、76年には三木内閣が上記の該当地域以外への輸出も原則禁止を表明、武器製造関連設備の輸出もこれに準ずるとしてきた。81年には衆参本会議の決議で、武器輸出による国際紛争の助長は「憲法の理念である平和国家としての立場」に反するものと確認された。だが実際には、83年に中曽根政権が「米国への武器技術の供与」を例外措置として容認して以来、これらの原則は形骸化され、個別の事例ごとに政府が「例外」を認める形で武器の共同開発などが進められてきた。安倍政権は昨年3月、米帝が開発を進める新型ステルス戦闘機F35の共同開発に三菱重工などの日本企業を参画させることを「例外」として認めた。
今回の「新原則」は、こうした従来の一定の「歯止め」さえも全面的に撤廃するものだ。一定の審査を通れば輸出可能となり、重要な案件についての可否の判断は国家安全保障会議(NSC)の非公開会合に一任される。また、旧三原則で輸出禁止とした「紛争当事国またはそのおそれのある国」を、新原則では「紛争当事国」(=武力攻撃が発生し、国連安保理がとっている措置の対象国)のみに限定した。現在、これに該当する国は一つもない。残虐な破壊兵器を使用し、病院や難民施設にまで空爆を行い、国際法さえ意に介さず住民虐殺を繰り返す戦争犯罪国家イスラエルにも、何の歯止めもなく輸出が可能となるのだ。
事実、官房長官の菅義偉は昨年5月、日本企業が共同開発に参画しているF35について、「同機はイスラエルがユーザー。日本企業が製造したF35の部品がイスラエルに移転される可能性はある」と国会で認めた上、「これによって平和国家の基本理念に反するものとは考えない」などと居直った。今後はF35に限らず、あらゆる武器を積極的に売り込んでいくということだ。
また防衛省は1日の閣議決定を受け、早くも3日に防衛産業強化戦略案を発表し、F35の整備拠点の新設のほか、悪名高い無人機の研究開発まで進めることを明らかにした。これらの技術を日本が開発・保有することは、自衛隊が「敵基地攻撃能力」を持つことに直結する。これは米帝の許容する範囲をも超えた日帝の軍事的突出であり、改憲・戦争国家化への決定的な踏み込みを意味するものである。
軍需企業優遇し成長戦略の柱に
今ひとつ重要なことは、安倍と日帝ブルジョアジーが鉄道・原発・水道などのインフラ輸出と並んで、武器輸出を「成長戦略」の柱にすえたということだ。貿易赤字が拡大し、アベノミクスの失速・崩壊が迫る中で、脱落日帝はここに延命をかけているのだ。昨年来、安倍が外遊先で行ってきたトップセールスには、三菱重工や川崎重工など主要な軍需企業11社が複数回にわたって同行し、「防衛交流」の拡充・強化に励んできた。2月には、防衛産業60社で構成する経団連の防衛生産委員会が、自民党国防部会に武器輸出解禁を求める「提言」を提出した。今回の「新原則」は基本的にこの提言に沿ったものである。
また3月20日に成立した14年度予算は、防衛予算を今年度比2・2%増の4兆7838億円としている。2年連続の増額、18年ぶりの大幅な伸び率である。防衛省はここから三菱重工などの軍需企業に巨額の補助金を出し、税制上の優遇措置なども講じるとしている。すでに13年度予算は、F35の開発支援費用として830億円を計上していた。
消費税を増税し、社会保障を削減し、十数万人が今も避難生活を送る被災地に棄民政策を続けながら、軍需産業のためには湯水のように税金を投入する。まさに最末期帝国主義の腐朽の極みだ。
大恐慌は大失業とともに戦争を生み出す。1930年代と同様、資本家階級は大恐慌下での延命の道を軍需産業に求め、戦争国家化と戦時経済化を一体的に推進し、戦争に突き進む。「戦争か革命か」をかけた30年代型階級闘争の時代が到来した。階級的労働運動の拠点建設と国際連帯の発展をかちとり、戦争・改憲の安倍を打ち倒そう。