生きさせろ!の闘いを ④医療 8時間労働制の解体狙う

週刊『前進』08頁(2627号03面03)(2014/04/07)


生きさせろ!の闘いを ④医療
 8時間労働制の解体狙う

長時間・過重労働は過労死レベル

 医療職場においても、人員不足と長時間労働は耐え難いところにきています。
 医療職場では、看護職の24人に1人が、交代制勤務をしながら過労死レベルの月60時間を超える時間外労働をしています。3交代8時間勤務者の半数が、「2人夜勤・月8回以内」(医療労働者が闘いとった「2・8原則」)を超えた月9回以上の夜勤をしています。
 看護師有資格者の団体である日本看護協会は「夜勤と時間外勤務を含む長時間労働の解消」をうたい、実態調査にもとづいて2011年に「夜勤の負担軽減と長時間労働の是正をめざして」という提言を行い、12年に「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を策定しました。
 しかし、看護協会のガイドラインは、看護職場の現実を改善するどころか、労働者の生活と命を守る1日8時間労働制を解体し、過酷シフトと医療の〈民営化・外注化・非正規職化〉を推進するテコとなろうとしています。

「長日勤」導入で12時間労働制に

 日看協ガイドラインに沿って、各地の病院で勤務時間体系変更の試行が始まっています。
 具体的には、一般的な2交代制夜勤は「16時から翌朝8時半(16時間半拘束=夜勤2回分)」でしたが、それを「21時から翌朝9時(12時間拘束)」に短縮。短縮した4時間半を日勤につなげて、新たに「9時半から21時半」の長時間日勤=「長日勤」を組んでいます。
 長日勤者は、日勤業務のあとに、夕方に集中しやすい急変や緊急入院対応などで、これまで以上の長時間・過重労働が強いられます。
 現場からは、「オペ出しや検査出しの日勤業務のあと、準夜業務が待っている。ハードすぎて体調を壊しそう。これまでの夜勤の方が5倍ぐらい楽だった」「日勤看護師が帰ってからの4時間を1人で頑張るので、気持ちを維持するのが大変」などの悲鳴が上がっています。
 「長日勤」導入の狙いは、人員削減を徹底する合理化を推し進め、労働者階級の歴史的獲得物である8時間労働制を解体することです。同時に、夜勤手当の圧縮による賃金削減・賃下げが狙われています。

非正規化推進の勤務形態許すな

 日看協ガイドラインは、「すべての勤務時間帯をすべてのスタッフが交代でやるという考え方ではなく、それぞれ可能な勤務時間帯を選択してもらうことで……より自律的な働き方につながる」と言い、これを「多様な勤務形態」「ワーク・ライフ・バランス」と称しています。
 これは日本経団連のキーワードと同じです。夜勤専門や短時間勤務の非正規職労働者を拡大しようとしているのです。非正規職化と過酷シフトで労働者同士をとことん分断し団結を破壊することが、「勤務形態変更」の核心的な狙いです。
 12年には短時間勤務やフレックスタイムを導入した病院が半数を超えました。この中で医療事故は激増しています。労働者の命のかかった攻防として、労働組合の反合理化・安全闘争が死活的に求められています。
 10割非正規職化との攻防が医療現場でも焦点化しています。1960年代の「2・8(ニッパチ)闘争」を制度・政策要求に変質させてきた日本共産党―医労連本部の支配を打ち破り、「過労死許すな!」「反合理化・安全闘争!」を掲げ、14春闘から5・1メーデーを闘いましょう。
(黒部敏宏)
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