2010年5月17日

〈焦点〉 対北朝鮮の戦争危機切迫

週刊『前進』06頁(2439号5面3)(2010/05/17)

〈焦点〉 対北朝鮮の戦争危機切迫
 安保・沖縄闘争で対決を

 大恐慌下で北朝鮮侵略戦争の危機が新たに切迫している。3月に黄海で韓国軍の哨戒艦が「爆発」によって沈没し46人の乗員が死亡した事件について、韓国政府および米オバマ政権は「北朝鮮軍の仕業」と事実上断定するような見解を発表し、米国務副長官はワシントンで「今後の対応はあらゆる可能性を排除しない」と挑発的な態度表明を行った。外交用語で「あらゆる可能性」とは軍事攻撃を含むという意味だ。
 これに関連し「北朝鮮軍が南北非武装地帯付近に特殊部隊5万人を配備」などの挑発的報道も飛び交う。韓国軍は、06年以降中断していた38度線での心理戦(拡声器放送などで相手軍兵士の動揺を誘う目的の作戦)の再開を準備し、また黄海での米韓連合軍の対潜水艦演習の実施準備に入ったと発表した。韓国と日本のブルジョア・マスコミは連日のように対北朝鮮の排外主義をあおっている。
 侵略戦争が切迫しているのだ。それがプロレタリア自己解放と世界革命の道を裏切り、人民への極限的な軍事支配と収奪で権力を維持してきた北朝鮮スターリン主義の崩壊的危機に乗じて起こっている。帝国主義者たちが最も恐れているのは、南北朝鮮の労働者人民自身が分断打破と革命的統一への主導権を握ることだ。その闘いが分断と民族抑圧を強制してきた帝国主義とスターリン主義に対する根底的怒りとして解き放たれることである。
 沈没事件の真相は不明だ。しかし朝鮮を南北に分断する38度線は、ソ連崩壊後の現在も100万人の北朝鮮軍、69万人の韓国軍、4万人の在韓米軍が対峙し続ける世界戦争級の危機の最前線だ。そして北朝鮮の体制崩壊とは、中国スターリン主義の経済的・軍事的「台頭」の中で、大国ロシアをも巻き込んだ北東アジアの軍事支配の再編という大問題を引き出す。
 これは大恐慌の進展のなかで米帝の世界支配を決定的な次元で揺るがす問題だ。基軸通貨・ドル体制の最後の砦は、ほかでもなく軍事力だからである。昨年11月には、米韓両軍が「北朝鮮の体制崩壊時の強襲計画」を完成させ、今年3月には、この作戦計画に基づく米韓合同軍事演習も行われた。そしてこれと時を同じくして、米太平洋海兵隊司令部の司令官が2月、日帝・防衛省との会合で「沖縄海兵隊の(攻撃)対象は北朝鮮だ。金正日体制の崩壊時に北朝鮮の核兵器を速やかに除去するのが最重要任務だ」とぶちあげたのだ。すさまじい戦争挑発である。
 こうした中で今回の沈没事件も起きた。米オバマ政権が、第2次大戦と朝鮮戦争以来の“アジアの要石”である沖縄基地の維持を強硬に主張する理由は、まさに侵略戦争の実戦的要請なのである。
 日帝・鳩山政権は、ブルジョアジーの政府としての正体を日々むき出しにし、新たなアジア勢力圏化と「日米同盟の深化」をうたい、沖縄の労働者人民の闘いとの非和解的な激突に自己の延命をかけようとしている。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いは南北朝鮮人民と連帯し、帝国主義の新たな朝鮮侵略戦争と全面的に対決する闘いだ。5・15を突破口に新たな安保・沖縄闘争の爆発をかちとろう。