東京「君が代」不起立裁判 停職6カ月是認 東京地裁の大反動許すな
週刊『前進』08頁(2627号02面05)(2014/04/07)
東京「君が代」不起立裁判
停職6カ月是認
東京地裁の大反動許すな
東京では、「日の丸・君が代」を強制する2003年「10・23都教委通達」を打ち破って、今春の卒業式でも「君が代」不起立が闘われた。
3月27日、都教委は中学校1人、高校2人の不起立者に戒告処分、板橋特別支援学校の田中聡史さんに減給1カ月(不起立6回目)の処分を強行した。10・23通達が出されてから11回目の卒業式でも、職場での粘り強い闘いが続いている。
追い詰められているのは都教委と裁判所の方だ。3月24日に東京地裁(民事第19部・古久保正人裁判長)が出した07年卒業式不起立に対する河原井純子さん(元養護学校教員)、根津公子さん(元中学校教員)への不当処分をめぐる判決が、それを示している。
この年、河原井さんは停職3カ月、根津さんは停職6カ月の処分を受けた。(08年と09年に受けた処分は地裁で係争中)
判決内容は、〝河原井さんの停職3カ月は取り消す、国家損害賠償請求は却下。根津さんの停職6カ月は取り消さない〟という分断判決である。06年の処分をめぐってはすでに最高裁判決で、河原井さんの停職1カ月の処分取り消しと国家賠償が確定しているが、今回の判決はそれを無視している。根津さんにいたっては、重処分の理由とされた「過去の処分歴」と「学校の秩序維持を乱す行為」を再度持ち出して、停職6カ月という重処分を是認したのだ。
今回の裁判では、最高裁判決で無視されてきた「教育の自由」論を全面的に展開した。また、機械的な累積加重処分は違法であり、過去の処分歴を持ち出すことも二重処分だとして争ってきた。
そもそも「過去の処分歴」は、国旗国歌法も10・23通達もなかった頃のことである。職員会議の決定に従い生徒の声を聞き「学校の秩序」を守ったのは根津さんであり、「秩序」を乱したのは校長の方なのだ。しかし古久保裁判長は、新たな立証について検討すらしなかった。教育行政に裁量権のフリーハンドを与える、結論ありきの許し難い反動判決である。
記者会見や報告集会で、河原井さんは「若い人、他の職種の労働者とつながっていく。現場が闘うことが重要」と強調した。根津さんは「この判決が都教委のさらなる暴走につながり、不起立を貫く田中聡史さんに重い処分が加重されることがないよう、都教委に対してすぐ行動を起こそう」と強く訴えた。
どこの労働現場でも指示命令が乱発され、数値目標で競争があおられ、常軌を逸したパワハラと脅迫で労働者を退職に追い込む事態が起こっている。そして抗議の声を上げたら解雇!
しかし、この中から労働者の誇りをかけた決起が始まっている。不起立闘争と根っこは一つだ。団結すれば勝てる! 若い労働者の「生きさせろ」の闘いと固く結び、これからも「日の丸・君が代」強制・処分に絶対反対で闘っていきたい。
(東京 山根美鈴)