欧州鉄道労働者がスト“運転士に事故責任を押しつけるな”
欧州鉄道労働者がスト
“運転士に事故責任を押しつけるな”
欧州で鉄道労働者が反合理化・運転保安確立の闘いに決起している。
ベルギー
ベルギーでは、2月15日にブリュッセル郊外で起きた列車衝突事故の責任を運転士に転嫁しようとする当局に抗議して鉄道労働者が直ちにストライキに立ち上がった。
ストライキ参加者は運転士のみならず信号通信から整備・技術者にまで広がっている。死者18人(運転士1人を含む)、重軽傷者200人を出した15日の大惨事の責任をめぐって激烈な闘争となっている。
ベルギー国鉄(SNCB)当局は事故直後から事故の原因を「運転士の赤信号の見落とし」とするキャンペーンを張った。労働者たちは「このような事故は以前から続いていた」「そのたびにわれわれは自動列車停止装置を付けるべきだと要求してきた」「安全が保証されるまで運転できない」と怒りを表明した。
ベルギー国鉄は2005年、欧州連合(EU)の方針に従って持ち株会社と旅客・貨物を輸送するSNCBと線路管理などを行うインフラベルに3分割され、4千人を合理化するなどで年間1290万ユーロ(約16億円)の利益を上げていた。
今回の事故でも、線路には自動列車停止装置が付いていたのに、事故を起こした列車にはその装置は付いていなかった。ベルギー国鉄が分割され、安全無視の合理化が強行されてきたことが事故を招いたのだ。
労働者の怒りはベルギー南部を中心に広がり、EUの動脈である高速鉄道・ユーロスターやタリスのベルギー−ドイツ・フランス・オランダ間という重要区間を運休にたたき込み、国境を越えて影響を及ぼしている。
このストライキは、組合指令に基づかない現場労働者の自発的なストだ。しかも事故の翌朝から直ちに始まった。現場の労働者には、組合の指令を待っていられないほど安全無視への怒りが蓄積されていたのだ。
ベルギー鉄道の主要労組であるCGSPとSLFPの体制内労組幹部らは「労働者の怒りは分かるが状況が悪い。どうして今ストライキで当局に戦争を仕掛けるのか理解できない」などとストの意義を否定している。現場の労働者は体制内指導部をのりこえ安全のために立ち上がった。これこそ大恐慌と対決し闘う労働組合をつくりだす闘いだ。
英RMT
イギリスでも2月20日、RMT(鉄道・海運・運輸労組)がファースト・スコットレール社で24時間ストライキに突入した。予定されている3波のストの第1波目だ。
ファースト・スコットレール会社は550人のRMT組合員に対し、グラスゴーとエジンバラの間に開設する新路線では、車掌を乗務させず、運転士と検札係のみで運行するという計画を出してきた。
RMTボブ・クロウ委員長は「訓練を積んだ車掌は乗客の命を守る役割を果たしている。車掌の廃止は乗客の安全を破壊する」という声明を出し、全組合員にストで闘う方針を提起した。組合員は2月20日、3月1日、13日の3波のストを決めた。
会社側は、車掌ぬきの運行でも安全に支障はないとして、ストをやっても通常の90%の運行を確保すると対決姿勢を示している。クロウ委員長は闘いが乗務員の安全を守るだけでなく、乗客の命を守るものであることを強調し、労働者人民に支持を呼びかけている。闘いは動労千葉と同質の反合理化・運転保安の闘いだ。反合・運転保安闘争は全世界の鉄道労働者に共通の重要な路線だ。