再稼働阻止へ安倍倒せの怒りで東京から原発絶対反対の運動を 3・1ビキニデー 集会に集まろう

週刊『前進』06頁(2621号04面01)(2014/02/24)


 再稼働阻止へ安倍倒せの怒りで東京から原発絶対反対の運動を
 3・1ビキニデー 集会に集まろう


 1954年3月1日のビキニ環礁におけるアメリカ軍の水爆実験と1千隻もの漁船の被爆。ビキニ事件から60周年のビキニデーを迎えようとしている。原発再稼働、改憲と核武装、非正規職と過労死の国家戦略特区に対して真っ向対決した東京都知事選を引き継ぎ、東京から大きな声を上げよう。3・11郡山集会へとつながる「安倍倒せ」のうねりを東京からつくりだそう。鈴木たつおさんに投票した1万2684人のみなさんもぜひ集まってください。

 命より金の再稼働計画は絶対に認められない

 都知事選直前の1月19日、原子力規制委員会は、再稼働申請された原発のうち、泊3号機(北海道電力)、大飯3、4号機、高浜3、4号機(ともに関西電力)、伊方3号機(四国電力)、玄海3、4号機、川内1、2号機(ともに九州電力)の計6原発10基が「審査合格の見通し」であることを明らかにした。
 さらに再稼働申請が出されているのは、柏崎刈羽6、7号機(東京電力)、島根2号機(中国電力)、女川2号機(東北電力)、六ケ所再処理工場・ウラン濃縮工場・MOX燃料加工工場・高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(すべて日本原燃)だ。2月14日には中部電力が浜岡原発4号機の再稼働を申請、日本原電の東海第二原発の申請も予定されている。
 また、フルMOXの大間原発(電源開発)、島根原発3号機、上関原発(中国電力)の新規建設も進められている。
 政府は、「原発は重要なベース電源」とした「エネルギー基本計画に関する意見」(経産省審議会)を3月中にも閣議決定し、春から原発の再稼働に踏み切ろうとしている。
 何より許せないのは、東京電力が1月15日に発表した再建計画なるものだ。今年7月から柏崎刈羽6、7号機を再稼働、さらに来年1月から5、6号機も再稼働させ、3月には1677億円の黒字をたたき出そうというものだ。再稼働に向かっての東京電力の投資はおよそ6千億円と言われる。さらに大手銀行は「再稼働を条件に」融資を持ちかけ、東電は「無担保で1兆円の融資」を求めるという。
 それとは別に1兆円もの国家予算が、福島の命を守るべき「原子力損害賠償機構」を通じて、犯罪を犯した側の東電の救済に投じられている。2011年4月に汚染水漏れが問題となり、5月に対策が問われた時、1千億円を使って鉄板で囲えば、今の汚染水の現状は止められていた。今目の前の命を守るためにはビタ一文も払わず、金もうけのためならいくらでも出す。こんなあり方は絶対に間違っている。
 しかもこの「再建計画」は、今年4月に「廃炉カンパニー」を分社化するとしている。もうからない「廃炉部門」に赤字を押しつけ、本社を黒字にし、収束作業員も含めて切り捨ててしまおうという計画だ。この冬、全国から収束作業員に使い捨てカイロやフリースを送る運動が起きた。政府・東電は、収束作業員の被曝対策どころか、防寒対策すらしていない。
 また、収束作業員の賃金について、東電は「1万円の労務費割増」は「作業員の皆さまに支給されていた割増額が……さらに1万円増額されることを示すものではない」と取引先に通達し、さらなるピンハネを積極的に推奨している。
 そもそも命を切り売りする被曝労働などあってはならない。収束作業員は全員公務員として健康と命を守るべきものを、非正規労働として使い捨てている現状は絶対に許せない。
 こうした現実を無視して、「原発で直接死んだ人は一人もいない」などという宣伝がなされている。福島の子どもたちの甲状腺がんは74人(「疑い」を含む)と発表され、福島の震災関連死は直接死を超えて1627人(1月時点)と増え続けているにもかかわらずだ。「除染をしても子や孫が帰れるようには戻らない」と語る仮設住宅のお年寄りたち。「孫と一緒にふるさとで暮らしたい」――このささやかな願いを永遠に奪った原発は、一基の再稼働も認められない。
 福島県民の怒りを前に、福島第一原発は5、6号機含め全基廃炉が決定、福島第二原発も未定となっているように、結局は力関係だ。なにがなんでも全原発廃炉へ。そして、「命より金」の新自由主義そのものをぶっ飛ばそう。

 労働者民衆が団結して戦争政治を断ち切ろう

 ビキニ被爆者の大石又七さん(元第五福竜丸乗組員)は、「ビキニ事件は終わっていない」と訴えている。アメリカ政府がいまだ被爆者に謝っていないからだけではない。核兵器と原発は世界中にあふれ、今まさに自分と同じように福島、そして全国の子どもたちが被曝させられている。安倍政権は、憲法9条の「解釈」さえ変えれば、アメリカとともにまたは単独で戦争ができるとし、今国会での「解釈変更」を表明、核武装まで示唆し始めた。
 大石さんは、日本政府がアメリカ政府のビキニ事件の責任を追及しないことと引き替えに核技術を得るため、自らは「人柱」にされたと訴えている。そのため、大石さんを始め第五福竜丸の乗組員は、いまだに被爆者として認められず、被爆者手帳も医療保障もない。
 「戦後」とは、その言葉とは裏腹に、戦争が途絶えることなく行われている時代だ。第2次大戦が終われば朝鮮戦争、中東戦争、ベトナム戦争、イラクやアフガニスタンへの戦争。その中で、日本もまた、憲法9条のもとでも沖縄や全国の米軍基地から戦闘機が飛び、「非核三原則」の裏では核兵器の持ち込みを認める密約を交わしてきた。
 しかし同時に、日本は「敗戦帝国主義」という独特の関係に置かれてきた。日本を「同盟国」として自分の戦争に動員したいアメリカ帝国主義との関係。2千万人の虐殺を正しく記憶し闘っているアジアの労働者民衆との関係。そして戦後革命の中で憲法9条を強制した日本の労働者民衆との関係。これをいかに突破し「戦争のできる国」になるか、これが日本の支配者たちの「戦後」のテーマだった。
 「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘首相(当時)が、「行革でお座敷をきれいにして(労働組合をつぶし)床の間に立派な憲法を安置する」として国鉄分割・民営化を行ったとおり、改憲に向かって日本の労働運動をつぶすこと、その方法は民営化・規制緩和だった。中曽根に続いて郵政を民営化した小泉純一郎、そして国家戦略特区に踏み込んだ安倍晋三。この3人は武器輸出三原則に手をつけた3人でもある。
 労働運動を弱体化させた結果として今の「ブラック企業」や非正規の若者の現実がある。若者をバラバラにして戦争に連れていく。こうした戦争と新自由主義の政治を断ち切る闘いとして都知事選挙は闘われた。何より労働者こそが労働組合をよみがえらせて、この現実をひっくり返していこうと訴えた闘いだった。
 支配者たちが舛添、細川・小泉、田母神に3分解したとおり、都知事選挙で示されたのは敵の側の危機と分裂だった。自民党は候補者を出せず、最も路線をあいまいにした舛添の勝利は、敵の危うさを示すものだ。高度経済成長の上に安住した労働運動指導部が今の時代に通用しないように、自民党もまた崩壊へと向かっている。大恐慌の中、広範な人びとが立ち上がる真の変革期において、支配者もまたギリギリのところにいる。
 ブルジョア政治家やスターリン主義者が、私たち労働者民衆の意思と無縁に方針を決めて選挙をかき回し、消去法選挙に都知事選をおとしめたのなら、私たち労働者民衆の総括は、労働者民衆自身の団結と「一本化」、私たち自身の運動と組織・政党を新しくつくりだすことだ。鈴木たつお候補とともに声を上げてくれたすべてのみなさん、ともに、今、ここから始めよう。

 労働組合が立ち上がり被曝から子どもを守る

 ビキニ事件のもう一つの顔は、杉並から始まった原水爆禁止運動だった。被曝から子どもたちを守るため、女性たちが、そして労働組合の若者が立ち上がっていった。ふくしま共同診療所を拠点に、労働運動こそが、福島の子どもたちを守るために立ち上がろう。そして、東京の子どもたちを被曝から守ろう。給食の内部被曝問題は深刻な状況だ。給食の外注化が進めば、ますます責任と命は投げ捨てられることになる。絶対反対だ。
 そして、闘う農民とつながることでしか、内部被曝には立ち向かえない。出荷できない野菜を収穫する悔しさを、政府・東電にぶつけ、自治体に補償と放射能測定を求め、農民とともに闘おう。
 そして何より原発の再稼働を阻止するために、福島の怒りとともに声を上げよう。3・11郡山へ。東京から原発絶対反対、安倍倒せのうねりをつくりだそう。
 〔織田陽介〕
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 1954年のビキニ事件とは

 1954年3月1日から5月14日にかけてアメリカ帝国主義が太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁で行った6回の水素爆弾実験で多くの船やその乗組員、島民らが被爆し、放射性降下物「死の灰」を浴びた。水爆は広島型原爆の1000倍の威力を持つ。ビキニ環礁から150㌔の地点で操業していた第五福竜丸の乗組員23人も島民同様、体表面被曝と体内被曝でさまざまな症状に襲われた。一連の水爆実験で約1千隻の漁船、2万人以上が被爆した。第五福竜丸(写真)乗組員23人は帰港後直ちに入院、無線長の久保山愛吉さんは半年後に亡くなった。4月から東京・杉並の主婦らが原水爆禁止署名運動を始め、12月末までに2000万を超す署名が集まった。運動の爆発に恐怖した米帝は55年1月、日帝側が一切賠償請求しないことを条件に200万㌦(7億2000万円)の慰謝料を払うことで政治決着を図った。
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【要項】
 なにがなんでも!全原発廃炉
 3・1ビキニデー集会
 3月1日(土)午後6時開場 6時30分開会
 杉並産業商工会館3階ホール(杉並区阿佐谷南3―2―19 JR阿佐ケ谷駅より徒歩5分)
 講演 「内部被曝と闘う」 ふくしま共同診療所から/杉井吉彦医師
 主催 NAZEN東京
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