不起立闘争で団結し公教育の民営化粉砕-日教組本部打倒へ
学校現場の怒りは爆発寸前だ
不起立闘争で団結し公教育の民営化粉砕-日教組本部打倒へ
国鉄1047名解雇撤回闘争の解体攻撃、そして北教組弾圧は絶対に許せない。民主党・連合政権とすべての体制内勢力が、渦巻く労働者の怒りと革命的情勢を恐れ、労働者の団結を破壊するために全力で襲いかかっている。この決戦に勝利し、労働者が総反乱に打って出る時がきた。
学校現場にも爆発寸前の怒りが充満している。以下、神奈川県内を中心に現場の実態を暴き、闘いへの決起を訴えたい。
時給810円の現実! “普通の工場なら暴動”
「時給810円」——神奈川県内の中学校で再任用職員(定年後の再雇用)として働くAさんの1カ月の賃金を実働時間に換算したものだ。神奈川県の最低賃金は789円。膨大な教育労働者が実際には最低賃金ギリギリで働かされている。
Aさんの再任用職員の契約は週20時間。しかし学校という現場の仕事はは細切れの時間の労働では成立しない。授業を受け持つには、学校や生徒の状況を把握するため朝の打ち合わせから出勤せざるを得ない。仕事は授業だけではない。授業準備や試験問題の作成・採点、成績つけ、生徒との討論など授業時間以外の仕事も山積みだ。1日4時間の勤務ではそもそも不可能で、ただ働きすることが前提なのだ。
06年、小泉の「三位一体」改革で義務教育費国庫負担金は2分の1から3分の1に減額された。先立つ04年には各都道府県が国庫負担金の枠内で賃金水準や教職員数を決定できる総額裁量制が導入された。これと年金給付年齢の引き上げにより、再任用職員は急増。「年金破綻」と国家・県財政破綻のつけを60歳以上の労働者に払わせている。JR職場で定年退職者を「エルダー社員」として低賃金で酷使しているのと同じだ。
総額裁量制導入と義務教育費国庫負担金の減額は、同時に膨大な青年労働者を非正規職にした。
「普通の工場ならもう暴動ですよ!」——神奈川県内の小学校で臨時任用職員(フルタイムの非正規職員)として働く青年労働者Bさんは怒りを吐き出すように言った。小学校も午後8時、9時までの残業が当たり前だ。非正規職員であっても、夕方に行われる会議や打ち合わせを欠席すると翌日の仕事ができない。結局、正規職教員と同じ仕事をやる。しかし賃金はまったく違う。
非常勤職員(パートタイムの非正規職員)になるとさらにめちゃくちゃだ。契約は年単位だが、賃金は授業時間分しか出ない。授業準備や採点はただ働きが前提。しかも長期休業中(夏休みなど授業のない期間)は賃金がまったく出ない。「教育者」の美名のもとで行われる奴隷労働だ。
非常勤として働く青年労働者Cさんは、常に学校と二つの塾のアルバイトを掛け持ちするトリプルジョブ。賃金のない長期休業中はさらに派遣の仕事もしている。心も体もクタクタだ。それでも長期休業中は本当にギリギリの生活だ。
Bさんは続ける。「教育委員会は教員の使命感につけ込んでいる。労働組合だって一緒だ!」
非正規職員の激増は正規職員の多忙化=労働強化に拍車をかけている。神奈川県内の中学校のアンケート調査では、4割が「過労死ライン」の月80時間以上の時間外勤務。休日出勤を含めると職場の半数を超える。1カ月まったく休みを取れなかった労働者も2割。過去最多の8578人の病気休職者(文科省調査、08年度、全国)の背景がこの実態だ。
新人教員の試用期間1年後の不採用が全国で315人。うち3割の88人が精神疾患による依願退職だ。自殺に追い込まれたケースも後を絶たない。青年労働者を食べていけない現実に突き落とし、病気に追いやり、殺している。これほど異常な職場がどこにあるか!
外注化の進行で学校は偽装請負のオンパレード
教育現場の非正規職化は外注化と一体だ。外注化が今、学校を解体し、公教育を破壊し、資本を肥え太らせている。しかも実態は違法・脱法行為のオンパレードだ。
小学校での英語教育の開始も契機に小中高校に多数の英語補助教員(ALT)が導入されている。これまではJETプログラム(=語学指導等を行う外国青年招致事業)という国が窓口になり自治体が雇用者となる制度での導入がほとんどだったが、全国で民間委託=外注化が進み、今やALTの75%がインタラックなどの英語教員派遣会社による請負だ。
神奈川県でも、JETによるものが05年のピーク時の44人から08年には10人に。徹底した民営化を推進した前市長・中田のもとで横浜市ではピークの51人(01年)からたった1人(08年)に。09年には全面委託した。これまで働いていた外国人教員は解雇。まさに外注化は首切りと非正規化職化だ。しかもALTとして派遣されてくる労働者はネットなどをつうじて職を求めて海外からやってきた青年労働者だ。
業務請負である以上、本来現場の教員がALTに指導することや、ともに作業を行うことは「偽装請負」だ。しかし実際には授業の打ち合わせなどは不可欠。そもそも教育現場で業務請負など成立するはずがない。「偽装請負」が日常化されている。他方で「目の前のALTに指示してもらうため電話してくる先生もいる」(英語教育関連会社)という考えられない事態も起きている。
しかも、外国人教員たちはこれまでの自治体雇用の半分以下の賃金で働かされている。さらに賃金の遅配も日常茶飯事。食べていくこともできないケースも多い。外注化で安く請け負った上、資本が低賃金でさらに労働者を買いたたく。資本が教育であくどくもうけている。あまりに過酷な労働条件に、逃げ出すALTもいるほどだ。
外注化は今、学校で激しく進んでいる。学校給食や学校用務、学校事務の民間委託だ。神奈川県でも学校用務は座間市などが100%。学校給食も全県で22%を超える。東京では学習塾と連携し授業の委託も始まっている。どれも請負だ。しかし、不測の事態の多い学校現場でそれぞれが別個に対応していくことなど不可能だ。実際は「偽装請負」が横行している。
違法・脱法行為のたまり場になっているのが、外注化と非正規職化として起こっている「教育の民営化」の実態だ。学校は解体され、資本に食い散らされ、労働者が奴隷にされる。
臨時任用や非常勤という非正規職、そしてALT。学校が青年労働者たちを生きられない現実にたたき込み、青年労働者の未来と子どもの教育を食いつぶしているのだ。
奴隷労働を強制している元凶は体制内組合幹部
こんな現実をつくり出したのは一体誰だ!
まず、県・市当局であり、資本だ。「学習指導要領に基づく適正な指導」と言って「日の丸・君が代」を強制してきたのはどこのどいつだ! 「授業の指揮・管理権限は教育委員会や校長にある」と言い続けてきたのは誰だ! 他方でもうけのためなら違法・脱法行為もお構いなし。英語教員派遣企業は教育委員会に対して「(請負の方が)労組を結成される問題がない」「団体交渉の義務がない」と吹聴してまで売り込んでいる。
そして当局と一体となった体制内労組指導部だ。世界大恐慌がもたらした戦争と大失業の中で、日教組本部の最大方針は「子どもの貧困」に対する「労働教育」だ。
「労働教育」とは、子どもたちに労働者としての権利を教えることだと言う。しかし、当の教育労働者こそ、違法超勤と非正規職化、低賃金、揚げ句の果てに「偽装請負」という脱法行為にさらされている。この現実と闘わず、教室で子どもに労働者の権利を語ることが組合の方針だというのだ。こんなペテン、マヤカシがあるか!
Bさんが言うように体制内組合幹部は当局と同じように”教師であること”につけこみ、当局と一体で教育労働者に奴隷労働を強いている。日教組本部は資本や当局の最悪の手先だ!
当局・資本と体制内労組幹部の結託体制をぶち破らない限り、教育労働者の現実は1ミリも変わらない。日教組本部打倒、鳩山民主党・連合政権打倒こそ教育労働者の未来を切り開く闘いだ。
北教組への不当弾圧に全国から総反撃しよう!
すべては国鉄分割・民営化から始まった。労組破壊、公的部門の解体と資本による収奪。今や鉄道の安全崩壊、教育、医療・福祉の破壊が労働者・学生の命と未来を奪っている。今こそ「一人は万人のために、万人は一人のために」の労働組合の原点に立ち返り、よみがえらせる時がやってきた。1047名解雇撤回で団結し、労働者・学生の未来を奪い返そう。
北教組弾圧の根底にあるのは労働者階級の総反乱への恐怖だ。1047名闘争解体攻撃と一体だ。しかし団結して闘えば絶対に勝てる。動労千葉は検修外注化の4・1実施を阻んだ。青年教育労働者は動労千葉平成採の決起に続こう。民主党と一体で北教組を弾圧する日教組本部を倒そう。
「営業権」のために大学を憲法停止状態にたたき込む法大の現実は、全教育労働者の現実と一つだ。教育の民営化と対決した3・4カリフォルニアの労学100万人ストライキに続こう。
職務命令による強制を「内心の問題」として逃げ回り、「日の丸・君が代」不起立闘争を弾圧する体制内組合幹部。これでどうして労働運動が成立するのか! 教育の民営化がここまで進んできたのは、日教組本部が不起立闘争の弾圧者となり、職場闘争に敵対して職場支配権を投げ捨ててきたからだ。この労働運動の現実を変革しない限り何も変わらない。
不起立闘争を貫いてきた動労千葉派が教育労働者の未来を切り開こう。不起立闘争こそ日教組本部打倒のランク&ファイルの大運動だ。そして公教育の解体=教育の民営化を粉砕する力だ。今春不起立闘争から3・20イラク反戦闘争に立とう。
(芹 誠一)