県民健康管理調査 甲状腺がん33人 「疑い」も含め74人 原発事故の影響は明らか

週刊『前進』06頁(2620号05面04)(2014/02/17)


 県民健康管理調査
 甲状腺がん33人 「疑い」も含め74人
 原発事故の影響は明らか


 福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会は2月7日、甲状腺がんと「確定」した子どもが33人、「がんの疑い」のある子どもは41人になったと発表した。甲状腺検査は福島第一原発事故発生当時18歳以下だった約37万人が対象で、これまで1次検査で約25万4千人の結果が判明し、1796人が2次検査の対象となった。
 がんと「疑い」の合計は74人(手術の結果「良性」と判明した1人を加えると75人)だ。「疑い」とは、がんでない可能性もあるような表現だが、検討委員会の説明でも、ほぼ、がんと判定して間違いないものだ。
 がんと診断され手術した子どもたちの恐怖と苦痛、親・家族、周りの人びとの悲痛な思いはどれほどのものだろうか。さらに手術が成功しても、甲状腺をすべて摘出すれば体内のホルモンが欠落してしまい、一生、甲状腺ホルモン剤を飲み続けなければならなのだ。それだけではない。再発の危険や、他の臓器への転移にもおびえ続けなければならない。
 子どもの甲状腺がんは100万人に1人か2人と言われている。今日の福島県の現状は、がん、「疑い」を合わせ、10万人あたり29人という飛びぬけた発症率だ。原発事故によって放出された放射性ヨウ素の影響であることは明白だ。だがこの現実を前にしても、検討委の星北斗座長は「放射線の影響は考えにくい」と、事故との関係を否定している。その理由を星は、チェルノブイリ原発事故で子どもの甲状腺がんが増えたのは事故後4、5年目からだったと語っている。実に許しがたい詭弁(きべん)だ。

 「事故と無関係」の大うそ許すな

 1986年に発生したチェルノブイリ事故の場合、事故翌年の87年から甲状腺がんを発症する子どもが増え出した。それが90、91年からけた違いに増えていった。星などが語っている「4、5年後からがんが増えた」という説は歴史の偽造である。事故の翌年から早くも甲状腺がんが増え始め、事故後「4、5年後」から発症数が急増したのが真実だ。福島で、原発事故から約3年目の今、がん、「がんの疑い」の子どもが計74人も出ているのは、恐るべき事態の到来を危惧(きぐ)せざるをえない。一刻も早く子どもたちを救うことが必要だ。
 チェルノブイリ事故後2年目に、当時のソビエトの保健省長官は「原発事故は、その影響を受けた地域の人びとの健康になんらの被害も起こしていないと確信する」と言い、対策を放置し、多くの人の生命や健康を奪った。前検討委員会座長の山下俊一や、福島県立医大教授の鈴木眞一などが「原発事故とは関係ない」と強弁するのは、これに匹敵する大犯罪だ。
 福島で展開されている「安全」「帰還」攻撃をフクシマの人びととともに打ち破ろう。フクシマとつながり、子どもたちをなんとしても守ろう。そのためにも3・11反原発福島行動14に全国から駆けつけよう。
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【表】ベラルーシ共和国ゴメリ州における小児甲状腺がん登録
1985年 1
1986年 1
1987年 4
1988年 3
1989年 5
1990年 15
1991年 47
1992年 35
1993年 45
1994年 56
1995年 63
1996年 57
1997年 66
1998年 52
ゴメリ州は人口約52万人。チェルノブイリ原発の北東、百数十キロ。ベラルーシ共和国内で最も小児甲状腺がんが発生した地域
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