4・1駅業務外注化阻止を 駅こそ〈安全運行の要〉だ 反合・運転保安闘争貫こう

週刊『前進』06頁(2626号02面03)(2014/03/31)


4・1駅業務外注化阻止を
 駅こそ〈安全運行の要〉だ
 反合・運転保安闘争貫こう


 昨年12月19日、JR東日本は「首都圏の一部の駅に駅遠隔操作システムを導入する」という新たな施策を発表した。
 駅遠隔操作システムは2014年4月を期して、当面は東京支社の5駅(東京、大久保、田端、王子、馬喰町)、横浜支社の9駅(中山、鴨居、十日市場、町田、成瀬、小口、相模原、淵野辺、矢部)、八王子支社の7駅(新秋津、東所沢、新座、八王子、相原、八王子みなみ野、片倉)に導入される計画だ。これらの駅の各コーナーの改札からは、駅員がいなくなる。キップの販売や乗客からの問い合わせなどの案内業務は、管理駅(制御駅)に指定された別の駅から、または乗客には見えない別の場所から遠隔操作で行うことになる。
 文字どおり駅の全面外注化、非正規職化に向けた決定的な踏み込みだ。JR東日本全体の約1700の駅の丸ごと外注化と安全の最後的崩壊に道を開く、断じて許せない攻撃だ。
 JR東日本は国労との交渉で、「被制御駅(遠隔操作システム導入駅)の設備イメージは、精算機の横にインターホンと書画台を設置し、書画台にキップを載せるとカメラで読み取れ、制御駅でそれを確認してから案内する。構内放送などについても、制御駅から案内をし、精算機での操作を遠隔でできるように改修を行う。制御駅には、そのための要員は常設せずに対応する」と、ふざけきった対応に終始した。
 昨年に発表した際にも「自動精算機付近にはインターホン付き券面確認台を新たに設置し、担当の係員が乗車券類の券面を確認しながらご案内いたします」などと言っている。駅業務の重要さと大変さをまったく分かっていない(分かろうともしない)ということだ。

事故が起きたらどうなるんだ!

 すべてが効率化と金もうけの視点からのみ立案され、そこで働く労働者や利用者の安全など念頭にないのだ。こんなことが許せるか。
 国鉄分割・民営化と30年を超えて闘い、現場で仲間を守り抜いてきた国鉄労働者は、次のように怒りを爆発させている。
 「とうとう新宿駅の隣の大久保駅が完全外注化になる。現場では現職のままステーションサービス(昨年4月1日発足したJR東日本の駅業務関係の完全子会社)に出向するか、他の駅に転勤するかが迫られる。しかもこれは第1弾で、新大久保駅と代々木駅もそうなると言われている」
 「大久保駅は新宿駅が管理駅になる。もし人身事故が起きればどうなるか。駅が下請け化されると、下請け会社の社員は列車の非常停止ボタンは押せるが、その復帰はできない。だから新宿駅から大久保駅へ人を出さなければならない。駅員が着くまで10分も20分も非常停止ベルは鳴りっぱなし。それだけでダイヤはめちゃくちゃになる」
 「人身事故が起きても下請け会社の社員は線路に降りられない。乗客の目に凄惨(せいさん)な事故現場がさらされたままになる。事態に対処するのは新宿駅からすっ飛んで来たホーム勤務の労働者だ。乗客の怒りはすべて駅員に向けられる。本当にふざけるんじゃない」
 JR京浜東北線・川崎駅構内事故が示すように、JR北海道だけでなくJR全体でとんでもない事故が続発している。先の国鉄労働者は次のように弾劾する。
 「えっ、なんでこんな基本動作ができないの、というようなことがバンバン起きている。『事故速報』を毎回会社が作るが、電車区でタンクの糞尿(ふんにょう)処理中に電車が動いちゃうとか、停止手配を取らないで線路に人が降りちゃうとか、駅の大規模改修工事中にクレーンから荷物が落ちて人が死んだとか。会社はあまり公言しないが、『事故速報』は出さないわけにいかない。あれを見ていると、会社の安全軽視ははなはだしい。JR北海道どころじゃないことが、JR東日本全体で今、立て続けに起きている」
 JR東日本の全面外注化・非正規職化攻撃は、2000年11月の「ニューフロンティア21」(01〜05年度の中期経営計画)から始まった。それは、本州3社の「完全民営化」(01年6月のJR会社法改定で本州JR3社への国交省の許認可権限が大幅に縮小された)を契機にした「第2の分割・民営化」と呼ぶべき大合理化攻撃だった。労働者に徹底して競争原理を強い、9割非正規職化を叫ぶ日経連「新時代の『日本的経営』」のJR版そのものとして強行された。
 JRは「この改革は痛みを伴うが、企業が生き残り、社員と家族の幸福を実現する唯一の手段」とうそぶき、「労使は運命共同体」というイデオロギーのもとに「メンテナンスコストの徹底した縮減」「利益率の最大化」を強行した。その柱に業務の全面外注化が据えられ、1万人の要員削減とグループ企業の大再編がなされてきた。

駅中ビジネスで金もうけ最優先

 「ニューフロンティア21」は、鉄道会社としてのJRのあり方を大転換させ、「鉄道事業」を「事業戦略」3番目の位置に低め、第1に「ステーションルネッサンス」と称する駅中ビジネス、第2にスイカなどのIT事業を置いた。鉄道業務は単なる集客の道具に位置づけられたのだ。
 これに基づきJR東日本は07年4月以降、駅の外注化とグリーンスタッフ(契約社員)の本格的な導入に踏み込んだ。13年4月には駅業務の受託専門子会社として「JR東日本ステーションサービス」を設立。同時にショッピングモール運営会社として立ち上げられた「中央ラインモール」に駅業務を委託することまでした。こうした攻撃をJRはさらに加速させようとしているのだ。
 駅業務の全面外注化は、検修・構内業務の全面外注化と並ぶ外注化攻撃の柱だ。しかし、駅こそ鉄道運行の要、安全の要だ。列車の安定・安全運行に責任をとる労働者(運転士・車掌)にとっても、駅を通勤・通学の手段にする労働者人民にとっても、駅は安全の拠点だ。それを金もうけの道具にすることなど、どこかで必ず破産する。
 4月1日の駅業務の外注化阻止へ、動労千葉とともに反合・運転保安闘争路線で徹底的に闘おう。すべての国鉄労働者の怒りを束ね、今こそ総反撃を開始しよう。

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