障害者団体取り込みと対決し「障害者総合福祉法」を阻もう 革共同障害者解放闘争組織委
障害者団体取り込みと対決し「障害者総合福祉法」を阻もう
革共同障害者解放闘争組織委員会
資本主義の矛盾があとのない大恐慌を引き起こし、ドル大暴落から戦争突入へと新たな危機を激成している。他方、世界中で労働者階級が生きるための闘いに立ち上がっている。日帝は帝国主義間争闘戦に追い詰められながら、革命防止の一点で、国鉄闘争の解体と沖縄新基地建設強行をとおして労働運動を一掃しようとしている。障害者解放闘争にも新たな圧殺攻撃が加わっている。
鳩山政権は障害者解放闘争に対して、増税・社会保障全面解体を伴って全面的な圧殺攻撃を仕掛けている。障害者運動をも政治的に利用し尽くして労働者階級を分断し、「新しい公共」の名のもとで一挙に社会保障解体・総ボランティア化に突き進もうとしている。
大恐慌下で障害者が生きる道は何か。それは労働者と団結して労働者階級の階級的解放を成し遂げることである。抑圧と搾取そのものを終わらせ、本来の共同性を人間の手に奪い返すのだ。プロレタリア革命—共産主義実現の中にこそ障害者解放の道があることをはっきりさせて闘おう。
自立支援法廃止投げ捨てた民主
民主党は、障害者自立支援法への怒りを利用して票をかき集めようと、マニフェスト2009に「自立支援法の廃止」を掲げた。しかし政権を握ると早速「廃止」を投げ捨て、体制内障害者運動を取り込み、3年間も存続しようとしている。
06年に施行された障害者自立支援法は、「少子高齢化社会」を口実に、労働者階級から社会保障を奪った上で、福祉を資本のための巨大な市場に変え、搾取をさらに強めようとする新自由主義攻撃である。「措置から契約へ」を打ち出しながら「利用者応益負担」を始めとする「福祉=自己責任」論を大宣伝し、行政を公的社会保障から撤退させる、障害者・高齢者の抹殺攻撃である。自治体の福祉職場の民営化で登録派遣ヘルパーや契約社員などの非正規職労働者を大量に生み出し、施設の非正規労働者を常態化させてきた。日経連が叫んできた「9割の労働者の非正規化」を真っ先に推し進めてきたのだ。
この攻撃は、日本共産党のように「公的福祉」をポーズだけ要求することで対抗できるようなものではない。連合を使った労資一体化した労働者支配への転換や外注化=民営化攻撃に対して体を張って闘うことなくして勝ちぬけない凶暴な攻撃だ。事実、介護現場ではNPOを含めた安価な労働力の活用、非正規職の正社員並み運営、人員不足強制、団結解体により事故が多発している。
日帝はこうした民営化攻撃を、障害者など利用者に「契約の権利を保障させる」運動で屈服させ、美化してきた。
第二次臨時行政調査会は1981年、「活力ある福祉社会の建設」「国際社会への積極貢献」を掲げ、その後、「途上国の障害者のリハビリ支援」「国連障害者の10年」をキャッチフレーズに、国内外での障害者の労働力活用とそのための権利付与に積極的に乗り出した。そして福祉財団の助成金でDPI(障害者インターナショナル)などの障害者リーダーを育成し、民間活力導入・民営化推進の基盤にした。さらに1998年に「サービス選択の自由」を掲げた社会福祉基礎構造改革が提案された。2000年には介護保険制度がスタートし、社会福祉法で福祉事業の民営自由化が始まった。障害者については03年に支援費制度が導入され、事業所の民営化が始まった。
しかし新自由主義攻撃は世界大恐慌を引き起こし、労働者の大反撃を受けて破産を宣告されている。動労千葉のストライキを先頭にした国鉄分割・民営化反対闘争の継続と1047名解雇撤回闘争が、また4大産別を始めとする民営化粉砕・連合ダラ幹打倒の闘いが、6千万労働者の怒りの炎に油を注いでいる。
障害者自立支援法は、この新自由主義攻撃の破綻の中で施行された。民営化職場の矛盾が噴き出し、また利用者からは1割応益負担や介護量上限への怒りがわき起こり、1万人以上の障害者・労働者が結集した集会が打ちぬかれるなど闘いが大きく広がった。こうした闘いが昨年8・30の自民党支配打倒に結びつくとともに、同法撤廃への突破口をこじ開けたのだ。
鳩山政権による存続をけっして許さず、即時撤廃へ闘いぬこう。
昨年12月に鳩山が本部長となり設置した「障がい者制度改革推進本部」のもと、1月以降、「障がい者制度改革推進会議」が開催されている。
障害者の労働力商品化をねらう
連合幹部と日本経団連役員に加えて障害者団体役員を構成員とし、大半が民主党系・日本共産党系委員。戦後的な障害者運動を一掃しようとするものだ。取り込まれた体制内障害者団体幹部が今後、障害者を搾取と収奪の対象として資本家に差し出していくことは間違いない。また国鉄や沖縄と同じく、社会保障の分野でも障害者施策担当大臣の福島瑞穂が極悪の手先になっている。
この会議では、差別禁止法制定を軸とした障害者総合福祉法案の内容が議論されている。
第一に、自立支援法違憲訴訟団をも「訴訟終結」の事前和解でテーブルに着かせた会議だが、財源など重要な話はすべてほかで進めている。
すでに菅財務相が消費増税の議論を呼びかけ、「支払いに応じた福祉」へ転換を迫る「税と社会保障の共通番号制度」の法制化も狙われている。後期高齢者医療制度廃止後に検討している「地域医療保険」では、保険料の企業負担や国庫負担を縮小し、個人責任と道州制に移行させ、医療・介護・福祉を制度的に一体化することを狙っている。枝野行政刷新相は国家公務員削減を発表し、地域主権=道州制導入の突破口を開こうとしている。こうした増税・道州制導入を民主党に一任した同会議は噴飯ものだ。
第二に、障害者総合福祉法が目指すものは障害者を労働力として徹底的に動員することである。
障害者も労働者の仲間として多くが就労し活動している。現場の労働組合や労働者の団結の中で資本家と階級的に闘って差別・抑圧との闘いを培ってきているのだ。
しかし障害者総合福祉法が言う「雇用・就労促進」は違う。資本家に障害者の能力を売り込むため、あるいはこれに反対する労働者に罰則・罰金を設け、金や法的権力の力で「差別がないこと。対等なこと」を実現しようと言うのだ。日本経団連の10年版経労委報告にある「同一価値労働=同一賃金」論も、障害者をあまねく労働力商品として搾取の対象に投げ込む論理でもある。
差別禁止法も障害者虐待防止法も、憲法や労働法を踏み越えた差別の判定機関の新設が核心だ。この判定も障害者の就労能力の活用の観点からなされ、訴えることができない障害者はまた路頭にほうり出される。「禁止や防止」は「差別・虐待撤廃」とは異なる。怒りを持って粉砕しよう。
「新しい公共」は首切り・非正規化
第三に、鳩山の「新しい公共」路線の核心は、労働者階級の分断と団結破壊である。障害者総合福祉法は、雇用・教育・交通機関・公共施設・情報などのバリアフリー化を叫んでいる。財政破綻を公言しながら財源、人材は一体どうするのか? 結局は新法をもテコに連合支配を使って公務員首切り・総非正規化、有償・無償ボランティアに行き着かざるをえない。
闘いのカギは、労働者階級と団結して、労働組合をめぐる革命と反革命の大激突に勝ちぬくことだ。国鉄決戦を基軸にした4大産別決戦、沖縄決戦に勝利し、民主党・連合政権を打倒しよう。
プロレタリア革命で、闘う労働組合を核に地域ソビエトを建設し、労農同盟を軸にした諸階層人民との階級的団結をかちとる中にこそ、人間解放をかちとる実践が生まれる。労働者の解放が一切の差別・抑圧、搾取を粉砕する。血債主義・糾弾主義で労働運動・障害者解放運動から脱落した塩川一派を一掃しよう。
障害者同志は地区党建設—細胞建設を最先頭で牽引(けんいん)し、国鉄決戦の最先頭に立ち、労働者と団結した力で障害者解放戦線の革命的飛躍をかちとろう。