〈焦点〉 派遣法 非正規拡大する「改正案」
〈焦点〉 派遣法は撤廃しかない!
非正規拡大する「改正案」
3月19日、政府は労働者派遣法の「改正案」を閣議決定し、国会に提出した。民主党・連合政権は、「派遣切り」や偽装請負に対する労働者の怒りにあたかもこたえるかのようなポーズを取っているが、その実、この法案の核心的な狙いは、労働者派遣制度をあくまで維持することにある。
法案はまず、仕事がある時だけ派遣元と雇用契約を結ぶ「登録型派遣」を原則禁止するという。しかし、「専門性が高い」とされる26業種については、その例外とされている。だが、26業種には「事務用機器操作」なども含まれ、現実にはあらゆる事務作業が「原則禁止」の対象外となる。「専門性の高い26業種に限定」などというのはなんの規制にもならない。
また、法案は「製造業派遣は常用型に限定する」というが、「常用型」とは「1年以上の雇用の見込みがあるもの」のことだ。1年単位の短期雇用は容認される。それどころか、「見込みが外れた」と言えば、資本はいつでも派遣労働者を雇い止めにできるのだ。
さらに法案は、「日雇い派遣や2カ月以下の派遣を原則禁止する」という。だが、これ自体、雇用期間が2カ月をわずか1日でも超えれば合法だということだ。これは、短期・不安定雇用化をさらに促進するものでしかない。
労働者にとって、こんな法案は怒りと粉砕の対象だ。労働者派遣法自体を撤廃させる以外にない。
ところが、日本経団連など資本はこの「改正案」にさえ異を唱え「規制を強化すれば雇用不安が広がる」などと叫び、さらなる首切り攻撃に乗り出そうとしている。
こうした資本の意を受けて、民主党・連合政権は、「登録型派遣の原則禁止」と「製造業務派遣の原則禁止」は法の施行を3年先に延ばし、さらに「政令で定める業務」に関しては施行を5年先に延ばすとする付則を法案に盛り込んだ。ここにも、大恐慌下で新自由主義の攻撃にのめり込む以外に選択の余地がない民主党・連合政権の本質が現れている。
また連合は、「労働者派遣法案の成立は急がなければならない」「法案の早期成立に向けた働き掛けを行っていく」とする事務局長談話を出した。非正規職化の攻撃を資本の先兵として推進してきた連合は、大恐慌下で、さらにその裏切りを深めたのだ。
労働者を非正規職にたたき込む攻撃は、民営化攻撃の推進や業務の外注化と一体となって強行されてきた。連合や全労連など既成の労働運動は、この攻撃とまったく対決せず、そのことごとくを容認してきた。それが、労働者の3割以上が非正規職にされる今日の現実を生んだのだ。
他方、動労千葉を先頭とする国鉄闘争と階級的労働運動は、JR東日本がたくらむ検修業務の外注化と対決し、その4月1日実施を破産に追い込んだ。この闘いの意義は限りなく大きい。
今、青年労働者を先頭に、雇い止め解雇と真正面から対決する闘いが巻き起こっている。資本ととことん対決してこそ、労働者派遣法−派遣制度そのものを撤廃させることができる。民主党・連合政権による派遣法改定案への怒りを燃え立たせ、国鉄決戦を基軸に春闘後半戦を闘おう。