年金機構 3月大量解雇阻止を 一人の雇い止めも絶対反対 「雇用確保へ前進」と美化 自治労幹部の屈服許すな
週刊『前進』08頁(2618号06面04)(2014/02/03)
年金機構 3月大量解雇阻止を
一人の雇い止めも絶対反対
「雇用確保へ前進」と美化 自治労幹部の屈服許すな
日本年金機構はこの3月に、非正規職員の大量雇い止めを強行しようとしている。「雇い止めの最大限回避」を唱える年金機構労組は、これを「雇用確保への前進」であるかのように打ち出している。闘う労働者のスローガンは「一人の雇い止めも許すな」以外にない。都知事選決戦の争点と同じだ。分断を許さず職場から立ち上がろう!
削減1千人が要求の成果!?
昨年、自治労・年金機構労組は、13年度が年金記録問題対応の最終年度で、6千人の非正規職労働者が雇い止めになる問題の「解決」を当局に訴えた。10月、当局は別名目で予算を確保し、人員削減は1千人減とする計画を提示。さらに11月、年金相談窓口業務の非正規職員に限定して、700人程度を無期雇用化すると発表。同時に、47都道府県年金事務センターを3分の1程度に集約する方針も示した。労組は、「当局提案は不満ではあるが、非正規職雇用確保の大きな前進であり、労組が粘り強く要求してきた成果である」と宣伝した。
ふざけるな! 何が「成果」だ。
職場合理化で業務破綻進む
労組が「雇い止めの最大限回避」と称して行っていることは、1千人の非正規職員の雇い止めを容認し、さらに今後の大量雇い止めに道をひらくものだ。人員予算が確保されたと言っても、現在職場にいる非正規職員の雇い止めを「回避」する保証になどまったくならない。非正規職員には、「契約更新回数4回、最大5年まで」という契約期限がある。無期化対象外で3月末契約期限が来る仲間について、労使とも団交ではまったく触れていない。実際、ある課では3人の仲間に契約期限が来る。この課では別に3人が中途採用され、窓口業務を覚えさせられた。「自分が首にされ、自分の替わりとなる人に仕事を教えなければならない」、こんな屈辱があるか。働く者同士のこんな分断があるか!
この間はっきりしたことは、「4回更新・5年限度」による雇い止めも、真逆の700人無期化も、すべては社会保険庁時代からの社会保険業務の合理化攻撃に原因があるということだ。
社保庁時代、小泉政権は、初めて社会保険庁長官を民間から登用し、業務の全国統一化、人事異動の広域化と人事評価の導入・全国統一化を行った。徹底的な団結破壊攻撃だ。そして、社会保険オンラインシステム刷新と一体となった大幅な合理化・人員削減が進められた。08年7月29日、「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」が閣議決定され、合理化完了時、正規職員1万770人程度、有期雇用職員3700人程度という最終目標が掲げられた。現在の人員よりも1万人も少ない。この基本計画を理由に、「いつでも切れる雇用形態」として、「4回更新・最大5年」の契約期限が必要だとされている。
しかし、一方でこのままでは今年3月末と来年にかけてベテランがまったくいなくなり年金相談窓口が回らなくなる危機に直面し「緊急措置」でこの2年で契約期限が来る年金相談分野の非正規職員700人に限定して無期化するという。
起こっていることは「合理化を進めるための非正規雇用維持」というあり方の破綻だ。
これまでの合理化により、新規採用の正規職が基礎的業務を覚えられなくなっている。一方でベテラン非正規職が雇い止めでいなくなり、正規職は広域異動。課長は民間採用で仕事を知らない。業務に精通した者が一人もいない職場が生まれている。正規職は不足し、一人の業務量が増大し、不満は渦巻いている。年金業務破綻がジリジリと進行しているのだ。
だから、正規と同じ仕事をしている非正規職労働者の大量雇い止めは、社会保障解体攻撃と一体だ。雇い止め問題と職場の合理化で生じた破綻を一つの問題として明らかにし、全労働者の生活と権利を守る誇りで、正規・非正規の団結をつくれる。その手応えをわれわれは昨年1年間の苦闘でつかみとった。
ところが、この当局の破綻をとり繕い、当局と一体で職場から「闘いを起こさせない」ために労働者を分断しているのが、年金機構労組だ。何よりも、予算確保を宣伝する一方で、その予算で雇用継続されるべき仲間が3月末雇い止めになることを隠している。そして、「700人の無期化枠に入るチャンスを公平に与えるべきだと」と当局に要求し、無期化対象労働者と3月末に雇い止めされる労働者の対立をあおり分断している。職場では年度末が近づき、誰が残り誰が去るのか疑心暗鬼の状況になっている。「雇い止めの最大限回避」は闘わないための裏切りのスローガンだ。現場に渦巻く怒りを結集し、当局の合理化攻撃の矛盾を突いて、「一人の雇い止めも絶対反対!」のスローガンで闘おう。
国鉄と同じ労組破壊攻撃
社保庁解体・年金機構移行とは何だったのか。04年、小泉政権の閣僚らの保険料未納をきっかけに、「消えた年金記録」問題が社会問題化した。第1次安倍政権の舛添要一厚労相は、マスコミを使って「社保労働者の怠慢」や労働組合の問題にすり替え、社保庁解体を強行した。これは1987年国鉄分割・民営化とまったく同じ構図だ。採算無視の鉄道建設でつくった赤字を「働かない労働者」「ストばかりやる労働組合」の問題にすり替え、激しい合理化と人員削減で団結を破壊して分割・民営化を強行した。
社保庁解体は、国鉄分割・民営化に続く公務員全員解雇と労組解体の歴史的攻撃であり、全労働者に対する解雇自由=雇用破壊と総非正規職化の突破口となるものだ。
同時に政府が資本救済のために使った年金財政の破綻を隠し、大増税と年金・社会保障解体、私的年金制度への転換を狙う大攻撃だった。
しかし、昨年、福山社保事務所の平口雅明さんを先頭とする社保庁分限免職の人事院闘争は、違法不当な分限免職の手口の全容を白日のもとにし、24人の処分撤回をかちとった。動労千葉9・25高裁判決は、国鉄改革法体制の虚構を暴いた。まさにこの年金機構の大量雇い止め攻撃との闘いは、国鉄改革法(いったん全員解雇―選別再雇用方式)との対決と一つだ。国鉄最高裁決戦の勝利が全情勢を開く。
13年の闘いで、われわれは勝利の路線を手にした。国鉄1047名解雇撤回・社保525人分限免職撤回、JR・日本年金機構職場の合理化絶対反対、外注化阻止・非正規職撤廃、雇い止め阻止の立場で正規・非正規が団結して闘えば、韓国のように新自由主義への怒りの世論を組織して絶対に勝てるのだ。
1~3月、職場は誰が残るか残らないかの探り合い状況になり、1年間で一番苦しい時期だ。しかし、われわれは今年こそ、1年間で一番熱い連帯の時期にするために闘いたい。ここ数年で雇い止めされた仲間の顔が思い浮かぶ。昨年、声をかけた仲間全員が国鉄署名に応じてくれた。みんなが闘う団結を求めていることをつかんだ。そして、われわれ自身がそうであるように、職場情勢の核心、すなわち時代認識と路線をつかんだ時、職場の仲間も同じように必ず決起する。
『前進』武器に職場拠点化を
われわれは地区党として、職場の拠点化を推し進める。そこから日本年金機構労組を闘う労組へと変革することを目指す。昨年以上に『前進』を武器に闘う。『前進』への投稿は、自分の闘いと職場を時代と階級情勢に位置づけてとらえる最良の活動だ。その力で、自分と仲間の団結の前進を総括し、また進むことができる。『前進』を毎週毎週一歩一歩総括し、教訓を深め、方針をつくる熱気ある場としてつくり出そう。労働者は一つだ! 韓国労働者に続こう! 安倍政権による年金記録問題の3月幕引きを許すな。日本年金機構の3月末大量雇い止めを阻止しよう!
(革共同B県委員会)