〈焦点〉 国家安保戦略・防衛大綱・中期防 安倍の大軍拡=改憲許すな

週刊『前進』12頁(2614号03面03)(2014/01/01)


〈焦点〉 国家安保戦略・防衛大綱・中期防
 安倍の大軍拡=改憲許すな


●初の国家安全保障戦略策定
 安倍内閣は12月17日、国家安全保障会議(日本版NSC)と閣議で、外交・安全保障の基本方針となる初の国家安全保障戦略(NSS)とそれを実施する防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を決定した。
 それは、「積極的平和主義」の名のもとに自衛隊の大増強と侵略戦争軍隊化を推進し、さらに武器輸出3原則を撤廃し、武器輸出を成長戦略の柱にすることによる世界の兵器市場への割り込みをもくろんでいる。さらに「我が国と郷土を愛する心を養う」と愛国心を明記した。国家安全保障戦略が唱える愛国心とは「お国のために喜んで死ね」以外の何を指すのか。14年には集団的自衛権の行使、国家安全保障基本法制定、そして改憲を狙っている。改憲・戦争をめぐる大決戦が始まっている。
●3原則撤廃し武器輸出解禁
 国家安全保障戦略では、武器輸出3原則について「武器輸出3原則が果たしてきた役割に十分配慮し、武器などの海外移転に関し新たな安全保障環境に適合した明確な原則を定める」としている。安倍は、年明けに武器輸出を原則可能にする新基準の策定、つまり武器輸出3原則の撤廃を企んでいる。
 武器輸出3原則は1967年、ベトナム反戦闘争の高揚の中で、佐藤内閣が「①共産圏②国連安保理決議により武器輸出が禁止されている国③国際紛争の当事国またはそのおそれのある国」――のケースで武器輸出を禁止。三木内閣が76年、3原則以外の国にも原則、輸出禁止を決めた。
 ただ、米国への武器技術供与などは個別に官房長官談話を出して「例外」を設けてきた。05年の米国向け弾道ミサイル防衛システムの共同開発(小泉首相)、11年の国際共同開発・共同生産への参加と「人道目的」の場合の装備品供与(野田首相)、13年の次期主力戦闘機F35への日本企業の参画(安倍首相)などである。
 そして、安倍は「成長戦略」と称して原発・鉄道などのインフラ輸出に全力をあげているが、同時に武器のインフラ輸出に活路を見出そうとしている。武器とともに保守・点検・整備・修理、その設備と人員を含めてインドやトルコ、東南アジアに輸出しようとしている。米新軍事戦略と一体化しながら日帝独自の勢力圏構築を目指している。
 これを「武器輸出3原則に抵触しない」という開き直りで行っている。自衛隊装備品を民間転用して、輸出するやり方だ。海自の救難飛行艇US2を消防飛行艇としてインドに輸出を進めている。さらに安倍は、トルコ訪問で三菱重工の原発輸出の受注を取り付け、さらに三菱重工のトルコ軍戦車のエンジン共同開発受注をねじこんだ。これについて小野寺防衛相は、「民間企業活動の一環だ」と開き直った。
 大恐慌は、過剰資本・過剰生産力の矛盾の爆発であり、全世界で帝国主義間・大国間の争闘戦を絶望的に激化させている。戦争の切迫という情勢において、安倍は、戦争に向かって武器輸出3原則を撤廃して武器市場への割り込みに絶望的延命の道を見出そうとしているのだ。
●「防衛大綱の見直し」も
 さらに防衛計画の大綱の見直しでは、「統合機動防衛力」を基本理念として、「動的防衛力」構想よりもさらに一段と、実際に戦争のできる内容にエスカレートさせている。▽警戒監視能力の強化▽島嶼(とうしょ)部攻撃への対応、▽弾道ミサイル防衛のもとで、全国の陸上自衛隊を一元的に指揮・命令する「陸上総隊」の新設を盛り込み、南西諸島の「島嶼奪還作戦」の機動展開を行う「機動師団・旅団」を新設する。そのために陸上自衛隊を5千人も大幅に増やし15万9千人とした。「中期防」5年間の防衛費総額は前期より1兆2千億円増の24兆6700億円となる。これも軍需産業を潤す。恐るべき大軍拡だ。その行き着く先は侵略戦争であり、世界戦争である。だがそれは世界革命を生み出す。
 安倍は、臨時国会で改憲攻撃として国家安全保障会議設置法、特定秘密保護法を強行したが、数万人の怒りの国会デモがこれを迎え撃った。国鉄決戦を基軸にして、改憲・戦争の安倍政権を打倒しよう。
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