焦点 極右=安倍の露骨な対米対抗性 日米争闘戦が一線を越える
焦点 極右=安倍の露骨な対米対抗性
日米争闘戦が一線を越える
●暗礁にのりあげたTPP
2月のTPPシンガポール閣僚会合は、日米双方が「今度こそ最後の閣僚会合」と位置づけ、「前回と同じ失敗は繰り返せない」(TPP担当相・甘利)と事前交渉を重ねてきたにもかかわらず、またも「大筋合意」は見送られ、次回の日程や合意の目標時期さえ決められずに閉幕した。「知的財産」や「政府調達」などの分野をめぐる米日帝と新興国との対立、そして何よりも関税をめぐる日米間の対立が決定的に激化したことが最大の原因だ。
一方で大恐慌下の生き残りをかけた日米争闘戦が激化し、他方で労働者人民の新自由主義に対する怒りと闘いが全世界的に爆発する中で、今やTPPは暗礁にのりあげ、空中分解の危機に瀕(ひん)しているのだ。三里塚闘争を軸とする労農同盟と国際連帯の力で、今こそTPP粉砕へ決起する時だ。
●脱落日帝・安倍の危機と孤立
昨年末の安倍の靖国参拝以来、日米間の矛盾・対立と争闘戦が深刻化し、日帝・安倍政権は危機と国際的孤立をますます深めている。
25日、米議会調査局は日米関係に関する最新の報告書をまとめ、安倍の歴史観について「第2次大戦やその後の日本占領で米国が果たした役割に関し、米国人の認識と衝突する危険性がある」と異例の激しさで懸念を表明した。さらに「(安倍が)米国の忠告を無視して靖国を突然参拝した事実は、両政府間の信頼関係を損ねた可能性がある」と指摘した。同報告書は上下両院議員の政策判断の参考資料とされ、特に外交政策立案に影響を与えるもので、いわば米帝の国家意思そのものだ。今や日米争闘戦は完全に従来の一線を越えている。
また、欧米の大手メディアも相次いで安倍を批判している。米ワシントン・ポスト紙は、「日本の挑発的な動き」と題する2・17付の論説副委員長の記事で「靖国参拝は日米関係をひどく損ね、米中間よりも意思疎通のギャップが大きくなった」と論じた。英フィナンシャル・タイムズ紙の2・10付社説は「安倍首相にとって都合の悪いことに、大多数の日本人は戦後の平和主義を強く支持している」とし、中国の脅威をあおって世論誘導を狙う安倍を「日本にとって危険な存在だ」と評した。仏ル・モンド紙は2・7付の記事で「安倍首相や側近が挑発的な言動を重ね、歴史の一部を書き換えている」と報じた。
さらにニューヨーク・タイムズ紙は、「安倍首相の危険な修正主義」と題する3・3付社説で「安倍首相の国家主義的性質は日米関係にとってこれまでにない脅威だ」「(安倍は)第2次大戦の歴史をごまかそうとしている」「南京大虐殺は起きなかったと主張している」とまで指摘した。これらはいずれも、米英仏などの帝国主義的利害を背景とした日帝・安倍への激しい危機感と争闘戦の表れだ。
同時に、安倍の極右的言動と戦争・改憲への策動は、今や全世界の労働者人民の怒りの的となっている。安倍打倒の闘いは世界の労働者人民との国際連帯をかけた決戦となった。
●労働運動の力で安倍打倒へ
安倍政権は、集団的自衛権の行使を可能とする法整備に向け、今国会で憲法解釈の変更を閣議決定し、秋の臨時国会で自衛隊法や武力攻撃事態法など10本以上の関連法の改悪に踏み出す方針を明らかにしている。
こうした安倍の突出は、今日の世界大恐慌下で脱落にあえぐ日帝ブルジョアジーの危機を表している。かつて1920〜30年代のドイツで、むき出しの排外主義・国家主義と「ベルサイユ体制打破(=ドイツ再軍備)」を掲げて台頭したナチスと同様に、日帝・安倍は今や米帝を基軸とする戦後世界秩序に公然と挑戦し、ヒトラーばりのクーデター的手段で改憲・戦争へ絶望的に突き進もうしているのだ。文字通り「30年代型」の階級決戦が到来したのである。
大恐慌は大失業と戦争、そして革命を生み出す。安倍の狙いは、青年をはじめ多くの労働者人民が生きていけない現実を戦争へ転化することだ。これに対し、都知事選で切り開いた地平を武器に、階級的労働運動の拠点建設と国際連帯の発展をもって、戦争の危機をプロレタリア革命へ転化するために闘おう。