労働法制の改悪許すな 解雇自由と総非正規化の安倍「成長戦略」うち砕け
労働法制の改悪許すな
解雇自由と総非正規化の安倍「成長戦略」うち砕け
攻撃の根幹と対決する闘い
「アベノミクス」の破産が明らかになる中で、安倍政権は解雇自由と労働者の総非正規職化を柱とする「成長戦略」にいよいよのめり込もうとしている。「成長戦略」こそ、安倍の大言壮語にもかかわらず、その貫徹が阻まれてきた領域だ。
産業競争力会議が今年1月20日に策定した「成長戦略進化のための今後の検討方針」は、「今後5年間を『世界トップレベルの雇用環境』を目指した集中改革期間と位置付け」「多様な人材による多様な働き方を可能とする、日本の強みとグローバル化に対応できる柔軟性を兼ね備えた新たな『日本的就業システム』を構築する」と唱えている。「日本的就業システム」という言葉には、とことん雇用を流動化しながら、労働者の反乱は自然発生的なものも含めすべて封じ込めたいという虫のいい願望が込められている。
しかし、そんなことがすんなりと実現するはずがない。今日、動労千葉派(労組交流センター派)の労働者に至る所で襲い掛かっている解雇攻撃は、すべての労働者をいつでも好きなように解雇できる状態にたたき込むために、資本の側が構えてきた決戦だ。
動労千葉派は、国鉄1047名解雇撤回闘争を圧殺するために仕掛けられた4・9政治和解を突き破り、国鉄決戦を基軸に階級的労働運動を打ち立てるために闘ってきた。だから資本は、動労千葉派を主敵と認識して攻撃を加えてきたのだ。
この攻防に勝ち抜き、解雇攻撃を職場における労働者の団結形成・強化に転化した時、安倍の攻撃は根本から崩れる。
「3年で解雇」派遣法の改悪
安倍が総非正規職化の攻撃のとば口に位置づけているのは、労働者派遣法の改悪だ。労働者派遣法の改悪案は3月11日に国会提出された。
改悪の内容は以下のとおりだ。①これまでは、「通訳」や「事務用機器操作」などのいわゆる「専門26業務」以外については、派遣先企業は3年以上は派遣労働を受け入れることができなかったが、その規制を廃止する、②同じ派遣労働者が3年を超えて同一派遣先での同一部署に就労することはできない、③派遣先企業が3年を超えて派遣労働を受け入れる場合、労組や労働者代表からの意見聴取を条件とする、④派遣元と無期雇用契約を結んでいる派遣労働者については、②と③の規制は適用しない。
つまり、派遣先企業は労働者を入れ替えれば何年でも派遣労働を使い続けることができるが、労働者は3年たてば必ず職を失うことになる。
こうした期間限定労働を常態化させることが、派遣法改悪の狙いだ。
無期雇用否定の特別措置法
3月7日には「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」が国会に提出された。法案の内容は、「5年以上10年以下の一定期間内に完了することが予定されている業務」に就く「専門的知識を有する」労働者については、有期雇用が5年間継続されても、無期雇用への転換権は発生しないとするものだ。「専門的知識を有する労働者」の具体的な条件は、厚生労働省の省令で定めるとされている。
民主党政権下の2012年に労働契約法が改定され、通算して5年を超えて同一の事業主のもとで働いた有期雇用労働者には、雇用契約を無期契約に転換できる権利が生じることとなった。この規定は13年に発効し、「通算5年」はその後に締結された労働契約から数えることとなっていた。だから、この規定が実際上、意味を持つのは18年以降であり、この法律によって無期雇用に変わった労働者はまだ1人もいない。
しかも、この労働契約法改定の狙いは、5年未満で労働者を雇い止めに追い込み、徹底した不安定雇用化を進めることにあった。ところが安倍政権は、紙の上のものでしかない「無期雇用への転換権」をことさらに否定することで、さらに激しく総非正規職化を進めようとしているのだ。
産業競争力会議や規制改革会議は、昨年段階までは「無期雇用への転換権」が奪われる対象は大学の教員や研究者に限るとか、この施策は国家戦略特区で実施するとかの議論を進めていた。ところが安倍政権は、今年に入って方針を一転させ、「無期雇用への転換権」の否定を、特区に限らず全国一律の方策として押し出してきた。
そこには「無期雇用」という雇用形態そのものを否定する思惑が込められている。
限定正社員制は首切り自由
安倍と資本は、「限定正社員」制の導入にも本格的に踏み出した。「ブラック企業」として悪名高いユニクロは、パートとアルバイト計約3万人のうち半分強の約1万6千人を「地域限定の正社員」にすると打ち出した。「地域限定」とは、働いている店舗が廃止になれば即、解雇ということだ。日本郵政も4月から「新一般職」という名称の限定正社員制度を導入した。
この攻撃の最先兵になっているのがJR総連 カクマルだ。彼らはJR東日本に限定正社員制度の導入を要求した。JR職場でこんな制度が導入されれば、限定正社員とされた労働者はその職場が外注化された途端に、解雇されることになる。
産業競争力会議の「成長戦略進化のための今後の検討方針」はまた、「時間で測れない創造的な働き方ができる世界トップレベルの労働時間制度」を叫んでいる。そこでもくろまれているのは、8時間労働制の解体はもとより、残業時間規制の撤廃だ。まさにそれは全労働者を過労死に追い込んでもかまわないということだ。
これらの攻撃を阻止しよう。6・8国鉄闘争全国運動の大集会に向け、国鉄解雇撤回の10万筆署名を集めきることこそ、安倍と資本の攻撃に対する最大の反撃だ。