2010年4月19日

中野洋前委員長を偲ぶ会 盛大に

週刊『前進』06頁(2436号2面1)(2010/04/19)

中野洋動労千葉前委員長を偲ぶ会 盛大に
 “遺志引き継ぎ労働運動復権する”

 動労千葉の中野洋前委員長・常任顧問の追悼集会及び偲(しの)ぶ会が4月10日、千葉県労働者福祉センターで盛大に開催された。遺族、動労千葉組合員、OB、家族会、共闘団体など大ホールからあふれかえる800人が参列した。多彩な列席者の発言をとおして、日本労働運動の類いまれな指導者であった中野顧問の偉大な足跡とともに、組合員から「親父(おやじ)」と慕われ続けてきたその人間味あふれる人柄が生き生きと浮かび上がった。

 忘れられぬ一言「負けるな!」

 冒頭、在りし日の中野顧問の闘いを収めたビデオが上映された。国鉄分割・民営化反対の1985年第1波スト突入を宣言した力強い姿、家族会とひざづめで語り合う人間臭い姿。参加者の胸中に生前の中野顧問の肉声がよみがえった。
 第1部・追悼集会の初めに司会の長田敏之書記長が「中野顧問はミスター動労千葉、動労千葉の歴史そのものです。その功績は一言では言いあらわせない。3・1〜2ストを前にした最後の言葉、『負けるな!』という声を振り絞るような一言が忘れられない。今日は中野顧問の遺志を引き継ぎ、日本労働運動復権を誓い合う場にしたい」と決意あふれる面もちで開会あいさつを行った。
 主催者あいさつを行った田中康宏委員長は「中野顧問は数千人の前でも職場で一組合員と話す時も同じスタンス、目線で話す人でした。『職場の仲間に通じることはどこでも通用するんだ』といつも言っていました。労働組合は本当にすばらしいものなんだ、団結した労働者の力をおとしめなければ必ず勝利できるんだと言い続けた人でした」と労働者を心から愛し、労働者から愛されてきた故人の核心的思想に言及した。そして、国家総ぐるみの1047名闘争解体攻撃の現局面に触れ「昨日9日の政府と4者4団体の和解は間違いなく1047名の思いを踏みにじるものだ。分割・民営化の中で何が起こったのか。いくらかの金で不問にすることなど許されるわけがない。国鉄分割・民営化反対闘争の火を絶対に消してはいけない。国鉄分割・民営化の問題は何も終わっていない。中野顧問が築き上げてきた闘いを引き継いでいきたい」と固い決意を明らかにした。

 ソウル本部の新本部長が来日

 故人への追悼の言葉が続いた。動労千葉顧問弁護団の鈴木達夫弁護士は「中野さんは『革命とは労働者階級自身の事業だ』という視点からマルクス主義を復権した」と語り、三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原進事務局次長は「彼は兄貴のような存在。今日のような三里塚闘争の形をともにつくったのが中野さん」と述べた。
 さらに元千葉県交運議長の遠山平治さん、民主労総ソウル地域本部のイジェウン新本部長、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長、全国金属機械労組港合同の中村吉政副委員長が次々と追悼の言葉を贈った。はるばる韓国から駆けつけたイジェウン本部長は「2008年に動労千葉を訪問し中野同志にお会いした時のことを思い出す。動労千葉組合員は新自由主義との闘いの中で信頼できる指導者を持てて幸せ。ソウル本部も故人の精神を引き継いで資本への大反撃を準備していきたい」と表明。関生支部の高副委員長は「動労千葉はわれわれと同じにおいのする組合。国鉄分割・民営化の時や80年代の関生支部への大弾圧の時、一歩も引かずに闘い抜いたから今日の動労千葉や関生支部がある。動労千葉・関生・港合同がある限り日本の労働運動の未来は明るい」と述べ、港合同の中村副委員長は大和田幸司事務局長のメッセージを伝えながら「3労組の共闘は中野顧問の先を読み、人を組織する力のたまもの。この間の1047名の問題には大和田事務局長もカンカンに怒っています。私たち労働者が社会の主人公になるという気概で港合同も闘っていく」と発言した。
 動労千葉労働学校の講師である千葉工業大学の伊藤晃元教授、千葉商科大学の金元重教授が中野顧問との思い出を語り、主治医の松江寛人医師は足かけ5年にわたり生きかつ闘い続けた故人の闘病生活のあり様を伝えた。友人代表として幼少の頃からともに歩んできた勝浦市議の水野正美元副委員長が万感の思いを込めてあいさつした。

 4〜6月決戦への総決起を誓う

 中野顧問の遺志を受け継いで闘う決意が、OB会事務長の布施宇一元副委員長、家族会の佐藤正子会長、いすみ支部の照岡清一支部長、幕張支部の山田護支部長、動労千葉争議団の高石正博団長から次々と語られた。
 高石さんはあふれる涙をこらえながら1972年船橋事故闘争以来の中野顧問との思い出を語り「顧問から“高石よくやったな!”と言ってもらえるような1047名闘争の解決をかちとりたい」と述べた。参加者の誰もが目頭を熱くし、故人の遺志を継いで闘う決意を固めた。遺族を代表して中野直子夫人がお礼の言葉を述べ第1部の追悼集会を終えた。
 第2部・偲ぶ会では、中江昌夫動労千葉顧問の音頭で献杯。参加者は杯を重ねながら中野顧問とのくめども尽きぬ思い出を語り合った。その間にも、憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士、全学連の織田陽介委員長、革共同の天田三紀夫書記長を始め多くの人々が演壇に立って中野顧問への追悼の言葉を述べた。天田書記長は「日本における階級的労働運動の前進のために全力で闘う」と述べ重大な決戦の時を迎えた4〜6月の闘いに打って出る決意を明らかにした。
 最後に全員で組合歌を斉唱、団結ガンバローで会を締めくくった。