〈焦点〉 労働者派遣法 「改正案」要綱の大ペテン
〈焦点〉 労働者派遣法は撤廃せよ
「改正案」要綱の大ペテン
長妻厚生労働大臣は17日に厚生労働相の諮問機関である「労働政策審議会」(労政審)に労働者派遣法「改正案」の要綱を諮問した。労政審は了承する見通しで、厚労省は同法「改正案」を3月にも国会に提出する方針だ。
今回の法案要綱の本質は、あたかも派遣労働の現実を抜本的に改善するように見せかけながら、その実「違法派遣」や「派遣切り」を合法化するものだ。
要綱には民主党および社民党・国民新党の与党3党が選挙マニフェストに掲げた「派遣法の抜本改正」の内容が、①登録型派遣の原則禁止、②「常用雇用」を除く製造業務派遣の禁止など、項目だけは並んでいる。だがその中身たるや、例外だらけであり、しかも法案が成立しても施行を最大5年間も猶予するという代物である。
①の登録型派遣は、仕事のある時だけ呼び出されて短期で細切れの働き方を余儀なくされ、仕事のないときには雇用関係がないとして、賃金も社会保険も保証されない使い捨ての働かせ方だ。今回の「改正案」はこれについて原則禁止といいながら、「専門26業務」については例外としている。だが専門26業務にはパソコンの操作やファイリングとよばれる書類整理などまで含まれており、女性に多い事務労働はまったく禁止されず、逆に合法化されてしまう。
②の製造業派遣の禁止にいたってはもっとひどい。原則禁止といいながら「常用雇用」は例外とした。だが、厚労省のいう「常用雇用」は正規雇用を意味しない。2カ月や6カ月の短期雇用を繰り返したり、たとえ日雇い労働者であっても1年を超えて働けば、「常用雇用」だというのだ。これだと派遣元は労働者を1年を超えて働かせればいつでも「雇い止め」解雇できるということだ。まさに「雇い止め」解雇の合法化そのものである。
このように今回の政府要綱は、派遣労働の現実を追認し、合法化するものだが、昨年の通常国会に提出されて廃案となった自民党政権時代の「改正案」が日雇い派遣の原則禁止しか問題にしなかったのと比較すれば若干の違いがあるのも事実である。実際、派遣業界は「(派遣労働者が)かわいそうだなどの感情的議論に流されるのではなく、日本の国益を考えなければならない」などと主張して猛烈な反対運動を展開している。
派遣法「改正」問題は、非正規労働者が3分の1を超える現実への労働者階級の怒りの中で、日帝・支配階級が今までどおりでは支配できなくなっている事実を示している。だがブルジョア政権である民主党・連合政権はむしろ労働組合の名をもって新自由主義攻撃を推し進める以外にないのだ。
昨年の8・30総選挙以降の情勢は、巨大な階級的大流動と、その中での革命と反革命の激しい内乱的なぶつかり合いとして進んでいる。派遣法は撤廃以外にない。そのためには民主党・連合政権を打倒することが必要だ。85年の派遣法成立とその後の一連の改悪攻撃はまさに国鉄分割・民営化がその元凶であった。「派遣切り」に怒る青年労働者を組織し、階級的力関係の転覆をかけて第2次国鉄分割・民営化阻止決戦と10春闘の勝利を切り開こう。