「官製春闘」をぶっ飛ばし 実力で賃上げかちとる 金属労働者の春闘報告

週刊『前進』08頁(2627号03面01)(2014/04/07)


「官製春闘」をぶっ飛ばし
 実力で賃上げかちとる
 金属労働者の春闘報告

(写真 「奪われたものを取り戻す」。日本機械労組が構内で回答促進集会【3月17日 八王子市】)

 14春闘が激しく闘われている。大幅賃上げと解雇撤回をかけた実力の闘いが、職場・生産点で巻き起こっている。日帝・安倍と資本に対する正面激突の闘いだ。「官製春闘」なんてふざけるな! 怒りが噴き上がり、労働組合の団結をかけて闘いぬかれている。国鉄10万筆署名を進め、労組拠点建設をかちとろう。5・1メーデーから6・8国鉄集会に攻め上ろう。

スト構え資本と徹底対決

 14春闘が全国の職場で闘いぬかれている。安倍政権と日本経団連、連合が一体となった「政労使会談」路線に基づく「官製春闘」の大ペテンと闘争圧殺の攻撃をはね返す実力の闘いだ。
 トヨタのベースアップは月額2700円、日立製作所など電機大手6社は2千円で決着し、「6年ぶりのベア実施」とマスコミは報道した。だがトヨタの2700円は4千円の要求額を下回り、日産の3500円よりも低い。連合方針の「1%以上」にも届かない。
 トヨタ資本の狙いは、「満額に近い水準で着地すれば他業界が追随できず、グループの下請け企業が置き去りになる」と下請けの賃上げを抑制し春闘を圧殺することだった。それは中小での低額ベアとなって波及し、連合全体のベア平均は1279円、1%にほど遠い0・4%となった。300人以下の中小はわずか467円のベアだ。
 日本経団連の米倉弘昌会長は「経済の好循環実現のために各社が(ベアが)必要だとの認識を共有した」と述べ、トヨタの内山田竹志会長は「政府の声に応えられた」と語り、安倍政権を支え新自由主義のもとに労働者を組み敷くためのベアであることを隠そうともしない。
 14春闘はその一方で、全面外注化・非正規職化、大量解雇・賃下げと労組解体の攻撃との大激突となっている。
 動労千葉を先頭に、国鉄1047名解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃、JR貨物大幅賃上げが闘いぬかれている。
 自治体労働者は、安倍の賃金破壊と全面民営化の攻撃に対して、3・14統一行動を現業労組の1時間ストを先頭に全国で闘いぬいた。それは、韓国・民主労総の鉄道民営化阻止・パククネ政権打倒のゼネストやイギリスRMT(鉄道・海運・運輸労組)のロンドン地下鉄48時間ストなど全世界労働者の闘いと一体だ。

大幅賃上げ求め

 3月20日、関東バス労組が10年ぶりの24時間ストに立った。相模鉄道と相模バスの労組も5年ぶりのストに突入した。現場の怒りが、資本や体制内労組幹部の制動を打ち破って爆発している。
 昨年ストを敢行した日本機械労組は、今春闘でこれまでの賃金カット分の解消と併せ1万円の賃上げを実力の闘いでかちとっている。
 消防車製造の日本機械資本は、赤字が続いた07年に賃金の8%カットを強行した。これに対し、日本機械労組は「賃金カット解消」を掲げて粘り強く闘い続けてきた。
 08年にはストライキを配置して「賃金カットの半分を解消する」回答を引き出した。労組は闘争を継続し、12春闘で「賃金カット戻し分400円」をもぎ取り、13春闘ではストライキを打ち「800円を戻す」回答を引き出した。
 13年、資本が史上最高の売り上げで利益を出す中、労組は絶対に賃金カットを解消させる決意を固め、拒否すればストライキを行う態勢で14春闘に挑んだ。その気迫に押されて会社は「賃金カット解消」を回答。同時に一時金の大幅アップもかちとっている。
 賃金カットに多くの組合はひざを屈してきた。だが日本機械労組の「資本によって奪われたものを実力で取り戻す」闘いは、労働組合の団結を強め新自由主義を粉砕する労働運動として3・14自治労統一行動、3・16春闘大行動と連帯するものとなっている。

残業拒否で勝利

 別の製造業の労働組合は「ベースアップと一時金アップ」を求めた。しかし資本は「ベアゼロと引き換えに一時金アップ」と回答してきた。
 組合員の怒りは爆発した。労組拡大闘争委員会は、この資本の横暴に対し断固として争議行為に突入することで一致し、残業拒否闘争に入った。全組合員が鉢巻きを着用し資本に対する抗議集会をたたきつけた。
 資本の側は「会社の危機」を訴えて闘いを抑え込もうとしたが、逆に労働者の怒りは燃え上がり、団結を固めて闘争を継続。「ベアと一時金アップ」をかちとった。
 低賃金、中途採用者や女性労働者への格差賃金、労働者分断に対する是正要求を、長年にわたって拒否し続けてきた資本への怒りが、15年ぶりの争議行為となって爆発したのだ。現場労働者の怒りに依拠し、実力闘争を決断して突入した執行部を先頭に、労働組合の闘う団結は一気に強まった。海外移転攻撃を始め大恐慌下での資本との攻防はさらに激化する。階級的労働運動路線で闘う労組拠点建設を徹底的に進めよう。

解雇攻撃に職場から反撃

 1月14日、さいたま地裁熊谷支部(池本壽美子裁判長)は、トヨタ系部品メーカー・ジェコーによる期間従業員の不当解雇撤回を求める訴訟(2次訴訟)で、〝非正規は期間満了で解雇されて当然! 非正規は非正規のままでいろ!〟〝組合員以外も雇い止めしているから不当労働行為ではない〟と言い放つ反動判決を下した。さらに2月28日、最高裁は同1次訴訟についても上告棄却の反動決定を行った。
 安倍政権が労働者派遣法の大改悪によって労働者派遣の規制撤廃を全面的に強行し、解雇自由と10割非正規職化に突き進んでいることと一体の攻撃だ。非正規職と正規職の労働者が分断をのりこえて労働組合のもとに団結し、解雇撤回、非正規職撤廃、派遣法撤廃をかけて闘いぬいていること自体に恐怖し、なんとしても押しつぶそうとしているのだ。絶対に許せない。
 これに対しJAM神奈川ジェコー労組は、解雇された当該労働者を先頭に怒りに燃え、工場の門前で、地域で、猛然と闘いぬいている。動労千葉や全金本山労組、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会と連帯し、階級的労働運動を最先頭で推し進めている。
 14春闘は、戦争・改憲、階級戦争攻撃との激突だ。日帝・安倍とブルジョアジーによる雇用破壊と賃金破壊、外注化と10割非正規職化の攻撃に対し、労働者の命と誇り、未来をかけた闘いが巻き起こっている。
 とりわけ、日本郵便(JP)八王子西局での正規職員への退職強要と即日解雇や、日本IBM・ビジネスサービス労組書記長への不当解雇に対し、解雇絶対反対、不当解雇撤回の闘いが始まっている。
 青年労働者を先頭とする闘う労働組合と資本との正面からの激突戦が始まったのだ。

国鉄署名軸に拠点建設を

 大恐慌と戦争の情勢に行き着いた新自由主義は、労働者を貧困・過労死に追いやり、社会全体を崩壊にまで至らせる。しかし、労働者が団結を固めて絶対反対の闘いに立ち上がるや、たちどころに支配の危機に陥る存在でしかない。
 東京地裁・高裁で国家的不当労働行為を認めさせ、国鉄解雇撤回まであと一歩にまで迫った動労千葉鉄建公団訴訟最高裁決戦の地平を見よ。大阪市労働者の絶対反対の闘いが橋下徹大阪市長を打倒した。3・14全国統一行動をもって公務員大決戦の火ぶたが切られた。国鉄決戦を基軸に、安倍打倒の絶好機が到来しているのだ。
 金属産別の仲間は、果敢に春闘を闘いぬいている。中小の春闘はこれからである。体制内労組幹部の制動を突き破って各所で闘いが起きている。強固に見える敵の攻撃こそ敵の弱点だ。敵の弱さが攻撃として現れているのであり、この攻撃に負けない団結をつくった時に、労働者は勝つことができる。国鉄10万筆署名を断固推進し、革命の拠点を職場につくり上げよう。解雇撤回・安倍打倒の5・1メーデーから6・8国鉄闘争全国運動大集会に攻め上ろう。

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