戦後労働運動の偉大な指導者中野洋同志を追悼する 天田三紀夫
戦後労働運動の偉大な指導者中野洋同志を追悼する
あなたの足跡と信念受け継ぎ労働者階級解放まで闘い抜く
天田三紀夫
(一)
中野洋同志!
あなたが先頭に立って担い、闘いぬいてきた動労千葉労働運動は、帝国主義が大恐慌に突入する中で、6000万労働者階級を獲得するまさにその前夜を迎えています。階級的労働運動がこれからますます力を発揮し、階級的団結を基礎に全世界を獲得しようとしている時、あなたの逝去はあまりにも早すぎました。
数年間の闘病をものともせず、獅子吼(ししく)してわれわれを励まし、階級的原則で導き、最後まで生きて生きぬき、勝利をめざして闘いぬいてきた階級の最高指導部の不屈の闘魂が、この地上から奪われたことはあまりにも無念です。
革命的共産主義者同盟はしかし、この試練を必ずのりこえ、あなたが求めてやまなかった労働者階級解放の闘いを、あなたとともに必ず実現することを霊前に固く誓います。
戦後労働運動を指導したあなたの偉大な足跡は、労働者階級解放闘争がある限り絶対に消え去ることはありません。常に闘う労働者階級の中に生き続けます。あなたがわれわれに残してくれた数々の労働運動の教訓を心から肝に銘じ、階級的労働運動の不屈の前進をかちとっていきます。
(二)
中野洋同志!
階級の指導部としてのあなたの闘いは、国鉄分割・民営化反対闘争を当時1100人の動労千葉組合員とともに闘った時に、指導者として最も偉大な力を発揮しました。
第2次大戦後の戦後革命期を労働運動の体制内化によって突破し延命した日本帝国主義は、70年代中期の恐慌を突破するために新自由主義をふりかざし、1980年代、第1次国鉄分割・民営化攻撃をもって襲いかかってきました。その先兵に松崎を先頭とした動労カクマルがいました。この資本・日帝権力と動労カクマルの二重の反革命と対決し、動労千葉は激しい闘いに決起しました。大量首切りと組合つぶしの国家的不当労働行為に対し、全組合員は数波のストライキ闘争で反撃し、処分を恐れず、団結破壊を許さず、職場支配の主導権をとり続け、労働組合の団結を強化して闘い続けました。
この動労千葉の国鉄分割・民営化絶対反対の決起によって、闘いの拠点が防衛され、1047名闘争が生みだされ、国鉄決戦は永続化し、今日の本格的な階級的激突を準備する闘いとして発展してきました。
これは、動労千葉労働運動が日帝・JR資本と闘って闘いぬいて、団結を維持し強化してきた階級的労働運動の革命的実践でした。この闘いは、資本との絶対非和解の闘いを貫くことによって逆に労働組合の団結を守り、発展させた闘いとして、戦後労働運動の限界を突き破った壮絶な闘いでした。だからこそ今日、多くの青年労働者や、世界の闘う労働者の心を国境をも越えてとらえているのです。
(三)
闘いの日々の中であなたが身をもって実践したことは、党と労働組合の闘いの結合、一体性を実現することでした。労働組合は経済闘争、党は政治闘争というような、戦後労働運動の内部に色濃くあったスターリン主義的、社会民主主義的組織論の突破でした。すなわち、党とは労働者階級の党であること、この党は労働運動・労働組合運動の大地にしっかり根を張った党であること、この党は労働組合の闘いを基礎にして建設され、検証されて発展することをはっきりさせたのです。
そしてこの闘いは労働組合の革命論的意義をはっきりさせる闘いでした。『甦る労働組合』であなたは、「労働組合は労働者階級の団結と社会全体の転覆の準備の手段」というマルクスの規定を復権させました。動労千葉労働運動によるその実践は、党と労働組合を対立させてきた戦後労働運動の壁を根本的に突破した闘いでした。
党と労働組合の一体的前進をかちとるためのあなたの不動の決意は、生きたマルクス主義の確立に向けられました。それは、動労千葉労働学校の開校へのエネルギーとなってほとばしりました。
あなたは毎回の開講あいさつで、いかに多くのことをわれわれに語り、教えてくれたことか。労働学校講師を務めるための毎回の準備をとおして路線的研鑽(けんさん)に励む姿をいかに身をもって示してくれたことか。この労働学校はすでに第10期を迎えようとしています。この過程でいかに多くの闘う青年労働者群像が層として生みだされてきたことでしょうか。労働学校で学んだ青年労働者は今や、階級闘争の最前線で資本との非和解的闘いを24時間・365日実践しています。
青年労働者の動労千葉への信頼と決起は、6000万労働者階級の指導部建設と一体で進行しました。あなたはいつでも青年労働者の決起に想いを走らせました。青年労働者が労働運動・革命運動の中軸を担うこと、この限りない青年労働者への階級的期待に多くの青年労働者が応え、次代の階級闘争・労働運動で責任をとる力を育んでいます。これほどの階級闘争への貢献はありません。階級的労働運動の本格的な前進が、あなたの心血を注いだ力で実現されています。
(四)
また、あなたの生涯をかけた闘いは革命的共産主義運動の歴史そのものでした。同時代をあなたとともに闘い、駆け抜けてきたことをあらためて誇りに思います。
1960年代の、戦闘的労働運動の防衛と地区党建設を軸とする3全総—3回大会路線に胸を躍らせ、寝食を忘れて活動した日々。職場闘争を基礎に反戦青年委員会運動が大学闘争と一体になり、70年安保・沖縄決戦の大爆発へと驀進(ばくしん)したダイナミックな日々。70年決戦に敵対しファシストとして純化したカクマル反革命との命がけの死闘。80年代の国鉄分割・民営化決戦を始め、日帝権力による労働運動・革命運動圧殺攻撃と全力で闘って打ち破った地平。スターリン主義の崩壊とマルクス主義再生の闘い、90年代の5月テーゼの物質化へ向けた必死の闘い。
とりわけ、91年5月テーゼとその物質化は中野同志の力をぬきに考えられません。5月テーゼこそ、革命的共産主義運動のレーニン主義的オーソドキシーへの転換点・飛躍点でした。それは革共同の中に色濃くあった政治決戦主義を突破し、労働者階級自己解放というプロレタリア革命の核心問題を一切の土台に据えて、すべての課題を整理し再構成していくことでした。
しかしこの闘いは長期の強靭(きょうじん)な闘いを必要としました。労働者階級の党、マルクス主義の党の建設は、職場生産点でのひたむきな階級的実践、階級的労働運動指導部の建設、階級の大地での検証を必要としたからです。単一のボルシェビキ党建設は、指導部自身が労働運動の現場に頭から突っ込むことを求めました。
それは、一切の敗北主義を突破し、労働者階級への限りない信頼の上に、労働者階級を解放の主体として再確立していく闘いでした。帝国主義やスターリン主義に屈服して労働運動と労働者階級への絶望を組織する傾向との非妥協的闘いであり、「血債主義」との決別の闘いでした。06年の「党の革命」が労働者同志の革命的決起として実現できたのも、この5月テーゼの物質化への長期・不屈の闘いの実践があったからでした。
中野同志の、階級の指導部としての断固たる態度が党と階級を鼓舞し、労働者階級と労働運動に対する敵対を粉砕することを可能にし、階級的労働運動の前進に限りない力を与えてくれたのです。革共同の綱領草案を生み出した最深の力もここにありました。
中野同志はまた、本山闘争に階級的歴史的位置づけを与え、11月集会と3労組共闘の発展を常に位置づけてきました。とりわけ動労千葉労働運動が身をもって切り開いた三里塚闘争との労農連帯の確立や、09年に全面的に開花した国際連帯闘争の画歴史的な発展は、戦後労働運動の限界を突き破るいまひとつの大きな突破口でした。
(五)
中野洋同志!
あなたの膨大な著書は、そのすべてが労働運動活動家の必読書です。それは労働者が社会の主人公であることを論じ、労働者階級の階級的団結こそが資本との闘争に勝利できることを明らかにし、階級的労働運動をよみがえらせることが社会変革の核心であり、さし迫った課題であることを明らかにしました。われわれの決意は鮮明です。労働組合をめぐる全ブルジョア勢力、体制内派との激突に勝利し、全世界を獲得するために総決起します。
中野洋同志!
大恐慌、大失業と戦争の時代に深々と突入した中で、階級闘争は激しく発展し、支配階級は分裂し抗争しています。ブルジョアジーは、動労千葉労働運動が6000万労働者階級と結合し発展することに何よりも恐怖しています。さらに動労千葉の民営化絶対反対の闘いは国際階級闘争を牽引(けんいん)し、国際階級闘争もまた民営化絶対反対の国際的団結を求めています。これから全世界で大失業と戦争、民営化と労組破壊に対する嵐のような決起が本格的に発展しようとしています。
帝国主義は、生き延びるために新自由主義の極限的攻撃にますます訴えてきています。それは国鉄労働運動解体攻撃です。これに対し、「国鉄決戦に勝利しプロレタリア世界革命へ」の闘いがうなりをあげて開始されました。
検修外注化攻撃と1047名闘争解体攻撃との闘いは、この激突の最先端です。この攻撃は本質的に動労千葉への組織破壊攻撃です。あなたは、息を引き取るその間際まで、この攻撃を甘く見るな、しかしこれとの対決の中にこそ日本労働運動再生の最大の好機があるのだと叫んでいました。われわれは、外注化阻止決戦の絶対勝利を闘いとるとともに、新たな1047名闘争の巨大な陣形と運動の創造と発展をかちとる段階に突入したことを厳粛に確認します。
第2次分割・民営化阻止決戦の爆発をもって、階級的労働運動の闘いの拠点を防衛し、国鉄労働運動全体、4大産別を先頭とする全産別に闘いを拡大し、現下の階級決戦に勝利します。動労千葉労働運動の核心的路線である「反合・運転保安闘争」を貫いて、勝利へ向かって闘っていきます。
大恐慌、大失業と戦争の時代の闘いは始まったばかりです。〈党・労働組合・ソビエト>の一体的で本格的な発展へ、プロレタリア革命勝利の日に向かってともに闘うことを霊前にお誓いし、野辺の送りの言葉とします。