焦点 安倍の「積極的平和主義」の正体 大恐慌下に侵略戦争に突進

週刊『前進』06頁(2620号05面03)(2014/02/17)


 焦点 安倍の「積極的平和主義」の正体
 大恐慌下に侵略戦争に突進


 1月24日に召集された通常国会で安倍首相が施政方針演説を行った。そこで「集団的自衛権行使容認」に言及、「積極的平和主義」を提唱した。改憲と戦争に突き進むのが安倍政権だ。
●集団的自衛権の行使容認へ
 安倍は今回、第2次安倍内閣成立後初めて国会演説で「集団的自衛権」という言葉を使った。演説では、有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告後に政府として「対応を検討する」と表現したにとどまったが、集団的自衛権の行使容認への強い意思を示したのだ。
 実際、2月10日の衆院予算委員会で安倍は、集団的自衛権の行使容認に関し、「自衛隊が動くには根拠法の改正が必要だ」と関連法案を将来国会に提出すると明言した。また安倍は、集団的自衛権の憲法解釈見直しに関し、有識者会議で「緻密(ちみつ)な論理構成を行っている」「憲法解釈をどうするか、内閣法制局を中心に政府一体で判断する」と述べた。
 さらに2月12日の衆院予算委では、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈をめぐり、「(政府の)最高責任者は私だ。政府の答弁に責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と傲然(ごうぜん)と語った。首相の独断で憲法解釈ができるという立場だ。
 歴代内閣は、憲法解釈に関する政府見解の整合性を確保するため、内閣法制局の議論の積み重ねに基づいて政府見解をまとめてきた。安倍の発言は、そうした歴史を覆して自ら解釈改憲を進めるというものだ。しかも「選挙で審判を受ければいい」という。この主張は、憲法を普通の法律・政策と同じように低くとらえていることを示す。
 安倍が前面に出てきたのは、解釈改憲による集団的自衛権行使容認に前向きな小松一郎内閣法制局長官が入院してしまったからでもある。この小松でさえ、昨年の臨時国会で「(集団的自衛権行使容認の)当否は個別的、具体的に検討されるべきもので、一概に答えるのは困難」としていた。
 小松長官の事務代理を務める横畠裕介内閣法制次長も2月6日の衆院予算委で「憲法で許されるとする根拠が見いだしがたく、政府は、(集団的自衛権の)行使は憲法上許されないと解釈してきた」と述べ、従来の政府見解を維持したのだ。
 内閣法制局の長官、次長の憲法解釈も集団的自衛権の行使容認は許されないという見解だ。もはや安倍自身が登場し、首相独裁による解釈改憲で集団的自衛権行使容認へ強行突破する以外になくなっている。
●改憲と戦争の安倍政権倒そう
 安倍は集団的自衛権行使容認を「積極的平和主義」のなかに位置づけ、その積極的平和主義を「国家安全保障戦略」を貫く基本思想だと説明する。
 ただ積極的平和主義は平和主義ではまったくない。きわめて侵略的で軍事的なものだ。
 安倍は昨年9月26日の国連演説で「積極的平和主義の立場から、PKO(国連平和維持活動)をはじめ、国連の集団的安全保障措置に積極的に参加する」と語った。積極的平和主義の内容が明らかにされた。
 日本はこのPKOに1992年から参加しているが、まだ直接の戦闘任務を担っていない。次に「国連の安全保障措置」には「平和の脅威」となる国への禁輸措置などの経済制裁や武力行使が含まれる。北朝鮮やイランへの経済制裁、1991年イラク戦争、2001年アフガニスタン戦争などがこれだ。要するに帝国主義的侵略戦争だ。
 安倍は施政方針演説でぺてん的に災害救助への自衛隊派遣とか「海賊対処行動」(アデン湾)、シリアの化学兵器廃棄、イラン核開発問題への関与などに加えて政府開発援助(ODA)まで「積極的平和主義」だと主張している。
 国家安全保障戦略を貫く基本思想としての面では、非核三原則見直し、核武装化政策(原発推進)、武器輸出三原則見直し、国家安全保障会議―国家安全保障局による情報収集・分析、特定秘密保護法実施も含まれる。大恐慌のもとで軍事、戦争、武力行使、侵略、スパイ活動などを「平和」の名でやるのが積極的平和主義だ。安倍の集団的自衛権行使容認、積極的平和主義を粉砕しよう。
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