2010年5月31日

韓国哨戒艦沈没事件 「北朝鮮の仕業」と断定し米韓は6月に軍事大演習 北朝鮮侵略戦争の切迫に反撃を

週刊『前進』06頁(2441号2面1)(2010/05/31)

韓国哨戒艦沈没事件
 「北朝鮮の仕業」と断定し米韓は6月に軍事大演習
 北朝鮮侵略戦争の切迫に反撃を

 帝国主義の未曽有の危機の中で、米帝と韓国政府による北朝鮮侵略戦争の危機が超切迫している。これは沖縄に対する辺野古新基地建設を宣言する日米共同声明と一体の攻撃である。一触即発の戦争的危機に対して、反戦闘争、安保・沖縄闘争の爆発で階級的に大反撃しなければならない。

 調査結果発表と「宣戦布告」

 3月26日に起こった韓国海軍哨戒艦「天安(チョナン)」沈没事件(46人死亡)に対し、米帝主導で編成された米・英・豪・スウェーデンの軍民合同調査団が5月20日、「北朝鮮製の魚雷による水中爆発で沈没した」と調査結果を発表した。
 続いて24日、韓国の李明博(イミョンバク)大統領は北朝鮮に対して「断固たる措置を取る」「北朝鮮は相応の対価を払うことになる」と談話を発表。李は制裁措置を発動すると同時に、「北朝鮮が今後韓国の領海、領空、領土を武力侵犯すれば、即刻自衛権を発動する」「軍の戦力を画期的に強化し、韓米連合防衛態勢を一層強固にする」と発言した。
 米帝は、「調査結果」を受けてゲーツ国防長官が「韓国の調査を支持する」と態度表明した。
 日帝は李明博の声明を断固支持し、共同歩調をとることを表明した。
 クリントン国務長官は訪中を前に、急きょ21日訪日し、鳩山、岡田と会談した。その目的は、普天間基地問題というよりは、朝鮮情勢についての意思一致であった。普天間の辺野古移設は、すでに前提だったのだ。
 韓国政府は、北朝鮮への制裁を求める国連安全保障理事会への新たな決議案を6月初めにも提示する。クリントンは24日、北京で北朝鮮を「テロ国家に再指定するかどうか引き続き検討している」と発言した。
 米韓両軍は、対潜水艦戦の大規模軍事演習を6月にも計画している。秋の予定を前倒しするもので、「(沈没の起きた)黄海だけでなく、東海(日本海)でも行う」としている。
 この一連の動きは、米帝オバマ政権と韓国政府、そして日帝・鳩山政権が一致して行ったものである。「調査結果発表」自体が宣戦布告にも等しい。きわめて切迫した重大事態である。
 韓国国内でも「調査結果は不透明で信用できない」という怒りと不信の声が上がっている。

 北朝鮮の体制崩壊的な危機

 一方、北朝鮮政府は、20日の調査結果は「ねつ造」だとする声明を発表、「制裁措置に対しては全面戦争を含む強硬措置で答える」と警告した。北朝鮮の金正日(キムジョンイル)スターリン主義政権は、昨年のデノミ政策の失敗もあり、世界大恐慌のもとでの経済的破綻の様相を一段と深めており、体制崩壊的危機に突入している。米帝に自らの支配体制の保証を取り付けようとして、反労働者的反人民的な冒険主義的瀬戸際政策に訴えている。
 その場合、金正日は北朝鮮人民を抑圧しているだけでなく、南朝鮮人民に対しても、その米帝と李明博政権に対する階級的な反撃の闘い、労働者階級の自己解放的決起に根底的に敵対しているのである。
 しかし、問題はこの北朝鮮政権の綱渡り的政策を餌食として、米日帝が一気に北朝鮮侵略戦争、体制転覆的行動に出ようとしていることにある。
 そもそも、米帝は圧倒的な軍事力(巨大な核軍事力!)、在韓米軍および第7艦隊と沖縄を始めとする在日米軍をもって、北朝鮮に対して軍事重圧を加えており、そこにある「力の差」は圧倒的に歴然としている。
 今年も3月8日から10日間、米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」が強行された。韓国軍2万人、米軍1万8000人という陣容で「北朝鮮軍の全面的な南侵に備えて米軍を朝鮮半島に迅速に増員する訓練」として行われた。野外機動訓練「フォールイーグル」が並行して実施された。
 これに対して北朝鮮政府は「核戦争の演習、北への侵略戦争の演習だ」と非難し、「われわれの自衛的核抑制力はさらに強化されるだろう」と警告した。
 米帝の側は、北朝鮮のこうした反応を知っていて、軍事挑発そのものである共同演習を北朝鮮の眼前で展開したのである。だから、キーリゾルブの過程でも、(北朝鮮からの)韓国の艦艇に対する攻撃などを想定した訓練が行われた。
 米帝は北朝鮮の体制崩壊的危機を見据え、北朝鮮を制圧・占領しようとしている。「政権が崩壊した時に、北朝鮮にある核を押さえることが海兵隊の目的である」と海兵隊司令官が公言してはばからない。

 辺野古新基地は戦争の基地 

 今日、鳩山政権が再び「辺野古新基地」を沖縄県民に押しつけようとしていることと、北朝鮮侵略戦争突入情勢は完全に一体のものである。沖縄基地はまさに米帝のイラク・アフガニスタン侵略戦争のための基地として今現に使われているだけでなく、朝鮮・中国侵略戦争のための基地でもある。日米の帝国主義者どもが言う「抑止力」とは、帝国主義の体制、労働者階級を搾取し抑圧する体制を維持するための暴力装置のことである。「抑止力」とか「安全保障」は、帝国主義国家のそれであって、階級的規定性のない抑止力や安保というものはない。
 だからそもそも「海兵隊は日本の抑止力になっていない」とか、「県外に移設せよ」などの議論は、まったくナンセンスなのだ。米軍基地は、帝国主義の侵略戦争のためのものであり、とりわけ今日的には切迫する朝鮮侵略戦争のための基地なのだ。これに対する闘いと別のところに普天間基地撤去の闘いはない。 
 仲井真知事に対する鳩山の発言を見よ。
 「昨今の朝鮮半島情勢からお分かりだと思うが、今日の東アジアの安全保障環境にまだ不確実性がかなり残っている中で、海兵隊を含む在日米軍全体の抑止力を現時点で低下させてはならないということは、一国の首相として安全保障上の観点から、やはり申し上げなければならない」
 これは要するに、第一に今や米帝の北朝鮮侵略戦争が切迫していること、日帝としても、これに全面的に協力加担すること、第二にそのために沖縄基地は不可欠の拠点になっているのであり、それを弱めることはできない、沖縄はこれを甘んじて受け入れろ、ということ、この二つのことを鳩山はあらためて通告しているのである。
 まさに沖縄基地は戦争のための基地であり、だからこそ帝国主義者は譲れないものとして基地建設を押しつけてくるのだ。だから、プロレタリアートにとっては、安保粉砕・基地撤去しかないのだ。基地撤去を求める全人民的怒りの先頭に立って、米日帝の北朝鮮侵略戦争阻止、普天間基地撤去、辺野古新基地建設阻止へ闘い抜こう! 
 この闘いを国鉄決戦を基軸に、一体の闘いとして闘い、6・13大集会に総結集しよう。