2010年4月19日

4・23法大闘争に総決起を 「退学・停学」処分を粉砕し教育と団結を取り戻そう マルクス主義学生同盟・中核派

週刊『前進』06頁(2436号3面1)(2010/04/19)

4・23法大闘争に総決起を
 「退学・停学」処分を粉砕し教育と団結を取り戻そう
 マルクス主義学生同盟・中核派

 全国の学友は「教育の民営化粉砕!」「大学・教育を取り戻せ!」を掲げ、全世界で湧き起こる労働者・学生の反乱に合流しよう! 法大闘争とまったく同じスローガンが、カリフォルニア全州教育ゼネストにおいて100万人の心をとらえている。全学連もともに闘った3・4ゼネストは、学生がキャンパスから闘いを開始したときに、教育労働者および地域丸ごとの決起へと発展することを示した。300万学生は日本の地において、4・23法大解放総決起集会をその突破口としよう。文化連盟・斎藤郁真君、倉岡雅美さんへの「退学」「停学」処分撤回! 学生運動が階級闘争の先頭に躍り出よう。

 「生きさせろ」の怒りが大学キャンパスに充満

 もはや、資本主義は労働者階級を食わせていけなくなった。そして同時に、資本主義は「教育」という社会を成り立たせる根幹すら保障できなくなった。進行している事態は、新自由主義攻撃による「教育の崩壊」であり、青年・学生の「未来の喪失」だ。「生きさせろ!」の怒りはキャンパスに充満している。 

 高騰する学費と貧困ビジネス

 「仕送り最低、学費は最高」(朝日新聞)。大学生の生活費は、2000年度から8年間で3割減少。私立大生の学費は親の年収の3分の1にものぼり、仕送り額はバブル期の半額にまで減少している。学生の1割は仕送りゼロだ。学生の一日平均生活費は、1123円にまで低下した。
 その一方で、学費は国立平均68万円、私立平均133万円と、過去最高だ。大恐慌のもとでの資本攻勢で保護者の平均年収は8年間で130万円減少し、授業料滞納率は08年の1年で3倍になった。アルバイトなしには大学に行けない学生は、実に37・6%だ。
 学生の生活苦につけ込み、奨学金制度は今や新たな「貧困ビジネス」となった。首都圏私立大生の63・3%が奨学金を申請し、入学時に上限金利3%で月12万円借りた場合、卒業時には800万円の借金だ。返済できない学生は金融機関に個人情報が引き渡され「ブラックリスト」化される。今後は「金利上限3%の撤廃」すら狙われている。未来の賃金をむしりとり、学生を借金漬けにするのが大学なのか!

 大失業攻撃の下での新たな収奪

 「就職氷河期」と叫ばれている就職難で、09年度の内定率は80%。学生の5人に1人は就職できない。約13万人が就職もできずに卒業し、「失業者」となって路頭に放り出されている。
 これに対して大学は何をやっているか? 来年4月から「職業指導(キャリアガイダンス)」が全大学で義務化される。文科省は、2014年までの5年間を大学生・大学院生の「就学力」向上期間とし、国公立私立大学の130校に支援金、500校に相談員を派遣する方針を打ち出した。大恐慌による失業(就職難)という本質を覆い隠し、「自己責任」の脅迫のもとで、さらに学生を競争へとかりたてていこうとしているのだ。
 それだけではない。大学における新たな収奪が始まっている。「新卒」という肩書きのための「希望留年制度」「卒業延期制度」を導入。就職できなかった学生を「留年」させて、さらに学費を搾り取りとろうとしている。やむをえず大学院に進学した学生からも高額の学費をとり、「高学歴ワーキングプア」として放り出される。
 「資本がもうけるかぎりにおいて、学生は教育を受けられる」。教育を受ければ受けるほど、借金を背負わされ、未来が奪われる。こんな現実には、もう我慢ならない。こんな転倒した社会を根本から変革する時だ。末期の絶望的資本主義に引導を渡そう。

 新自由主義化で深まる大学の荒廃と自治破壊

 起きている事態は、新自由主義大学化と「教育の民営化=私物化」だ。
 それは、2004年の国立大学法人化から加速度的に進んだ。法人化後の5年間で、大学運営費交付金は毎年1%ずつ、合計720億円も削減された。
 大学から教員に配分される基礎的な研究費は激減した。法人化前の約150万円から72万円余に減少している。07年度の研究時間は、法人化前の01年度に比べ2割減った。資金不足の大学は、寄付金集めと企業からの研究費集めに奔走している。そして、「理事会」や「経営評議会」などの名目で大学運営に大ブルジョアジーが続々と参入している。「大学の独立性」や「教授会自治、学生自治」は利潤追求(営業権!)の阻害物として破壊され、資本家の意思を体現する学長に一切の権限が集中した。
 日帝支配階級と民主党政権がすすめているのは、大学間競争の激化であり、大学の淘汰(とうた)・統廃合だ。その結果、定員割れ・募集停止の大学が続出。定員割れ私立大学は、98年度は8%だったが今年度は46・5%。08年度は赤字だった私立大学は、44・3%にも達する。
 この新自由主義的大学改革の核心は「道州制の導入」であり、大学・教育のまるごと民営化である。民主党政権は「事業仕分け」によって、大幅に大学に対する運営費交付金・研究費を削減した。今年は、市場化テストを3倍化すると打ち出し、キャンパスにおいても「資本の論理」を徹底的に貫こうとしている。
 86大学の市場化テストの進展度合ランキングが発表され、政府は「評価を大学運営費交付金に強く反映すべきだ」(枝野行政刷新相)などと民営化・合理化・首切り競争をあおっている。6月から内閣府は、全国の国公立大学の施設管理業務と図書館運営業務を外部委託することを手始めに、大学まるごとの民営化を狙っている。そしてそこに、ブルジョアジーが群がってこようとしている。
 そして民営化・外注化の核心は、労働組合の解体と首切り、自治破壊だ。さらには、大幅な人員削減と果てしない非正規化だ。法人化以降、行財政改革の一環で大学にも5%人件費削減が課された。教授のポストは減らされ、授業の3分の1以上が人件費の安いパート賃金以下の非常勤講師に置き換えられた。
 さらに、寮自治を解体し、PFI(民間資本主導)型の寄宿舎に置き換えていく攻撃が強まっている。PFI型の寄宿舎では寮費ははね上がる。そもそも学生寮は、経済的な理由で生活できない学生のために、戦後学生運動の爆発の中でかちとってきた生活の場であり、自治空間だ。廃寮化攻撃は、寮生・学生から衣食住すらも奪う攻撃なのだ。
 東北大学日就寮の食堂廃止攻防、富山大学新樹寮の民営化・非公認化攻撃、京大熊野寮・吉田寮の自治解体をめぐる決戦が始まっている。全国寮生は決起し、「民営化絶対阻止!」「生きさせろ!」の闘いをさらに推し進めよう。
 法政大を先頭にした現在の新自由主義大学は、もはや「教育」でも「大学」でも何でもない。闘う団結の中にこそ学生の未来はある。

 「教育の民営化」粉砕へ全国学生の総反乱を!

 4年間の法大闘争は、「教育の民営化=私物化」に対する学生の未来をかけた闘いとして熾烈(しれつ)に闘われてきた。法大当局と警視庁公安部の未曽有の学生弾圧の背後にあるものは、教育の破壊に対する学生・労働者の怒りの決起への恐怖である。のべ118人の逮捕とそれをのりこえてきた文化連盟・全学連の団結と存在こそ、「教育を取り戻せ!」という大衆的学生決起の時代の到来を告げ知らせているからだ。
 90年代以降の法大闘争史は、むき出しの資本との闘いである。96年、法政大学総長に就任した清成は「自立型人材の育成」路線を掲げ、学生会館の解体、学生自治会の破壊に乗り出した。これは、労働者の9割を非正規職にするという95年『日経連プロジェクト報告』に応える路線だ。資本と権力に従順に従い、企業の奴隷になる学生をつくるための攻撃だ。
 「われわれCSK(サークル支援機構)は究極的には、主体性を持てない組織であるのだ」(今年2月のCSK総会レジュメ)。「自主文化創造」を掲げた文化連盟を非公認化し、法政大学当局が上からつくったサークル御用団体であるCSK。逮捕も処分も「営業権」も「施設管理権」も大学祭・新歓破壊もすべて黙認・容認し、それどころかその先兵をかって出ようとしているCSK。これが、「自立型人材」を掲げた法大当局の行き着いたみじめな姿だ。 この「自立型人材」路線と対決し、学生自治を売り渡さず、「学生は商品ではない!」と不屈にキャンパスで闘ってきたのが法大闘争だ。

 「営業権」の暴論

 法大当局は09年、ついに大学の「営業権」を公然と叫び始めた。オープンキャンパス、入試、授業、サークル、大学祭、就職活動の斡旋などもすべて、大学資本の延命のための金もうけの手段であることを告白した。そして「教育」という建て前を掲げながら、それとは逆の「賃労働と資本」の関係に学生を貶(おとし)めていくことによって、学生もまた労働者階級とともに社会変革と帝国主義打倒の主体として押し上げられた。新自由主義の破産しきった姿がここにある。
 法大闘争を、最も激しい階級的激突点である国鉄(JR)・沖縄・三里塚と並ぶ決戦場として押し上げていこう。4・23法大闘争を、1047名解雇撤回闘争の大発展と動労千葉労働運動の本格的・全国的飛躍をかけた4〜6月国鉄決戦と一体でかちとろう。「改憲・戦争、民営化・労組破壊」への怒りとつながり、米軍新基地建設阻止・日米安保体制粉砕・鳩山政権打倒の5月沖縄決戦の決定的突破口としてかちとろう。大恐慌と帝国主義間争闘戦に追い詰められる日本帝国主義との全面対決として法大闘争を爆発させたとき、日本学生運動は階級闘争そのものとして本格的な発展を開始する。その核心にあるのは、資本への激しい怒りだ。
 09年暴処法(暴力行為等処罰法)弾圧をぶち破った闘いにおいて、われわれはそれを新たな労学共闘−労働者階級の決起をつくり出す学生運動として実現してきた。

 吹き飛んだ幻想

 「教育の民営化阻止」の闘いは、階級的団結をつくり出す闘いだ。資本主義社会では、教育・学生はトコトン「商品」に貶められている。資本主義社会では、学生は自己を「労働力商品」として労働市場において売り込み、競争原理にたたき込まれ、団結を破壊される。資本の支配のもとでも「自由な学問」が実現可能であるかのような戦後体制的幻想、体制内勢力がすがりつく幻想は、大恐慌の直撃ですべて吹き飛んだ。国鉄においても沖縄、三里塚においても、そして法大においても不可避に激突は非和解的となり、絶対反対で団結を固めて闘い、資本による支配を転覆する中にのみ展望が見えようとしている。
 「賃労働はもっぱら労働者間の競争に基づく」「社会はブルジョアジーのもとでは、これ以上生きていくことはできない。ブルジョアジーの存在は、もはや社会とあいいれない」(『共産党宣言』)。学生も資本主義を打倒し、教育と団結と誇りを取り戻そう!
 最後に、「処分撤回」というスローガンの中に大学・教育を取り戻していく路線がある。法大闘争を爆発させる核心的内容は、処分撤回闘争だ。
 「教育の民営化阻止!」とは、賃労働と資本の関係をぶち破り、競争ではなく団結することによって学生の怒りをすべて解き放っていく路線だ。「処分撤回!」にこそ、300万学生の団結を復権させていくカギがある。処分の中に、現代の学生の置かれた現実が普遍的に表現されているのであり、処分こそ学生の新自由主義大学に対する決起を押しとどめようとする権力・資本によるくびきであり、処分を粉砕することは、300万学生の根底的怒りに基づく決起だ。
 「学生が隣の仲間のために声を上げる」という団結を復権した時、すべてを取り戻す闘いが始まる。文化連盟・斎藤君への「退学処分」、倉岡さんへの「停学1年処分」の撤回をかちとろう!
 全国学生は自らの未来をかけて、4・23法大解放総決起集会に結集しよう。そして全国学生運動の爆発と、5〜6月国鉄・沖縄・三里塚決戦に攻め上ろう!