エネルギー基本計画 原発推進が狙いだ 3・11福島行動で怒りの反撃を

週刊『前進』06頁(2615号05面01)(2014/01/13)


 エネルギー基本計画 原発推進が狙いだ
 「重要なベース電源」と居直り
 3・11福島行動で怒りの反撃を


 2011年3・11から3年目を前に、福島第一原発事故に対する労働者人民の怒りは激しさを増し、安倍政権を足元から揺るがしている。反原発の闘いは昨年11~12月、特定秘密保護法反対の怒りと結びつき国会前を頂点とした闘いの大高揚となり、今や安倍の改憲攻撃を粉砕する階級決戦に発展しようとしている。これにおびえ、安倍は福島県民への帰還強要・フクシマ圧殺と原発再稼働の衝動を強めている。3・11郡山集会の大結集で、安倍のもくろみを打ち砕こう。

 反原発闘争に打撃感あらわ

 昨年12月13日、経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」は「エネルギー基本計画に対する意見(案)」を了承した。安倍は1月に閣議決定する予定だ。この「意見」こそ安倍と資本家階級の激しい危機感の表明であり、必死に打開の道を求める反人民的な姿そのものだ。
 「意見」が示すものはは第一に、労働者人民の一切の妥協の余地のない原発への怒りと闘いの前に安倍や資本家階級が震え上がっていることだ。「国民の間には原子力発電に対する不安感や、原子力政策を推進してきた政府・事業者に対する不信感・反発がこれまでになく高まっている」と、異例とも言える表現で危機感を吐露している。
 歴代自民党政権と資本家階級は自分たちの莫大(ばくだい)な利益のために、特に80年代以降、新自由主義のもとで全国に50基以上もの原発を建設し稼働させてきた。それは同時に、敗戦帝国主義・日帝にとって核武装の偽装形態そのものであった。その結果「新自由主義の自爆的事故として福島原発大事故にまで行き着いたのだ」(『現代革命への挑戦』上巻236㌻)。
 福島原発事故は福島県を始め東北・関東地方を放射能汚染させ、特に福島県の東半分は人が住むことができないほど高濃度に汚染させた。59人の小児が甲状腺がんかその疑いありと診断され、さらに今後、福島などで多種多様な病気の発症が懸念されている。また汚染水問題は深刻の度を増し、収束の展望も見えないのが現実だ。
 福島原発事故はその一方で、原発にしがみつく”1%の資本家や政治家など”と”99%の労働者人民”の対立構造を鮮明にした。この”1%”を倒さない限り原発はなくせないし、労働者人民と子どもたちの未来はないことを示し、労働者人民の意識を一変させた。 
 日帝と労働者人民との間にはあいまいな決着など一切ない。安倍や資本家階級を打ち倒すまで闘いは巨大に発展する。

 安全無視し再稼働・輸出狙う

 「意見」は第二に、労働者人民の怒りと闘いに追い詰められたがゆえに、原発政策を推進し、「再稼働を進める」「原発輸出」も進めると宣言し、さらに高速増殖炉もんじゅの推進まで宣言している。
 「意見」は原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、繰り返し強調している。石油や天然ガスを「重要なエネルギー源」と位置づけているのと比べても、原発を格段に重要視しているのが明瞭だ。
 「意見」はその理由として、原発の停止によって火力発電のための原油輸入が増加し、貿易赤字が増大しているとわめいている。そもそも「貿易赤字」など資本家階級の損得の問題であり、むしろ資本家が危機に陥ることは歓迎すべきことだ。その上でだが、「原油輸入の増加」自体がまったくのデマである。財務省「貿易統計」で2009年1月から2013年11月までの月ごとの統計を見ても、原油輸入量は、全原発が停止した2012年5月以前も以後も1500万~2000万㌔リットルの間を推移しており、変化はないのだ。
 日帝と安倍が原発にしがみつくのは、世界大恐慌と帝国主義・大国間の争闘戦が激しく進展する中で、鉄道輸出とともに原発輸出が死活的となっているからであり、さらに核武装の放棄は帝国主義としての死を意味するからだ。安倍は帝国主義としての死活を賭け原発再稼働と輸出にのめり込もうとしているのだ。
 「意見」は、「中国、東南アジア、インドをはじめとする新興国」などに「原発輸出を含む原子力技術を提供する」と、意図をむき出しにしている。それは、原発事故を世界に輸出することだ。日帝は、原発関連の輸出において、実物の確認や複雑な計算式を使った強度計算などの「安全確認」を行っていない。国内向け機器の場合はまがりなりにも実施しているこれらの調査を行わず、簡単な書面審査や聞き取りだけで輸出している。
 しかも2012年までの10年間に輸出された約1248億円分の機器のうち、少なくとも約4割はその「安全確認」さえ行っていなかった。その中には原子炉圧力容器や制御棒駆動装置など原発の安全に関わる中枢中の中枢の機器まで含まれている。にわかには信じられない事態だ。原発事故で世界中を放射能汚染させ、何千万人の労働者民衆を殺しても資本さえ生き残れば良いという新自由主義の極致だ。ここまで資本主義は腐敗しきっている。
 さらに「意見」は「核燃料サイクルについて……引き続き着実に推進」「もんじゅについては……実施体制を再整備する」と宣言し、核武装への執念を語っている。

 危険承知で福島へ帰還強要

 「意見」は結論として「広報」「教育」を通じて原発への怒りを解体しフクシマを圧殺しようと画策している。「エネルギーの専門家や事業者、行政官……が積極的に教育現場に参加していく」として、御用学者や電力資本の役員、経産省官僚などを総動員し、学校を「原発推進」で染めあげようとの魂胆だ。

 20㍉シーベルト以下安全と強弁

 さらに「常にリスクが存在することを明示し……リスクに関する正しい理解を得ていく取組を強化する」と提言していることは極めて重大である。危険を百パーセント承知の上で、福島県民に帰還を強要し、原発を推進しようとの極悪な企てだ。昨年11月20日、原子力規制委員会は年間被曝線量が20㍉シーベルトまでは帰還できるとの方針を決定し、12月20日には閣議決定した。「意見」が出した方針の具体化そのものだ。絶対に許すことはできない。だが、避難している人びとからは、苦渋の思いで帰還を拒否する声が上がっている。フクシマの怒りを圧殺することはできない。
 3・11反原発福島行動の大成功こそ、フクシマの人びととつながり、安倍のフクシマ圧殺と原発再稼働を打ち砕く道だ。全国から会場の郡山市総合体育館に大結集しよう。
 (北沢隆広)
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 福島圧殺と原発推進の「エネルギー基本計画」

■国民の間には原子力発電に対する不安感や、原子力政策を推進してきた政府・事業者に対する不信感・反発がこれまでになく高まっている
■原子力発電は……基盤となる重要なベース電源
■原発輸出を含む原子力技術を提供する
■エネルギーの専門家や事業者、行政官……が積極的に教育現場に参加していく
■常にリスクが存在することを明示し……リスクに関する正しい理解を得ていく取組を強化する
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