2010年5月 3日

沖縄県民大会 “基地と労働者は非和解” 三里塚反対同盟、大会に合流

週刊『前進』10頁(2438号3面1)(2010/05/03)

沖縄県民大会 “基地と労働者は非和解”
 闘う労働運動の復権が鍵だ
 三里塚反対同盟、大会に合流

 「65年間、基地に苦しめられてきた」「基地のせいでまだ戦争は終わらない」「基地がある限り事件・事故は必ず起きる」「戦後60年以上、がまんを重ねてきた。これが初めてのチャンス」「僕らの未来に基地はいらない」
 4月25日、読谷村運動広場に集まった人びとの声は原則的で根底的だ。鳩山首相や仲井真知事、したり顔の識者や評論家らの「負担軽減」「国外・県外移設」論とは本質的に位相が違う。
 「負担軽減」「国外・県外移設」論は「在日米軍の抑止力は、日本の安全保障にとって不可欠であり、普天間基地の代替施設なき返還は現実的には不可能」(鳩山)という主張と一体だ。だが10万人の怒りは「日本の安全保障に米軍基地が必要だ」という論議そのものを吹き飛ばす。
 95年の米兵による少女暴行事件を契機とした8万5千人の県民大会、07年の教科書検定で強制集団死への日本軍の関与を否定した日本政府に対する11万人の決起を経て、新基地建設そのものを焦点に10万人が決起したのだ。沖縄階級闘争は完全に新たな局面に入った。
 もはや日本帝国主義・鳩山政権は沖縄問題を体制内的に解決することはできない。沖縄の米軍基地は帝国主義の世界支配体制の軍事的要をなす。沖縄支配が貫徹できなければ帝国主義の世界支配は崩壊につながる。「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒!」——沖縄の全島的全県的決起の旗印にこの革命的スローガンが掲げられる時代が来た。

 “沖縄と三里塚思いはひとつ。

 今回の県民大会に三里塚芝山連合空港反対同盟が合流したことは決定的だ。敷地内の萩原進さんと市東孝雄さんが参加した。支配階級や体制内指導部は「成田闘争のようになってしまう」と正しくも危機感を募らせている。そのとおりだ。三里塚闘争のように闘うことが勝利の道だ。
 三里塚闘争は44年間、国策=空港建設をかざした機動隊のあらんかぎりの暴力による土地強奪との闘いだった。反対同盟は「空港絶対反対」「一切の話し合い拒否」「農地死守」の実力闘争で闘い抜き、勝利してきた。反対同盟は前夜、沖縄の労働者や全学連と交流会を行い、県民大会では同盟旗を翻し、「思いはひとつ。力を合わせて戦争につながる国の非道を打ち負かそう」と訴えた。

 労働者階級が闘う中軸担おう

 今ひとつ決定的な問題は、全県的決起の中軸部隊をなすのは労働者階級である、ということだ。基地の島・沖縄の現実を根底から変革することは沖縄労働者階級の歴史的決起にかかっている。
 この社会の生産を支えている労働者階級の決起こそ基地を撤去し、戦争を阻止する最大の社会的力だ。沖縄でも、労働者、とりわけ基地労働者と青年労働者の状態の中に、階級的矛盾の最も普遍的な姿を見いだすことができる。
 民主党・連合政権路線は完全に破産し、今や労働者階級の利害とは1ミリも相いれない。労働者の怒りを体制の枠内に抑え込もうとする体制内労働運動指導部を打倒して、階級的労働運動をよみがえらせる時がきた。
 かつて沖縄の基地労働者は体制内指導部の制動を打ち破り、激しく「解雇撤回・基地撤去」を闘った。基地労働者の大量解雇に対し、青年労働者が最前線に立ち、「労働者は死んではならない、死すべきは基地だ」のスローガンを掲げてストライキを闘った。
 それから約40年。今、沖縄の失業率は本土の2倍。多くの青年労働者が仕事を得ることが困難な状態にある。基地労働者の大量解雇−外注化と非正規雇用化が問題となっている。
 新基地建設の見返りの振興策で東京—沖縄間をつなぐ大容量データ回線「沖縄県情報産業ハイウェイ」を使ったコールセンター(注文や問い合わせ、苦情などの電話対応業務を専門に行う事業所・部門)が大量に沖縄に進出した。外注化の典型だ。ハローワークの求人情報の大半がコールセンター関連だ。だが1万人を超えるコールセンター労働者の9割が非正規雇用であり、手取り15万円に満たない超低賃金の長時間労働だ。苦情応対のストレスや応対結果の評価の重圧など、労働条件は最悪である。
 闘う労働組合と労働運動の復権——この一点に今後の沖縄階級闘争を発展させる鍵がある。国鉄闘争と反合・運転保安闘争路線で階級的労働運動を復権させよう。基地と安保への怒りをストレートに爆発させよう。