農地裁判 「不在地主」追及 市東さん“畑を守り闘う”
農地裁判 「不在地主」を追及
市東さん“畑を守り闘う”
2月16日、千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの二つの農地裁判(①行政訴訟、②農地法裁判)が連続して開かれた。2・25現闘本部裁判決戦を目前に控え、反対同盟と労働者・農民・学生・市民が農地死守の決意を固めて駆けつけ、傍聴席を埋め尽くした。
「不在地主」問題は空港会社(NAA)と千葉県にとって致命的であることがいよいよはっきりした。空港公団(後のNAA)が市東さんの農地を旧地主から買収した1988年には、公団の本社は東京にあり、成田市に移転したのは96年。明々白々、公団は農地法第6条が禁止する「不在地主」だった。現在NAAは、千葉県から賃貸借契約解除の許可を取り付け、市東さんに「土地を明け渡して出て行け」と迫っているわけだが、そのすべてが違法であり正当な根拠を欠いているのだ。
10時半から、市東さんが千葉県を訴えた行政訴訟が開廷。「農地法6条に違反しているか否かは、考慮される事柄ではない。釈明の必要はない」という暴論で居直る県を、反対同盟顧問弁護団は鋭く批判した。
11時10分から、NAAが市東さんに土地の明け渡しを求めた農地法裁判が開廷。NAAの弁明は「空港に転用する目的で農地を取得した結果、一時的に不在地主と同様の状態になっても6条違反の適用にあたらない」——つまり、空港のためなら違法も合法になるというのだ。ふざけるな! しかも売買の事実を15年間隠し続けた違法にも口をつぐんでいる。
NAA代理人弁護士の頭目は、かつて成田治安法裁判で反動判決を出した元千葉地裁裁判長・上野至だ。恥を知れ!
千葉県・NAAがまともな釈明ひとつできないことを見るに見かねて、堀内明裁判長はたびたび助け舟を出そうとした。弁護団は卑劣な沈黙による逃げ切りを一切許さず今後も不在地主問題でとことん追いつめる姿勢を突きつけた。次回期日は5月25日。
終了後、千葉市ビジネス支援センターで記者会見と報告集会が開かれ、伊藤信晴さんが司会を務めた。
冒頭、市東孝雄さんは「第3誘導路と団結街道廃道化の攻撃がかけられてきたが、私はあの地でこれまでどおり畑と宅地を守って闘いぬく。2月25日、大勢の人で裁判所を取り囲んで向こうに大打撃を与える日にしよう」と確固不動の決意を表した。葉山岳夫弁護士ら弁護団が裁判の解説を行うと、県とNAAの態度への疑問が記者から次々と出された。北原鉱治事務局長は、「都合の悪いことには“黙秘権”をつかってやり過ごし、裁判早期終結を狙うとはもってのほかだ」と強い怒りで弾劾し、2・25への全力決起を訴えた。
動労千葉の中村仁さんが検修外注化阻止スト決起と一体で三里塚を闘う決意を表したのを始め、市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さんらが連帯のあいさつを行った。
最後に萩原進事務局次長がまとめの発言で、「実際の地主が誰なのかもあやしいような実態では裁判の体をなさない。だから県・NAAは多くを語れない。こんな理不尽で農地取り上げ、建物破壊をやらせてなるものか。2・25は全国集会をこの千葉市でやる意気込みで総力結集に取り組んでほしい」と熱烈なアピールで締めくくった。