分割・民営化は大破産 JR体制を覆す闘いへ 最高裁10万筆署名達成を

週刊『前進』06頁(2624号03面02)(2014/03/17)


分割・民営化は大破産 JR体制を覆す闘いへ
 最高裁10万筆署名達成を


 国鉄分割・民営化は完全に破産した。二十数年の間、労働者が強制された怒りや悔しさのすべてを晴らすため、今こそ国鉄1047名解雇撤回・原職復帰をかちとろう。今までの壁を破って最高裁10万筆署名を集めきり、闘う労働運動復権の新たな展望をつかみ取ろう。

民営化・外注化が安全を破壊した

 JR北海道での安全の崩壊とJR京浜東北線川崎駅での脱線転覆事故は、民営化・外注化が何をもたらすのかを衝撃的に示した。まさにJR体制の崩壊というべき事態が進んでいる。
 JR北海道は昨年9月に発生した函館線での貨物列車脱線事故に関して、「レールの検査数値の改ざん」を理由に75人を処分した。しかし、実際には20年ほど前からほとんどの保線区で組織的に改ざんが行われていた。現場労働者2人を懲戒解雇にして責任を押しつけ、社長などの経営陣は減給で済ませるなど、許しがたいことだ。
 20年前から改ざんが行われていたとは、分割・民営化によってJR北海道が発足して数年後には線路を直すこともまともにできない状態になっていたということだ。
 2月10日、国土交通省はJR北海道を刑事告発した。さらに、政府の強い意向を受けて社長・会長の更迭が決定された。彼らが何より恐れているのは、北海道問題が「国鉄分割・民営化の失敗」として社会問題化することだ。そうさせないために、労働者個人やJR北海道の「ずさんな管理」にすべての責任を押しつけようとしている。
 政府はJR北海道に対して、JR総連カクマルとの結託体制の解消を迫っている。新たな社長に起用された島田修元常務は、「労働組合と強い姿勢で交渉に当たった」ことが評価されたといわれている。JR体制は激動期を迎えたのだ。
 JR北海道の労働者の8割を組織するJR総連傘下のJR北海道労組が、データ改ざんに積極的に関与していたことは間違いない。彼らは、会社と結託して外注化を率先推進し続けてきた。国鉄分割・民営化とそれによる解雇、そこから吹き荒れた外注化。これらと対決できずにきたことが、労働組合をここまで崩壊させ、安全を根本から破壊させたのだ。
 すべての原因は国鉄分割・民営化だ。国鉄分割・民営化を強行し、次々と規制を緩和した政府・国土交通省こそが安全破壊の張本人だ。

解雇自由・非正規職化と徹底対決

 国鉄分割・民営化と外注化の破産は全面的に突き出された。最高裁10万筆署名をもって国鉄分割・民営化を全社会の問題にする時が来ている。
 10万筆署名運動は、この社会に怒る青年とつながれる闘いだ。半数が非正規職に突き落とされ、いつ首を切られるかわからない状況で、低賃金と長時間労働を強制され、ひたすら競争させられている青年の怒りを表すことができる運動だ。
 国鉄分割・民営化に際しては、新たに設立されるJRには「採用の自由がある」という理屈で得手勝手な首切りが行われた。「首切り自由」への扉が開け放たれたのだ。
 その過程で、労働者派遣法も施行され、企業の都合で労働者を使い捨てにすることが合法化された。今また安倍政権は、最長3年までとされてきた派遣労働の制約を取り払おうとしている。さらに、「限定正社員」導入で正社員そのものを解体し、賃金と労働時間を完全に切り離して無制限のサービス残業を合法化しようとさえしている。
 国鉄1047名解雇撤回闘争は、過労死、解雇自由、ワーキングプア、ブラック企業といった青年の置かれている現状をつくり出した根源を撃つ闘いだ。

あと一歩で勝利できる地平開く

 10万筆署名運動は、これまで国鉄闘争に思いを寄せてきた労働者に勝利の展望を示すことができる闘いでもある。
 動労千葉は、地裁に続いて東京高裁でも不当労働行為を認定させた。国鉄分割・民営化が、JR・国鉄幹部・政府が一体となった大陰謀だったことを暴き出した。27年にわたる闘いは、あと一歩で勝利できるところまで敵を追い詰めた。
 一度は和解に応じざるをえないところに追い込まれた闘争団の仲間や、悔しい思いをしてきた労働者のすべてに、この事実を伝えよう。国鉄1047名解雇撤回闘争は、「こんな形で労働者の首が切られていいはずがない」という膨大な労働者の怒りと100万人といわれる国鉄闘争支援陣形を生み出した。10万筆署名を通してこの力をもう一度結集し、反動の牙城(がじょう)の最高裁を打ち砕く巨大な運動をともにつくり上げよう。
 自治体、教育、郵政、医療・福祉の職場、そして非正規職に突き落とされた膨大な仲間たちに、民営化・外注化の攻撃が襲いかかり、その矛盾と破綻が噴き出している。
 職場で署名に応じてくれた労働者が、組合内部でも闘う仲間への支持を表明しているという報告もある。複数の労組が3けたの署名を集めて送ってくれた地域もある。署名を持ち込む中で自らの職場での民営化・外注化攻撃について深い議論になった例もある。街頭で出会った青年が署名を持ち帰り、数十筆の署名を集めてくれたこともある。これまでの壁を破って懸命に署名を集めた力が、職場や街頭での影響力を持ち始めている。
 韓国・鉄道労組の民営化反対ストライキを始め、全世界で労働者は立ち上がっている。10万筆署名運動はこれとの国際連帯を貫く闘いだ。
 それはまた、最高裁をも支配下におさめて改憲・戦争と解雇自由・総非正規職化の攻撃を進めようとする安倍政権と根底的に対決する闘いだ。
 10万筆の署名を全力で集めきる中から、闘う労働運動復権の新たな展望が生まれてくる。都知事選決戦が切り開いた地平をさらに押し広げ、全力で10万筆署名を集めきり、6・8全国集会を成功させ、新たな運動の展望を切り開こう。
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