福島の怒りはおさまっていない 2・23いわき-3・11郡山へ 反原発福島行動14呼びかけ人の訴え①

週刊『前進』08頁(2618号08面01)(2014/02/03)


 福島の怒りはおさまっていない
 2・23いわき-3・11郡山へ
 反原発福島行動14呼びかけ人の訴え①

(写真 門馬支部長【左】と川俣委員長【動労水戸平支部事務所前】)

(写真 動労水戸は昨年7月、被曝車両K544の交番検査をストで粉砕した。写真は勝田車両センター内でのストに連帯する7月16日の門前闘争)
 「あきらめられるか 忘れられるか 福島の怒りはおさまらない/3・11反原発福島行動14」の呼びかけ人の訴えを連載します。第1回は動労水戸平支部の門馬高弘支部長と、いわき合同ユニオンの川俣辰彦委員長の対談。呼びかけに応え、都知事選を闘い、2・23いわき―3・11郡山の集会とデモに全国から駆けつけよう!(編集局)

 避難者との分断許さない

 ――最近のいわきの状況はどのようになっていますか?
 川俣 震災直後と変わったのは、双葉郡8町村から避難していわき市内に仮住まいしていた人で「もう元の家に戻ることはできない」と判断した人が、借り上げ住宅や仮設住宅から、市内に一戸建を建てて引っ越して住み始めたことですね。

 住民は戻れず作業員は増加

 門馬 もう帰れないと判断した人が一軒家に移っているんです。
 一方、震災直後と変わっていないのは交通量の多さ。逆に渋滞はますますひどくなっている。直後からいわきは原発作業員が出撃していく出撃拠点だったし、今は除染労働者が全国から集まってきて、いわきから通勤している。だから朝夕、いわきと双葉郡の間の交通渋滞は2年前と比べてもますますひどくなっています。沿道のコンビニの弁当も早く行かないと売り切れてなくなるってよく言われてます。
 川俣 JR常磐線の竜田駅までの延伸に先行して、2月22日には常磐道が富岡インターチェンジまで延伸されます。福島第一原発から10㌔もない高線量のところで、午前中に開通セレモニーを行い、午後から供用開始です。
 門馬 無料だった時は高速道路を使っていた人でも、金がない人は今は下を通る。だから国道の合流地点の渋滞がものすごいんです。
 川俣 いわきでは市が線量を測って、毎時0・23マイクロシーベルトを超えるところは「除染」対象としている。だけど、除染しているのは家の周りの庭ぐらいで、山林なんかは何もしていない。
 門馬 おれは津波で家が流されて、今は仮住まい。その家を市が測ったら、水たまりや雨どいでは0・3マイクロシーベルトの数字が出た。そうすると市が「希望すれば除染作業を行いますよ」と言うんだけど、表土を削ったとしても、結局は自分の庭の隅にブルーシートをかぶせて置いておくだけなんだ。
 川俣 深刻なのは、もともといわき市に住んでいる住民と避難してきた住民との間のわだかまりです。いわき市民の中には避難者に対して「あいつらは月10万円も賠償金を受け取って、食っちゃ寝して生活している」と言う人がいる。一方、避難してきている住民たちには「おれたちは原発事故によって家を追い出された」という被害意識もある。
 門馬 地域の仲間うちで酒を飲むとそういう話が出てきたりする。
 川俣 避難者同士でも、地震・津波で避難してきた人と原発事故で避難してきた人との間で、いさかいごとが起きたりしています。さらに同じ原発の避難者でも、月10万円の賠償金を受け取っている人と、広野町のように避難指示が解除されて1年経過して賠償が打ち切られた人がいます。仮設住宅を回って話を聞けば、「働いていた時は月収15万。今は10万円受け取っているけど、生活の苦しさは何も変わらない」という切実な声はいくらでもあります。
 門馬 気候も風土も双葉といわきは同じ。だから双葉に住んでいた人が避難するのは、やっぱりいわきなんです。おれなんかは「一緒にやろう」という立場だけどな。
 川俣 広野町の「帰町宣言」から1年10カ月たちましたが、町に戻った町民は3割もいない。帰町させるために、一時金90万円という懸賞金みたいなものもありますし。
 門馬 にんじんをえさにしてぶら下げてるみたいなもんだ。何重もの分断だよ。
 川俣 そんな分断にのったら同じ過ちを繰り返してしまう。「誰がそうさせたのか」「怒りをどこにぶつけるのか」をはっきりさせなければならないと思います。

 常磐線の竜田延伸に反対

 ――常磐線をめぐっては、広野駅から竜田駅の営業運転の再開が問題になっていますね。
 川俣 会社側は3月の「ダイヤ改正」時の延伸は打ち出していません。楢葉町の町長が「帰町」を宣言するのとセットで延伸を打ち出そうとしているからです。
 でも帰町をめぐる動きと同時に、双葉郡8市町村に放射性物質の中間貯蔵施設がつくられようとしています。楢葉町では建設をめぐって、住民投票をやる条例制定を求めて、有権者の3分の1、2千筆以上の署名が出された。町民は「中間貯蔵施設がつくられたら、年寄りは戻ったとしても娘や息子、孫は戻らない、そうしたら町が終わっちゃう」と深刻に考えているからです。だけど町議会は条例制定を否決しました。
 門馬 楢葉町長は「中間貯蔵施設じゃなくて『保管庫』。1㌔グラムあたり10万ベクレルを超えるものは受け入れない」と言っているけれど、それ以下ならいいっていうのか。
 川俣 すべて金で動いていて、ぬれ手であわでもうかるところに大手ゼネコンが群がっている。
 広野駅から竜田駅の間はたった8・5㌔。会社側は、広野駅で20分程度の折り返しのダイヤをつくれば、その後に延伸が決まってもそのままのダイヤで大丈夫という計算をしている。私も何回か竜田駅を見に行きましたが、ぼうぼうだった線路の草を刈り、砂利を入れ替え、さびついた架線も全部取り替えた。一体いくら金をかけたのか。
 福島と新潟を結ぶJR只見線は、11年7月の新潟・福島豪雨で3本の鉄橋が流されて、今も会津川口駅から只見駅の間27・6㌔が不通になっています。只見線を使って通学していた学生や、新潟県の病院に通っていたお年寄りも多いから、地元の自治体や住民は基金を集めて運行再開を求めている。にもかかわらずJR東日本は全線復旧には85億円程度かかると算出し、バス代行にとどめるつもりらしい。
 門馬 竜田延伸にはいくらでもかけるのに、只見線には金をかけられないのかって思うよな。

 福島切り捨ての五輪に反対

 川俣 広野中学校の生徒数はいまだに20人。そのうち8割がたは広野町内からではなく、いわき市の避難先からスクールバスで通っている。結局帰らない人が多い。住民のニーズや要望とは全然合致してないんです。
 いわきでも国道以外の県道・市道はいまだにマンホールが飛び出ているところがいっぱいある。都知事選で鈴木達夫さんが「オリンピック反対」を掲げているけど、こんな状況でオリンピックをやられたら福島は本当にどうなるのか。どれだけ金と人手と資材がそっちに注ぎ込まれることか。
 門馬 おれも今、自宅を建てている最中なんですが、完成予定が延びているんです。この半年、大雨や竜巻があって、資材も人も関東地方に回されてしまったからです。その上さらにオリンピックなんてやられたら、またも福島は後回しにされます。
 川俣 「オリンピックで福島を切り捨てるな」とは、まさにわれわれの思いです。東京電力はさらに18年までにJヴィレッジを整備して、オリンピックの練習場をつくると言っている。一体誰がJヴィレッジに来て練習するかって。
 門馬 どこの国のサッカーチームも来るわけがない。
 川俣 動労水戸はこの竜田延伸の前哨戦として1月24日にポケモントレイン弾劾第1波スト、31日には第2波のストを行って、いわき駅前で宣伝活動をします。2・23いわき行動は、まさに竜田延伸反対の闘いです。

 原発労働者とともに闘う

 ――いわき合同ユニオンはどのような活動をしておられますか?
 川俣 昨年2月23日の結成から間もなく1年。原発や除染の最前線で被曝しながら汗水たらして働いている、一番過酷な労働条件の労働者と一緒に闘っていくためにという思いで結成しました。
 結成半年で除染労働者から未払い賃金の労働相談が持ち込まれ、団体交渉で勝利和解し解決金をかちとりました。原発や除染の労働者が組合に入って、組合員数は順調に増えてます。
 原発労働者の賃金はこの3年間でどんどん下げられているから、日給月給の労働者たちは収入を増やすために出勤日数を増やしています。そうすると累計線量が上がって、「あなたはもうだめ」と通告され、働けなくなる。だから放射線測定器・サーベイメータで測ったデータをそのまま記入するのではなく、自分であえて実態より低い数値を書き込んで働き続けているのが実情です。
 やっぱり数は力ですから、今年もしっかり仲間を集めていきたいですね。これから花が咲き、実を結んでいくと思っています。
 ――2・23いわき、3・11郡山の行動を呼びかけた思いは?
 川俣 動労水戸は一昨年から被曝車両K544をめぐって、勝田車両センターを中心に被曝労働阻止の闘いをしてきました。その闘いの結果、勝田ではまともな検修もできないままK544は郡山総合車両センターに運ばれ、国労郡山工場支部の仲間が東労組の平成採の青年労働者たちとともに闘いぬいた。動労水戸の闘いが郡山にそうやって結びついたことはとても大きなことだと考えています。
 国鉄1047名解雇撤回闘争も、JRの外注化や被曝労働に反対する闘いも、原発いらないって闘いも、根っこは一つ。福島県では震災や津波で直接亡くなった人よりも「震災関連死」のほうが上回りました。由々しき事態です。消費税増税で負担は大きくなるし、政治家がやっていることは被災者や被曝労働を強いられている労働者の思いを逆なですることばかり。だから職場でも地域でも街頭でも訴えていきたい。
 門馬 いわきと福島の現状は3・11以降、何も変わってない。

 あきらめない忘れられるか

 門馬 原発事故による被害はまだまだ終わってないし、これからなんです。なのにだんだん風化させられようとしている。3・11行動が掲げている「あきらめられるか、忘れられるか、福島の怒りはおさまらない」というのは、まさにおれ自身の思いです。福島の怒りは全然おさまっていない。
 だからあらためて原点に立ち返って「原発はいらない。そのためにみんな一緒になってやっていこう」というメッセージをいわきから発信していきたい。
 川俣 毎週金曜の官邸前行動や特定秘密保護法に反対する行動のように、労働者民衆の声が結集するのを安倍政権は恐れている。だからこそわれわれはそういう正論を訴えていく。
 動労水戸といわき合同ユニオンが国労郡山工場支部、さらに全国の仲間とつながるのが2・23いわきと3・11郡山市総合体育館です。全国の仲間のみなさん、ぜひ集まってください。

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【要項】2・23怒りのいわき行動
 政府・東電の責任逃れ、常磐線竜田延伸、被ばく強制――もう許さない!
 2・23怒りのいわき行動
 2月23日(日)午後2時開会
 集会後デモ出発
 ラトブ6階(いわき駅南口徒歩1分)
 主催 NAZENいわき

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