“力合わせ裁判員廃止へ”大運動が声明 名簿記載者「拒否」宣言
“力合わせ裁判員廃止へ”
大運動が声明 名簿記載者が「拒否」宣言
2月19日夕、「裁判員制度はいらない!大運動」の記者会見が東京・霞が関の弁護士会館で行われた。
昨年5月に裁判員制度が強行されて約9カ月が経過したが、裁判員制度の反人民性は完全に明らかになった。全国で反対運動が燃え上がっている。ところが最高裁は2010年も約35万人に裁判員候補者の通知を送り、裁判員裁判を強行しようとしている。
現状を明らかにし、名簿記載者の怒りの声を全国に届けようと記者会見が開かれた。
冒頭、「大運動」事務局の川村理弁護士が、各界の呼びかけ人16氏の連名で出された「制度廃止を求める声明」を読み上げた。「破綻に瀕(ひん)している裁判員制度を依然強行しようとする最高裁・法務省の姿勢はけっして許されるものではない」「厳しく抗議するとともに、あらためて広く国民の皆さんに裁判員制度の廃止を強く訴える」
続いて候補者名簿に記載された労働者らが発言し、拒否の意思をきっぱりと表明した。
宮城の労働者Tさんは「私の名前が勝手に名簿に載せられたことに抗議し、裁判員となることを拒否します。非常に迷惑です」と述べた。
神奈川の主婦Aさんは「個人的にいろいろな人の意見を聞く機会がないのに、私には重すぎる。拒否するつもりです」と述べた。
東京北部ユニオン「街」分会のMさんは、「組合員2人に通知が届いた。勉強会を開き、この制度はいらないと確信した。国の決めたことだから従えと言われることに怒りを覚える」と述べた。
動労千葉執行委員の川崎昌浩さんは、「組合員4名、家族1名に通知が来た。話し合って”拒否すべきだ”と通知を送り返した。国家権力に労働者がくみすることは戦前の産業報国会の道です」「私たちの組合は電車の運転士の組合です。人を死刑にするかも分からない精神的重圧の中で列車を運転することは危険極まりない」「労働者の間に秘密があってはならない。裁判員制度の守秘義務は労働組合の団結を破壊する」と述べた。
続いて、昨年の裁判員候補者2人が拒否を貫いて闘った経験を語った。千葉の男性は「拒否しても裁判所から出頭・過料の通告は来ていない。自分の生き方を守れて良かった」と確信をもって語った。東京の女性は「殺人事件被害者の傷の写真まで、なんで私たちが見なければいけないのか。つらい思いをしたくない。皆さん、逃げる勇気を持ってください」と呼びかけた。
”5・18集会に集まろう”
さらに大運動の呼びかけ人が発言した。交通ジャーナリストの今井亮一さんに続き、高山俊吉弁護士は、「二つのことを言いたい」と発言した。
一つは、裁判員の出頭率が急速に落ちてきたこと。3割を割る裁判所も出ている。秋田では裁判員が「裁判員制度反対」のたすきを掛けて出頭し、岐阜では裁判員が「徴兵制のようだ」と記者会見で発言した。多くの市民がもう制度に背を向けている。
二つ目は、裁判の現場がまひ状態になっていること。昨年の起訴1200件中、判決できたのは138件にとどまっている。5月までにさらに800件が起訴されて、7月までに1800件も判決できるか? 到底できない。裁判所の職員は悲鳴を上げ、被告人は延々と待たされている。
高山弁護士は以上のように状況を明らかにした上で、「裁判員制度はこの国を戦争の方向にもっていく攻撃だ。力を合わせて廃止に追い込もう。5・18大集会でその力を示そう」と結んだ。
記者会見後、「大運動」の実行委員会が開かれた。全国の労働者・民衆と団結して反対運動を強めること、そして5・18大集会(日比谷公会堂)の成功へ、全力で闘うことを誓いあった。