〈焦点〉米帝がイラン開戦を狙う
〈焦点〉 米帝がイラン開戦を狙う
世界戦争危機激化の情勢
米帝—国際帝国主義のイラク・アフガニスタン侵略戦争が長期化・泥沼化する一方、イランに対する侵略戦争開戦の危機が急速に強まっている。イラク、アフガンに続くイラン侵略戦争の勃発(ぼっぱつ)は史上3度目の世界戦争の爆発に転化・発展しかねない。3・20イラク戦争7周年全世界一斉デモの爆発、労働者の国際的団結と決起でイラン開戦と世界戦争を阻止しよう。
1月10日、中東を管轄する米中央軍のペトレイアス司令官はCNNとの会見で、米国が外交手段、経済制裁に加え、イラン核問題に対処する「緊急対応手段」を作成したことを明らかにした。軍事的手段をとるという意味だ。ペトレイアスはイスラエルによる「空爆は可能」との考えも示した。すでに何度もイラン空爆を「警告」しているイスラエルにゴーサインを出す用意があるということだ。
1月12日には、米国防総省がイスラエルに備蓄している米軍の装甲車やミサイルなどの武器や弾薬の備蓄量を倍増する計画を進めていることが分かったとAFP通信などが報じた。これらの備蓄は協定に基づきイスラエルも使用できることになっている。
1月31日には、オバマ政権がイランのミサイル攻撃に備えるとしてカタール、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェートの4カ国でミサイル迎撃システムの配備を加速させていることが明らかになった。米帝はイスラエルに自制を促すためと正当化するが、米帝は自らのヘゲモニーで中東を軍事制圧し侵略戦争を発動しようとしているのだ。
そもそも中東海域には複数の空母機動部隊群が常時展開しており、米中央軍の司令部はカタールに置かれている。
こうした中でアフマディネジャド政権は2月11日、中部ナタンツの施設で濃縮度20%のウランを製造したと発表し、「80%以上に濃縮する能力がある」と主張しつつ、「必要がないのでそこまではやらない」と述べた。核兵器の製造にはウランの濃縮度を90%以上にする必要があるが、ともかく「国力」を誇示した。
これに対してクリントン米国務長官は2月中旬、中東を歴訪し、湾岸諸国やイスラエルによるイラン包囲網を強化した。クリントンは「イランは軍事独裁に向かっている」とアフマディネジャド政権を牽制(けんせい)した。そして「米国はイランの核兵器開発をただ傍観することはない」と述べ、追加制裁と武力行使を示唆した。クリントンは3月初旬にも中南米を歴訪し、対イラン追加制裁のための国連安保理決議への支持をとりつけようとしている。
イランは世界有数の石油・天然ガス大国でありながら、31年におよぶ経済制裁の中で経済危機を深め、人民は窮乏している。しかも政治的な自由と権利も奪われて久しい。反対派のデモは命がけだ。アフマディネジャドは欧米帝国主義との緊張関係を理由に革命防衛隊による暗黒の治安体制を強化し、核開発をもてあそび、自ら戦争の危機を激化させている。それに付け込んでいるのが米帝—国際帝国主義だ。国際プロレタリアートの団結の力で帝国主義のイラン開戦と世界戦争を阻止しよう。