2010年3月22日

反対同盟が3・28大結集訴え(下)

週刊『前進』06頁(2432号4面2)(2010/03/22)

団結街道廃道化阻止!市東さんの農地守れ!
 反対同盟が3・28大結集訴え(下)

 三里塚は歴史を先取り 事務局次長 萩原進さん

 NAAの社長が「今年は用地問題を解決する」と年頭所感で述べた。社内向け発言とはいえ、われわれを相手にして「解決」できるならやってみろ、ということだ。だがそうでも言わなければもたないところに成田空港が追い込まれているということだ。
 日本国内で水増し需要予測をもとに100近い空港をつくったはいいが、採算が取れるものがほとんどない。日航の経営破綻もこれから深刻さを増すだろう。その責任を社員に押し付けるのはもってのほかだ。
 前原国交相の羽田ハブ空港発言で大騒動になったが、結局「羽田と成田一体で」などというものの、成田の凋落(ちょうらく)はもう隠しようがない。かといってこれまで国際空港の看板をかけてきた成田を放り捨てたら反対闘争に屈服したことになるから、それも絶対にできない。そして地元の自治体や利権屋がそれに危機感を燃やしている。
 連中は自分の利害だけで空港をさんざん食い物にして、そのために国民の税金を投入させて私腹を肥やしてきたんだ。動労千葉が安全・運転保安闘争の中でJRの体質を暴いたのと同じで、乗客や地元民の安全だとか、ましてや彼らの口にする地域や国の発展など彼らの念頭にない。あるのは目先の利益だけ。だから暫定滑走路1本に3本の誘導路を造ったり、できあがったとたんに2500㍍滑走路だけじゃ足りないからすぐその脇に3000㍍をつくれと突拍子もないことを言う。
 今、国鉄でも、法政でも、常識もかなぐり捨て法律もねじ曲げて攻撃がかけられている。「学生は大学に近づくな」と、しかもその理由が学校の経営が成り立たなくなるからとあけすけに言う。とんでもないことだ。
 成田でも、空港に反対する人は3㌔以内に住むなと成田治安法をもって団結小屋をつぶしたり封鎖した歴史がある。しかも今度は封鎖した現闘本部を撤去して空港用地にするというところまで踏み込んできた。そういう意味で、三里塚はいつも歴史を先取りしている。
 現闘本部裁判では、われわれの闘いによって、仮執行を付けさせなかった。事実をねじ曲げて反動判決を出したが、千葉地裁はそれを即執行する責任をかぶる覚悟ができなかった。NAAはそこまで期待していたが。
 そして今度は成田市という自治体が矢面に引きずり出され本質がむき出しになった。国民を守るといって戦争をやる国家と同じで、市が住民の営農を押しつぶそうとするとんでもない現実だ。これを全国に伝え知らせなくてはならない。
 労働者の闘いと手を結び、また沖縄の闘いとも固く連帯して闘っていくことが今死活的にわれわれに求められている。そうして前進すれば勝てる手ごたえが確かにある時代だ。3・28に全国から大結集を呼びかけます。

 大結集で市東さん守ろう 中郷 鈴木謙太郎さん

 仮執行宣言を付けさせなかったことは重要だが、あの現闘本部裁判の判決は到底納得できない内容だ。
 仲戸川裁判長は、NAAまで現場検証をやっていいと言ったのにあくまでもやらず、事実をねじまげ、NAAと権力につごうのいいことだけ見て、こちら側の出すものは肝心なところをすべて認めない態度だった。司法と行政が癒着し、最初から反動判決ありきだったと言える。
 最後の方になって「訴状の訂正」と称して便所も、水道も、蛇口もと対象を広げてきたが、あんなデタラメがあるか!
あれは仲戸川裁判長の方から「建物の外の付属物も加えておかないとまずいぞ」とNAAに入れ知恵したのではないかとさえ言われている。十分ありうる話だ。現闘本部裁判は高裁に移り、時間も限られているが、じっくり構えてやっていくしかない。
 成田市議会がとうとう団結街道の廃道化を採決した。絶対に許せないし、認めるわけにはいかない。成田市長らの言い分は「42年前に決めたことだ」というものだが、空港はとっくに事業認定が切れてしまっているのだから、そんな古い実施計画そのものが無効だ。
 道を一つつぶすかどうかという重大事は、当然地元農民の意見を聞いてやるべきことだろう。ところが市東さんが反対しているのを重々知りつつNAAの言いなりで廃道だと!
 市が示したう回ルートは、団結街道に比べたら、距離で3倍、信号もあれば道路横断もある。あのピンカーブを右折するのも厳しい。今まで5分足らずで行けたところが小1時間かかることになる。営農妨害そのものだ。
 成田市長、市議会議員らはみな空港の利権にからめ取られている。それは芝山町でも同じだ。完全に空港におんぶに抱っこの状態だ。相川町長は第3の滑走路を造れとまで言っている。この期に及んでまだハブ空港にこだわっているのか。
 日本国内で98番目の空港として茨城空港が開港したが、1日1便で成り立つはずがない。成田だって、離着陸年間30万回は絵空事、机の上の計算だ。
 百姓は自分の農地がなかったら、生きていけない。労働者が職場を奪われることと同じだ。積まれた金で移転して違う土地でやればいいと言う人もいるが、何十年も丹精込めてつくってきた農地はほかの何ものとも代えられない。俺もここで無農薬で25年やってきて、その農地はかけがえのないものだと思っている。きれい事に聞こえるかもしれないが、金じゃないんだよ。
 今闘いは本当に正念場だ。反対同盟は市東孝雄さんの農地と現闘本部を絶対に守りぬく。3・28闘争にどれだけ多く集まるかが事態を決める。全国から大結集をかちとろう。