●特集 新入生諸君!ともに学生運動やろう 法大文連・全学連大いに語り合う
●特集 新入生諸君! ともに学生運動やろう
法大闘争は全世界を獲得する 法大文連・全学連大いに語り合う
大学を学生の手に取り戻せ
法大文化連盟と全学連の学生が、新学期を前に大いに語り合った。「監獄大学」の現実に立ち向かい処分・弾圧の試練に打ち勝った自負と確信、新自由主義=教育の民営化攻撃への怒り、キャンパス解放への決意と展望が時間を忘れてそれぞれから述べられた。新入生、法大生、全国の労学人民へ発せられたこの熱いメッセージにこたえ、4・23闘争の大爆発へ!(編集局)
出席者(敬称略)
斎藤郁真 法政大学文化連盟委員長
恩田 亮 法政大学文化連盟副委員長
増井真琴 法政大学文化連盟企画局長
倉岡雅美 全学連副委員長 法政大学人間環境学部
洞口朋子 法政大学経済学部
坂野陽平 上智大学 全学連委員長代行
佐々木舜 都内A大学
村田弘行 京都大学
吉野一則 富山大学
井野川浩介 東北大学
篠崎雅久 広島大学
冨山小太郎 京都大学
全学連書記長(司会)
「教育の民営化」絶対粉砕を
冨山 法大闘争は06年3月14日、立て看板の一方的な撤去に抗議した学生29人が逮捕された「3・14弾圧」以来、逮捕や処分をはねのけながら闘い抜かれてきた。法大闘争とは?
恩田 高校時代に、ビラとか立て看板が散乱している法政のキャンパスを見て、活気を感じました。3・14弾圧の時は2年生の直前で、正直ビックリしました。歴史の教科書とかに出てくる「弾圧」ですよね。それからしばらく学生運動の光景を眺めていて、ちょっとあまりにもひどいし、一応自分は法政の学生でもあるから、これに対して一言言うのは当然の権利だろうということで、批判文を書いた。それに対して、大学の教授会が処分するぞと弾圧してきた。一連のやりとりをとおして、露骨な暴力で行為や発言を封じていくのをひしひしと感じた。俺(おれ)は暴力に屈するのが一番嫌いなんで、そこで怒った。気づけば今では学生運動でキャリアアップをしています(笑)。
増井 僕は07年法政大学文学部哲学科に入って、文化連盟というサークル団体連合に所属している哲学研究会に入りました。当時の文化連盟は、予算権も公認権もあって、自由に空間を配分したり公認をしたりする学生の自治組織でした。しかし、07年度いっぱいで大学当局によって予算権・公認権を奪われて、非公認化される事態に。当時、哲学研究会に露骨な弾圧がありました。学習会しているところを職員が双眼鏡で監視したり、学習会したいから教室借りたいと言っても、貸してくれなかったり。あげくの果てに、文化連盟を解散しろと。僕は、34サークルあった時の文化連盟でかわいがってもらっていました。だから大学当局の手で一方的に解体されるのは許しがたいことでした。解散の過程で、34サークルが10サークル、6サークルになり、4サークルしかいなくなった。自分の好きな組織なり人を守りたいって思って行動したら、こうなった。
金もうけに走る法大資本の現実
斎藤 立て看板とビラまきを、自由にできるか否かを争っているわけですが、でかい話をすれば資本主義と争っているわけです。
井野川 僕らは「教育の民営化」って表現してるけど、それは教育の私物化であり教育の破壊だと言い換えることもできる。新自由主義攻撃の中で、大学が金銭勘定っていう価値尺度で画一化されていった。「金もうけになるか否かが一切だ」と。これの反対物として僕らの運動がある。大学当局や資本家や政府とは前提が相入れないんだから、必然的に「大学とは何か」「教育とは何か」「この社会はどうあるべきか」っていう根本的な問いに行き着く。
冨山 法政大学は「営業権」まで主張し始めたけど?
斎藤 大学ですからね。教育をする場で「これは営業だ」と言いだして、もうけにならないと学問じゃないと言ったらどうなるか。当たり前の話だけど、文学はもうけにならないでしょう。
冨山 「学生の未来を返せ」というのはどういうことなの?
斎藤 学生が自主的にサークル活動なりをやって、自分の思想を形成したりなんなりというのは、金銭的な価値でいったらゼロ。だからと言ってそれを排斥するのか。そういうのが一番社会を動かす原動力だし、大事なことなんじゃないのか。それを否定して、学生に対するビラなど全部許可制にしちゃう。本来であれば大学で自由にビラまいたりなんなりして、見つけることができたかもしれない学生の可能性や未来を奪っているわけだよ。だから未来を返せってことです。
倉岡 法政大学で言えば清掃員の方は全部、孫請け・ひ孫請けだし、図書館はほとんど紀伊国屋書店の人が出向してきているし、そこでは就業規則も一切関係ない。教科書を売るにも、サークル活動をするにも、学校の清掃をするにもすべてが金もうけの手段とされる。金もうけというレベルを超えて、大学キャンパスに資本というハイエナが群がってる状態。私たちは今ここで声をあげないと、キャンパスの主人公どころか本当に搾り取られるだけの存在となって、奨学金という借金漬けにされて、キャンパスからたたき出されてしまう。だから今こそ教育の民営化に対し声を上げなければならない。
洞口 「教育の民営化粉砕」のスローガンによって、民営化や首切り、賃下げ、それと一体で学生も労働者と同じように攻撃にさらされていると気づかされた。
井野川 弾圧や処分が「教育的措置」としてやられているのが、法大闘争の本質を表してるよね。「資本に抵抗しない従順な労働力商品になれ」ってことなんだよね、結局。僕らはそんなものを教育だとは認めない。
倉岡 大学の主人公が誰なのかをめぐって闘われている。法政大学は私立の大学ですけれども、大学は理事会のものなのか。学生は単なるサービス受給者なのか。違う、主人公だと。
井野川 最近、自分としては学生自治破壊こそ最大の教育破壊じゃないかって考えるようになった。学生の主体性や共同性を破壊して、物事を批判的に見る力や問題を解決する力を奪っていく。寮に入って来た1年生が「大学の講義に出て学ぶことはひとつもなかったけど、寮自治で学ぶことはたくさんあった」って言ってたんだよね。学生自治には人間を成長させる力があって、大学当局が用意した「教育」にはそんな力はない。そんなんじゃあ支配者たりうる人格が生まれないんだから、資本主義は崩壊する以外にない。次の社会に責任を取るのは僕ら以外にいない。敵は完全に追い詰められてるってこと。
学生の未来奪う新自由主義
増井 いろんな人がいろんなことを言っている。それが素晴らしいわけで、それが大学だと思う。その主張自体が稚拙かもしれないけど、それを最大限表現する。そういう空間があることで、新しい文化は生まれるし、社会は前進する。それを奪っているのが新自由主義だっていうことですよ。日本の学費にしてもべらぼうに高い。これは世界がグローバル化していく中での一部の権益を持っている奴らの政策なわけで、それにあらがわなければならない。もちろん法大の問題は法大だけの問題じゃない。ビラをまいていただけで、23日間獄につながれる時代なわけですよ。そんな状態で5年後、10年後に京大熊野寮があるかって言われたら、ねえよって。
村田 断固死守しますが。
増井 法大闘争がなくなったら、公安警察の予算などが他のところにドンドン流れていくということは必然。だからこそ法大で阻止しなければならないし、法大闘争を貫徹することが、他大学の学生自治を守ることになる。
村田 法大闘争で、自治を守るというのはこういうことだとわかった。ぜひ京大生、熊野寮生を全員連れてきたい。そういう場所として法大っていうのはすごい。ここで、どかっと勝ってしまえば、全国的に奪われてきた学生自治を逆に奪い返してやれるかなと、夢はふくらむわけです。
冨山 法大闘争が最大の攻防点であることは、みんな認識しているよね。「市ケ谷を解放しよう」っていうのが、寮生の言葉になるくらい。
吉野 富山大学って法大をマネしているところがありまして。
恩田 法大を超えてるよ。
吉野 ビラをまくのも禁止だし。学生自治会も非公認化して、その年から「危険な団体ですから入らないで下さい」って言ってまわり、実質的に壊滅しようとしている。最近、実際「営業権」って言ってきた。ビラまいていたら「営業権の侵害だ、お前ら」って。
全員 おー! 来たぁ!!
増井 国立大学でも「営業権」ってすごいな。
恩田 どっかが言い出したら、はやるよ。あいつらの中で。「営業権」「営業権」って感じで。
吉野 教育の民営化をわかりやすく表しているのが法大。これでいいのかって。だから実際法大で闘おうって気持ちになります。富大の管理寮化の攻撃は進んでいて、改修後の棟は大学側が一方的に決めた新しい寮規則に従わせるんですよ。一部屋一部屋に、トイレも風呂もキッチンもあって、寮費の徴収も大学が口座から自動的に引き落とし。全部大学経営のアパート。
恩田 でも高いんでしょ?
吉野 すごく高いです。寄宿料は、1万3000円で。もともと700円だった。
恩田 700円だろ。そっちの方がいいよな、絶対。
吉野 寮生は、金がないから寮に来ているわけだから。金が高くなって自治もなくなったら、反対もできなくなるじゃないかって。仲間を見捨てていいのかって。そういうのを問う闘いになるんじゃないか。「退寮までいくのはおかしいんじゃないか。入退寮権や寮委員会選挙が踏みにじられているのはおかしい」っていう寮生もいる。そういう寮生を信じてやろうじゃないかって。
斎藤 信じるしかない。
冨山 今回、倉岡さんに「停学1年」という不当処分が下されました。
斎藤 人間環境学部の長嶺教授は、倉岡さんを呼び出して、「俺は上に言われて仕方なくやっているんだ」と言った。でも結局停学1年を出すじゃないですか。そんな情けない大人は初めて見た。
倉岡 労働組合の委員長だったくせしてね。
洞口 全世界では教職員と学生が一緒にストライキやっている。なにやってんだ、法政大学は。自分の名誉だか権威だかを守るために学生を売り渡している。学生に処分を出して出世する。そういう構造自体に学生は怒りをもって立ち上がらなければいけない。
倉岡 今の監獄化された法政大学も、労働組合が一言「学生弾圧の動員拒否しよう」とか「ジャージ部隊おかしい」と言えば、絶対変わっていたはず。労働組合の責任でもあるし、長嶺のような組合執行部の責任でもある。
不当処分撤回へ社会的大反撃を
洞口 教授会だって自分たちが正しいと思っている人は誰もいない。けれども弾圧に加担する。今のこの社会の構造と同じように、資本主義だし、支配のあり方そのものが問題となっている。だから変革は根底的にならざるをえない。それに向こうが恐怖している。学生が迷えば迷うほど、悩めば悩むほど、法大当局には危機だってこと。学生が自分の生き方どうしよう、この大学はどうなのと真剣に考えることに法大がビビッている。この大学としての転倒。未来を奪ってるじゃないか、学生を何だと思っているんだ。それが法大生には伝わっているし、必ず立ち上がると思う。
冨山 処分をむしろ学生が団結を取り戻して立ち上がる契機にできる。
洞口 また処分されて、大学の外に叩き出されて、怒りや悲しみもあるけれども、お願いするんじゃなくて、法大生の怒りを集めて、法大生の決起によって倉岡さんの処分を撤回させる、そう思えることが法大闘争の強さ、正義性だと思います。
倉岡 本当に撤回させたい。ちょっとでも言ったら処分というのを止めないと。全学的うねりをつくる方針を出していきたい。不当処分に社会的に反撃していきたい。法大当局に目にモノを見せてやろう。
弾圧・逮捕には完全黙秘を貫く
冨山 弾圧に屈しないで闘えるっていう勝利感はどうですか?
恩田 生まれて初めて逮捕されたわけですよ。非行もしてないのに(笑)。すごい新鮮でした。取り調べ室は、ライトスタンドないんだよね。黙秘は自分でやってて興奮してきた。映画「ランボー3」だと、ソ連軍にランボーの上官が捕まっちゃって、拷問されて、それで黙秘している。まさにそれを今、自分がやっている。公安が「しゃべれ」って言ってきても、俺はしゃべらない。あれはちょっと興奮しましたね。「やべー、俺映画のヒーローだよ」って。
冨山 仲間を売らないってことでは?
恩田 逮捕を想定していたから動揺はなかったですね。「口を割ってしまって生きる方が厳しいだろうな」ってことが頭をよぎった。オススメは、映画のヒーロー気取るのが一番いい。
冨山 弾圧されてこそ展望が見えるっていうのはあるよね。
恩田 法大弁護団とか、仲間がいるとか、すごい支援があったわけですよ。だから闘える。東京拘置所でも団結があると闘えますよね。ぶっちゃけ闘えちゃうんだよ。東拘にいながらも有意義な時間が過ごせる。闘う仲間には、安心してくれと言いたい。
坂野 敵がやってきている攻撃が、徹頭徹尾、団結破壊だっていう視点が決定的で、団結を固めることが核心だと明確にできた。
恩田 獄中に入って、まわりの人間の本性が見えたんですよ。中核派は本物だっていうことははっきりしたんだけど。ノンセクトは正体が見えたよ。
冨山 本物の団結ができる。
恩田 全学連や文連は信頼できる団体ですからね。
倉岡 本物だなって。118人逮捕者が全員完全黙秘っていうこと。60年、70年のころは全員完黙っていうのはなかったんだよ。歴史上初めての快挙。うちらの本物さは、ここに表れている。
坂野 時代をつかんで、闘いに入って、弾圧があって、また時代をつかんで法大闘争は4年間で進んでいる。暴力行為等処罰法なんて、まさにそう。戦前からの法律が今出てきている。
増井 いま社会がヤバイから、社会変革の意志を持たざるをえない。そういう意志がないとやっていけない。自分のやっていることで社会を変えられるかもしれないって思わないと、こんなひどいところでは運動はやれない。
冨山 確信はどこから来るの?
恩田 俺が批判文書いて、運動に入る前から思ってたことなんだけど、敵の側は説明できないんだよ、何で闘ってはいけないのかということが。教授ともあろう人が。せいぜい「ルール違反」とかそんなことしか言えない。それなんだよ、俺の確信は。さらに敵が、自ら弾圧であると自供しちゃうじゃん。「これは戦争だ」って。「これは不当逮捕であるが取り調べやるぞ」って。
冨山 パクられてない人はどう?
吉野 正直、パクられたらどうなるのかと思う。でも、それで終わりじゃないんだなとは思う。今まではパクられたら人生終わりだ、みたいなこと思ってたけど。
恩田 普通に卒業しても就職できないんだから。何も終わりじゃない。みんな輝いてるんだよね。
吉野 どうせ就職できない時代だから、パクられるくらいの活動をする覚悟がないと情けない。
全員 強者だなー(笑)。
斎藤 歴史的に見れば、パクられて終わりだなんて言うのは、結局日和ってるやつなんだよ。歴史を見れば、パクられながら権利を獲得しているんだから。
増井 完黙するのって結構簡単で、友達を裏切れない。そういう気持ちさえあればいける。
倉岡 完黙とか聞くと、むずかしいってイメージあると思う。でも私も簡単だっていうことをあえて言いたい。
恩田 まあ楽ですよね。
訪米でつかんだ勝利の核心
冨山 3月4日のカリフォルニア教育ゼネストに合流した報告を。
洞口 カリフォルニアの学生の中心的活動家は本当に数十人くらいの規模なんだけど、そこに数千人の学生が集まってくるエネルギーがものすごくて。同じことを法大で絶対できると思った。自分としては、法大闘争に勝利するために、訪米を闘ってきた。「教育の民営化粉砕」のスローガンで、幼稚園から大学、労働者まで集まってくる。うちらのスローガンが、闘いが、正しかったってこと。世界の学生の怒りの根元はここだなって確信できた。
佐々木 「教育の民営化粉砕」というまったく同じテーマで、幼稚園から教授を含めた人たちまで町中、全州、全社会を揺さぶる闘いがやれる。アメリカ帝国主義そのものをグラグラにできる。訪米した全員が、われわれもこの法大闘争の内容で連帯できるんだっていうことをつかんで帰ってきた。この時代をどう見るかっていうことと完全に一つだ。彼らだって、「Student Worker Action Team(SWAT)」をつくって1年も経ってない。でも半年で5000人の大集会をやっちゃう。膨大な学生や労働者が一つのスローガンで立ち上がる。向こうの学生とも闘いの中で団結した。同じピケットラインに並んで、スクラム組んで、同じスローガンを叫んでっていう中で団結した。
洞口 私がつかんだことは、全学連すごい、文連すごいってこと。
篠崎 向こうの指導部に全学連、文連、法大闘争が認められた。闘ってめちゃくちゃ弾圧されてるけど、その中で組織をつくっている。アメリカもすごいけど、日本も全然すごい。
佐々木 ぶれない指導部が存在し続けて、闘いの中心に存在し続けているっていうことですね。
倉岡 3・4に連帯デモをやりました。英語のプラカードをつくったんですが、日本ここにありっていうのができた。法大闘争のスケールのでかさだと思います。
篠崎 アメリカの学生が喜んでましたよ。「次に何か法大でやるときはこっちはストライキやりますよ」って。
冨山 すげーな。レベル高いな。「教育の民営化粉砕」の路線があるからつながるんだよね。
戦争・改憲許さず沖縄基地撤去へ
冨山 2010年はそういうスケールの大きな年。2010年をどう見るか。
坂野 〈戦争と改憲、民営化と労働組合・学生自治破壊〉、これに労働者・学生がどう立ち向かうのかが2010年のキーワードになっている。いま政権についている民主党が言っているのは、「東アジア共同体」「道州制」。今年の5月は、2010年を左右する。国民投票法が施行されようとしている。本当に改憲ができるようになる。そして沖縄の基地問題をめぐり激しい5月になる。そこでわれわれが沖縄現地闘争をやる。アメリカの労働者・学生との団結が問われる。戦争だって止められるし、米軍基地も撤去できる。あの人たちと団結すれば、沖縄の基地も撤去できるって。
井野川 トヨタは米市場も含め全世界の市場を食い荒らしてきたわけだけど、それが何によって成り立っていたかというと、徹底的な雇用破壊と安全切り捨てによる低コスト化。その矛盾が噴出している。一方で米オバマ大統領が一般教書演説で5年間で輸出を2倍化させると宣言した。それでやってることがトヨタたたきでしょ。世界は生産物が余って恐慌状態なんだから、実質的に他の国の市場をぶんどるしかない。こんなことを日本政府が黙認したままでいられるわけがない。こういう経済的な問題が、政治的、軍事的な問題をはらみながら進んでいる。政府が保護主義と排外主義をあおっている。危機に陥っている資本は、こうやって自らの社会を崩壊させながら、戦争まで始めようとしている。沖縄の米軍基地問題もこういう情勢の中で闘われていることをハッキリさせた時に、その重大性がますます鮮明になってくる。沖縄の人たちだけの問題じゃないんだよね。「米軍基地撤去!」「日米安保粉砕!」が世界戦争を止める闘いのスローガンになっている。
坂野 沖縄と一体で成田軍事空港をめぐって三里塚闘争が火を噴く。
村田 自分は三里塚のことを知って、「金で畑を売らないというのは熱い!」と思って運動とかかわるようになった。
井野川 三里塚農民の誇り高い闘いは、必ず膨大な労働者・学生を獲得するよね。
斎藤 ギリシャとかの国家財政も国家レベルで破綻する。スペインとかEU系の国まで失業率20%。激烈に対立軸が鮮明化する状況になってきている。対立軸が鮮明になってくると、今の法政なんかそうですが、ほとんど戦争状態になるわけで、中間がない。
坂野 大衆的な運動の爆発は全世界的にある。そこから政治的な指導部をつくり組織をつくっていくことが問題になっている。2010年の闘いは、われわれがつくってきた団結あるいは大衆運動的高揚から組織をつくり、党をつくっていく。買収されるようなやつじゃなくて、全学連や文連のような。
井野川 新自由主義によってつくられた、青年・学生が生きていけない現実に、怒りが爆発する寸前だ。こうなったのも始まりはすべて国鉄分割・民営化攻撃だけど、その時に動労千葉以外のあらゆる勢力が屈服した。これをもみ消すためにあらゆる勢力が1047名解雇撤回闘争を終結させようとしている。これは日本の労働運動が、闘わない指導部をぶっ飛ばすチャンス。連合に支えられた民主党政権もグラグラだ。
坂野 ここでわれわれが踏ん張って「国鉄1047名解雇撤回」の旗を掲げ続けたらすべての労働者の怒りが結集する。時代にかみ合う。われわれは国鉄闘争で歴史を動かせる地平に立っている。
井野川 核心はマルクス主義の思想で武装して、時代認識と路線で一致していくということ。資本家階級と労働者階級は非和解的な存在だということ、そして労働者階級には資本家階級を打倒して社会を運営する力があるし、今が打倒する時なんだということを、理論的にも実践的にもつかむことで必ず団結が生まれる。ここで一致していれば、どんなに攻撃されても絶対に崩されない。
文連・全学連のもとに団結を
冨山 今年の最大の課題は組織拡大ですね。つまり、闘う文連の旗のもとに全サークル員の団結をつくる闘い。
斎藤 CSKっていうのは、大学側が用意した第二組合。会社でいったら、人事部の補完物でしかない。学生との会議が月1回なのに、CSKと学生センターとの会議は週1回。当局が要求したものをまるで学生が決めたかのように通し、当局のやっていることが学生の支持を取り付けたかのような装いをとるためだけの機関だ。
倉岡 CSKと文化連盟との決定的違いは、発生の過程にある。文化連盟は学生の側がつくった組織で、CSKは大学当局側がつくった組織だ。その違いがあるからこそ、主体性が持てるか持てないかの決定的な違いがあると思う。文化連盟はつねに学生の側にある。
洞口 闘っているか闘っていないかの違いがある。闘って仲間が弾圧されていることに対して、自分も処分されるかもしれない、逮捕されるかもしれないけど、でもやっぱり仲間を裏切らない。そういうことだと思うんですよね。CSKは団結とかはどうでもいいと思っているんですよ。
冨山 サークル員と新入生に「文連に来いよ」というアピールを。
斎藤 文連がいまのCSKの位置にいて140サークルとか統合していたら、学校破壊していますね。
冨山 夢広がりますね。
倉岡 「サークル活動で自己表現しよう」「自主・文化創造を取り戻そう」と。そのために、サークル活動を学生が行うために、文化連盟はその立場につねに立つし、絶対に一人の仲間も見捨てないから、サークル員のために闘う組織に来てほしい。サークル員は大学当局に従う存在ではないし、そのことを文化連盟とともに自己実現させようと訴えたいです。
恩田 反乱っていうのを提示したいですね。俺らが突破口になって、学生に火をつけたいよね。サークルに関しても現状破壊的な表現は俺らしか生み出せない。CSKにはパワーがないからな。そういうのは魅力はないからね、官製サークルは。
仲間を見捨てず生き方をかけて
冨山 法大闘争というのは一言で言えば、何なの?
斎藤 やっぱり生き方の問題でしょうね。
恩田 授業やっている一方で、俺らが職員に尾行されて、殴られているわけですよ。同じ法大生だし、同じ年代の学生だし、いくら「あいつら左翼だ」とか、「ルール違反している」と自己納得しようともがいたところで、やっぱぶつかると思うんですよ。闘うか、闘わないかの二者択一。人間としてどう生きるか。当然俺らとしては闘わないといけないと訴えていくが、本当に、これほどの教育はないと思いますよ。生き様っていう見方からとらえると。「仲間を守る」っていう言葉一つだって深いわけですよ。映画観たり本読んでも、頭でしか理解できないわけだよ。勉強になるなーっていうのはよく感じる。
佐々木 仲間に対して、また自らに対してもウソをついちゃいけないっていう点で、一番人間的な生き方だと思います。仲間への不当処分、ビラをまいただけで逮捕されるというこのメチャクチャな現実に対して、私たち学生は怒っていいんだ、そして怒りを一つにすることで大学から社会をひっくり返せるんだ、っていうことを毎日つかんで闘っています。
倉岡 今の法大の現状に対してはみんながおかしいと思っているんですよ。なんで声をあげないのかっていうと「しょうがない」って思っている。法大に限らず、今「しょうがない」に支配されている。戦争起きるのもしょうがない、賃金下がるのもしょうがない……。でも、法大闘争はその「しょうがない」と対決している。展望も切り開いている。「しょうがない」をぶち破りたい。
恩田 もうぶち破っているよ。
斎藤 存在としてはぶち破っている。社会としてはまだぶち破っていない。
篠崎 法大が「しょうがない」っていうことと対決できる場所だというのは、まさにそのとおり。自分が「いいや」って妥協していたことを、やはりよくないと思い直し、怒っていいんだっていうことを取り戻せると同時に、自分が問われる。それにまた自分が興奮する。
恩田 それは強いね。
篠崎 自分を取り戻したことで、生きているということに興奮する。これって大衆的な感覚だと思う。
洞口 今のままじゃない社会がある、自分が変えられるって思った。
佐々木 実際に、自分が生き方をかけて、法大闘争の中で変わってきた。一人ひとりが生き方を転換させてきたところに、この社会を変えていける根拠がある。
斎藤 増井とかも変わったもんな。
冨山 なるほど。法大闘争で変わった人は多いと。
恩田 みんな変わるよ。
村田 みんな法大に行ったら意識変わりまくる。
恩田 思うのは「なんでみんな暴れないのかな」と。若いうちに、自分のやりたいこと言いたいことを爆発させとかないと、ろくな人生歩まないと思うんですよ。大学に来ているわけだから、そういう時間と環境は与えられているわけでしょ。一緒に法大闘争をやって、みんなで新しい価値観をつくるというか、殻を破ってみようよということです。ルールなんていうのは人間がつくるもので、そんなものに縛られたってしょうがない。自分たちでぶつかって大学を変えていく、社会を変えていく。自分たちの持っているパワーを感じる意味でもぜひ運動をした方がいい。「学生運動じゃなくてもほかに何か打ち込むものがあるじゃん」って言えない時代だから。今、法政で自己の可能性に挑戦できるものは、法大闘争しかないと思います。ぜひ一緒に学生運動やろうと。
4・23法大解放闘争の爆発へ
坂野 大学から社会まるごとひっくり返していく闘いとして、僕は法大闘争をとらえている。法大を革命の砦(とりで)にしたい。『きけわだつみのこえ』という、学徒動員された学生の手紙を読んで、大学から戦争が始まっていった、絶対にくり返しちゃいけないと。大学で戦争を止めなくては。
佐々木 高校生の時にイラク戦争が始まって、大学に入ったら自分も戦争が止められるような活動ができるんじゃないかと思っていました。実際は授業に出れば出るほど、「自分には、学生には何もできないのか」と絶望しました。沖縄基地建設反対運動をやっている人と会って、そこで法大の話を聞いて、「学生の直面している課題も、戦争を止める闘いも大学を変える闘いも根っこのところは一つだ、資本主義自体をひっくり返すしかない」と思った。
篠崎 自分は大学入る前は、イラク戦争賛成だった。それで、大学の入学式で署名集めている人と討論になり、「戦争とめれるよ」って言われて、「そんなことできるんですか」って。「とめれるもんならとめたいよね」と。動労千葉労働運動の学習会をやって、そこで「確かに彼らのようにやれば、世の中変わるな」って思い、展望を見いだした。
斎藤 ああいう人たちが1000万人いたらホント終わるね。
篠崎 終わるというか、終わらせるし、実際に社会を運営できるし。それが衝撃だった。
冨山 今年の8・6ヒロシマはどういう闘い?
篠崎 まさに広島っていうのは、戦後の労働者階級がずっとつくってきた反戦の砦。広島大学は平和を売りにしているんですよ。
恩田 「お前が言うな」だな(笑)。
篠崎 広大の理事会には、三菱重工が入っている。
全員 来たあ!?
篠崎 時代としては、本当に第3次世界大戦、また核戦争やるのかっていうことがリアルになっている時に、じゃあどうするのか。オバマに対してどういう態度がとれるのかが、今年の8・6ヒロシマの焦点になる。
井野川 自分は広島出身なんだけど、去年小学生が「オバマ大統領にお願いするしか核兵器はなくならないんです」って署名やってて、怒りとか悔しさとか色んな感情が込み上げてきました。自分たちの力に確信を持てなくなった勢力が、本当にどうしようもないイデオロギーを振りまいて、子どもたちまで組織している。僕らはこんなものを全部ぶっ飛ばして展望を示さなきゃいけない。
学生運動に無限の可能性がある
洞口 法大闘争って、一緒に闘おうって言い切れる。弾圧も処分も、全部乗り越えて団結にかけきって闘ってきた。そういう中で、法大生自身が問われている。新入生も授業や就活に縛り付けられる。でも法大の現実は絶対おかしい、仲間を守りたいという思いもある。大学への怒り、生きていけない怒りが結びついて爆発したときに、カリフォルニアじゃないけど、法大が革命情勢になる。4・23闘争で学生は一つになろう、ということを一番言いたい。闘わなければ生きていけない時代。2010年は闘えば勝てる時代、一緒に闘いましょう。
斎藤 今の日本は閉塞感が蔓延(まんえん)しているが、法大闘争はそれをぶち破る可能性をはらんでいる。本気になった人間の力を4・23で見て欲しい。
増井 まじめにやるから4・23にぜひ来てくれ、と。面白いものを見せるし、あなたの何かを変えたいって思う。
倉岡 学費がマネーゲームに使われるのも、学費が高いのも、「しょうがない」ことじゃない。4月23日、「しょうがない」をともにぶち破ろう。
佐々木 新自由主義があらゆるものを破壊している現在で、未来に向かっての新しい創造を。本当に去年までの集会とは一線を画する闘いをやりたい。去年は、1500人だったけど、今年5千人、1万人になったら、どんなでかいことができるのか。そこに私たちの未来がある。一緒に歴史の主人公になる闘いをやりましょう!
恩田 小中高と学生生活を送ってたまたま法政大学に来るわけじゃないですか。法大の弾圧を直視してもらって、そこで輝いている僕らの闘いを見て欲しい。自分たちの未来をつくっていくということをその場にいて実感して欲しいな。すごいものを見せてやるっていう自信はありますよ。最大級の指揮扇動をもって(笑)。破防法、扇動罪。来るかー!?
冨山 この座談会自体が破防法の適用対象かな。
恩田 でも逮捕は阻止しようぜ。本当の意味で実力粉砕ってことを示してやろう。
冨山 僕らは「国境を越えた学生の団結で教育の民営化を阻止しよう」「全国学生は法大から沖縄へ」という内容で新歓をやります。新入生諸君へ、生き方をかけた熱い討論をとおしてともに団結して行動に立とうと訴えて、終わりたいと思います。